KADOKAWA DREAMS、リーグ初の連覇達成! 〜D.LEAGUE〜
日本発のプロダンスリーグ「第一生命 D.LEAGUE2023-24」のCHAMPIONSHIP(CS)が東京ガーデンシアターで行われた。レギュラーシーズンの上位6チームで争われたCSは、ファイナルでレギュラーシーズン2位で前回王者のKADOKAWA DREAMS(カドカワドリームズ)が同1位のCyberAgent Legit(サイバーエージェントレジット)を6対5で破り、連覇を達成した。
挑戦し続けた先に連覇があった。DREAMSは昨季と同じくレギュラーシーズン王者Legitとファイナルで戦った。Legitにとっては昨季のリベンジ、DREAMSとしては今季のROUND.12で敗れたリベンジ。それぞれの想いを抱えてファイナルの舞台に立った。
先攻(青)はDREAMS。今季からチームカラーを白から青に変えたのは、格闘技で挑戦者が立つブルーコーナーを意識してのものだ。最後のステージでブルーコーナーに立ったのも運命的なものを感じさせる。黒を基調としたスタジャン風のセットアップを纏い、力強いヒップホップダンスを披露した。作品テーマは「ONE」。一番を獲りにいく意味にも、己のスタイルを貫く意味にも受け取れる。MINAMIのソロからショーは動き出す。重低音を効かせた音楽に乗り、ダンサーの溢れ出すエネルギーを観る者にぶつけてくるようなダンス。TSYの高難度のアクロバットが沸かせどころになった。
圧巻は2回宙返り。「死ぬ気でやりました!」とTSY。MINAMIも「命懸けで成功させてくれた。その技があっての自分たちが一番やりたいヒップホップをできることの感謝しながら、とにかく詰め込んだ」と語った。アクロバットのミスは、目につきやすい。「いつもプレッシャーがやばいんですけど、チームのみんなが応援してくれるので、それで助かっています」(TSY)。CSのMVDはセミファイナルで圧倒的な存在感を示した颯希が2季連続で輝いたが、「個人的な感情では、MVDはMINAMIちゃんとトッシー(TSY)にあげたい」と言うほどだった。
後攻(赤)のLegitはシルバー基調だったセミファイナルの衣装から一転。ゴールドを基調とした煌びやかな出で立ちで登場した。銀から金へ。昨季の雪辱も込めた衣装の流れだったのではないだろうか。作品テーマは「ALL FOR GOLD」。得意のデジタルサウンドに乗せ、ポップ、ロック、ブレイキンを融合したダンスで場内を沸かせた。
運命のジャッジの瞬間、6票を得た時点で勝者が確定する。オーディエンス票を皮切りに10人のジャッジがマストシステムで赤と青を選ぶ。オーディエンス投票は赤Legit、その後も赤、赤、赤と続いた。ここから青の反転攻勢。青が5人続き、王手をかける。9人目が赤で5対5。最後の1人で命運が分かれる。
結果は青ーー。ステージ上で悲喜が入り混じる。DREAMSは歓喜に沸く。Legitのメンバーは泣き崩れる者もいた。どちらに転ぶかわからない名勝負の決着。DREAMSのリーグ史上初の連覇で幕を閉じた。DREAMSのKEITA TANAKAディレクターは「明日同じ戦い方をしたら、また別の結果が出るんじゃないかと思う」と言うほどの僅差の優勝だった。MINAMIは「断トツの団結力がチームを優勝に導いた。ONEの歌詞に『揺らすアリーナ』とありますが15日のワンマンライブへの気持ちを込めました。次はアリーナ揺らして、また来シーズン帰ってきます!」と力強く宣言した。
KEITA TANAKAディレクターは今季のチームを「じゃじゃ馬でしたね」と振り返る。「統率していくのに非常に苦労しました。人数が多いと大変な部分もあるのですが、一度繋いだ手は離さず最後まで走り切ろうとやってきました。それが一番苦労した点ですかね」。DREAMSは常に挑戦し続けた。開幕戦では急遽作品を変更した。「後半戦はチャレンジし続けたんですが、結果が出なかった」。ROUND.10の前にはチームに亀裂が入りかけたこともあったという。ROUND.12ではLegitと対戦した際には「挑戦的で芸術的な作品をつくりましたが評価されなかった」と2対4で敗れた。「負けるとすごくダメージくらうんです」。作品や自らのスタイルを否定されたような気にもなるのだろう。それでもCSの出場権を最終ROUND.14で掴み取り、頂点に上り詰めた。チームとしてのレジリエンス(回復力、耐久力、しなやかさ)を発揮した今季だったのではないだろうか。
DREAMSのKEITA TANAKAディレクターは開幕前のROUND.0で、「僕らが目指すのは優勝ではない。ひっくり返すこと。ダンスで。何を? 世界を」と宣言した。この日のステージ上でも同じことを誓った。6月15日には地元川崎のとどろきアリーナでのワンマンライブを開催する。「川崎から世界を変えるダンスチームであり続けたいと思います」とKEITA TANAKAディレクターは前を見据えた。
(文・写真/杉浦泰介)