3月21日(土)、J2第3節となる愛媛FC対FC岐阜の一戦が、ホーム(ニンジニアスタジアム)にて行われた。
 開幕戦では水戸ホーリーホックを相手に逆転勝利。第2節では、J2新加盟の未知なるチーム、カターレ富山にも勝利を収め、開幕2連勝で迎えた今節。チーム状況も良いだけに、3連勝を手に入れ、波に乗りたいところだ。
(写真:タッチライン際での攻防)
 今日の対戦相手はFC岐阜。昨シーズンの対戦成績は、愛媛の2勝1分けと相性の良いチーム。臆することなく試合に臨めるはずだ。その上で序盤から主導権を握ることができたなら、圧勝も期待できると思う。
 
 晴天に恵まれた今日の愛媛県総合運動公園。ピッチコンディションも良好だ。新緑の芝生が目に眩しい。
 午後4時、愛媛FCのキックオフで試合がスタートした。
 序盤から、両サイドスペースを利用し、テンポ良く攻撃を仕掛ける愛媛の攻撃陣。DF陣もうまく最終ラインをコントロールしつつ、相手の攻撃の芽を摘んでいる。初先発のDFアライール選手も、巧みなマークで敵FWに仕事をさせていない。
 
 順調なペースで試合は進み、前半43分、ついに歓喜の瞬間が訪れる。敵陣内センターサークル外側でMF田森大己選手がファウルをもらい、愛媛FCがフリーキックのチャンスを得た。

 キッカーはMF大山俊輔選手。敵ペナルティアークへ向け、低い弾道の鋭いクロスボールを放った。敵ペナルティエリアに陣取るFW田中俊也選手が、このボールを捉え、敵DFを背負いながら、ボールを胸でトラップ。落ちてきたボールをオーバーヘッド気味に蹴り上げ、ゴール前へと浮き玉を供給する。このボールを捉えたFW内村圭宏選手が、起き上がり、体勢を立て直した田中選手へと、ヘッドで柔らかくボールを戻した。

 目前に転がって来たボールを捉え、豪快に右足を振り抜く田中選手。強烈な弾丸シュートが、敵ゴールに襲いかかる。敵GKが一歩も動けないまま、ボールはゴール右上隅に突き刺さった! 「見事な先制ゴール!」。大歓声が湧き起こる!
 
 この先制点で、完全に主導権を握った愛媛FC。後半に入っても、その勢いは衰えない。
 後半3分、左サイド中盤に陣取るMF横谷繁選手がルーズボールを拾い、同サイドの高い位置でフリーになっている内村選手へ向けてパスを供給。タメをつくりつつ、前線に向けてオーバーラップを仕掛けるMF赤井秀一選手へとボールを送る。

 そのままドリブルで敵陣中央へと攻め込む赤井選手。敵DF陣を引きつけながら、ペナルティアーク前に陣取る大山選手へとパスを通した。ボールを受けた大山選手が、敵DFライン裏へと飛び出す構えをみせていた田中選手の目前のスペースへ向けて、スルーパスを供給。ボールを捉えた田中選手が、敵GKの動きを確認しつつ、グラウンダーのシュートを放った。
(写真:敵陣に向け、ドリブル突破)

 ボールは、敵GKの股間を擦り抜け、見事ゴールイン! 素晴らしい連携からの追加点に、スタジアムは大興奮! 今日、2得点の田中選手を称える拍手と歓声が鳴り止まない。
 
 そして、時間は経過し、後半もロスタイムに突入。自陣ゴール前からのクリアボールを、自陣右サイドに引いていた大山選手が拾う。そして、同サイドのセンターライン付近に陣取る内村選手へとロングフィードを供給する。そのボールを足元におさめる間に、内村選手をも追い越し、敵陣目がけて全速力で駆け上がるFWジョジマール選手。彼の目前のスペースへ向けて、スルーパスを通す内村選手。ボールに追いついたジョジマール選手が、そのままドリブルで敵ペナルティエリアまでボールを持ち込み、敵DFと競り合いながら、左足でシュートを放った。

 ボールは、敵GKの伸ばした足先をすり抜け、見事、敵ゴールに突き刺さった! チームメイトと抱き合って、喜びを爆発させるジョジマール選手。サポーターたちも、彼を称えるコールを連呼する。スタジアム全体に歓喜の輪が広がっていく。最高の雰囲気の中、楽しい時間は過ぎ去り、ついにはタイムアップ。
 
 結局、最終スコア3−0で愛媛FCの完勝であった。試合を終え、満面の笑みをたたえ、サポーターに向かって挨拶する選手たち。ゴール裏席の前では、もう恒例となった「勝利のラインダンス」をサポーターたちと共に、楽しげに踊っていた。

 この結果、愛媛FCは開幕3連勝をマーク! 得失点差で、J2リーグ戦の(第3節終了時点)単独首位に躍り出たのだ。そして、開幕から3試合での総得点数は、なんと8得点。決定力不足と言われた昨シーズンとは、全く別チームのようだ。

 嬉しいのは、そのうち7得点を、ストライカーであるFWポジションの選手たちが、叩き出していることである。「点を取るべき選手達が、しっかりと、その役割を果たしてくれれば、チーム全体の雰囲気も良くなっていくのだ」ということを改めて実感できた。また今節は、シーズン初の無失点、完封勝利ということもあり、守備を担うDF陣には、大きな自信をもたらしてくれたに違いない。
 
 これまでのイメージから、大きく生まれ変わった愛媛FC。「次の試合が、待ち遠しい!!」。そんな気持ちにさせてくれるようなチームへと日々成長している。


松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール
 1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
 愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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