井岡一翔、統一戦で無敗のIBF王者に判定負け ~ボクシング世界戦~
7日、ボクシングのWBA&IBF世界スーパーフライ級王座統一戦が東京・両国国技館で行われ、WBA王者の井岡一翔(志成)がIBF王者フェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)に判定で敗れた。
七夕に王座統一の願いは叶わなかった。井岡にとって5年7カ月ぶりの黒星を味わうこととなった。試合後、傷が目立つ顔で「結果を出すため、王座を統一するためにやってきたので、結果としてはすごく悔しい」と話した。「試合を通して1ラウンド1ラウンド、全力で戦ってやり抜いた気持ちがあった。それに尽きます」
接近戦も厭わぬ戦いで打ち合った。「相手を下がらせることを、彼が一番得意としている。相手を後退させ、自分が前に出て優勢に進めたいというボクシングスタイルだと思う」と退かず、プレスをかけ続けた。被弾し、顔をはね上げられる場面が目立ったが、左ジャブ、左右のボディ、コンビネーションを軸に戦った。
「セコンドも戦い方に手応えを感じていたと思う。ボディーも効いていたし、削れているという自分たちの認識の中で進めていった」
手数と印象度ではマルティネスが優位、プレスをかけていく積極性では井岡という構図。井岡コールに押されながら、前にいく足を止めなかった。しかし互いに決定打を奪えぬまま、ラウンドを重ねていく。勝負の行方は判定へ。「12ラウンド通して戦っていなかった。1ラウンド1ラウンド。倒すつもりで判定まで考えていなかった。正直、勝ったか負けたか、分からなかった」
ジャッジは1人がフルマーク(120-108)、他2人も4点以上差を付け(117-111、116-112)でマルティネスを支持。前に出続けた井岡だったが、「効かなかったが、身体ごと持っていかれるような、バランスが崩れるような感じはあった」というように見栄えは悪かった。一方でボディを効かせながらマルティネスの堅い守備にも手を焼き、「厚みがすごかったです。でかいサンドバッグを叩いているみたいだった」と決定打を奪うまではいかなかった。
会見でも「やり切った」と口にしていたように、悔しさは抱きつつも、選択した戦い方に後悔はないという。今後については「今すぐには受け止められない。自分がこの先、人生としてどういうふうに戦っていくのか考えないといけない。今はまだ終わったばかりなので、そこまでは考えられてはいない」と話すにとどめた。
勝ったマルティネスはこれで連勝を17に伸ばし、無敗で2団体統一王者に就いた。「新しいタイトルを探しに行きたい」。WBC王者はジェシー・ロドリゲス(アメリカ)、WBO王者は田中恒成(畑中)。井岡の再戦についても、「報酬次第」と可能性を否定しなかった。
(文・写真/杉浦泰介)