3月29日(日)、J2第5節となる愛媛FC対セレッソ大阪の一戦が、ホーム(ニンジニアスタジアム)にて行われた。
 開幕から4連勝をマーク(第4節終了時点)し、首位を独走するセレッソ大阪。その強敵をホームに迎え、愛媛FCが望月サッカーのポテンシャルを発揮できるかどうか注目のゲームとなった。
(写真:宇和島市から応援に駆け付けた牛鬼(山車))
 今日のニンジニアスタジアムは、バックスタンド方向からメインスタンドに向けて、上空の雲を押し流すほどの強い風が吹き荒んではいるが、雨の心配はなく、良好なピッチコンディションとなった。整われた環境の中、好ゲームが期待できそうである。
 
 午後2時、セレッソ大阪のキックオフで試合がスタートした。立ち上がりから、強引な突破で自陣に攻め込んでくる相手の攻撃陣。対する愛媛イレブンも怯まず、体を張ったマークと果敢なチェイシングで敵の攻撃の芽を摘んでいく。GK山本浩正選手もナイスセーブを連発し、愛媛ゴールを死守している。
 好守備でリズムを掴みつつ、敵陣内のサイドスペースを利用したスピーディーな攻撃を展開する愛媛FC。一進一退の攻防が続く中、前半は0−0のスコアで終了した。
 
 後半戦序盤、高い位置での積極的なプレスを駆使し、敵陣内にてボールをキープできるようになった愛媛イレブン。後半11分、センターサークル内にてFW内村圭宏選手がファウルを受け、フリーキックのチャンスを得た。DFアライール選手が素早くボールをセットし、敵陣内の左サイドで高い位置に陣取るFW田中俊也選手に向けてロングフィードを供給する。

 ボールを受けた田中選手は、そのままドリブルで敵ペナルティエリア左外側までボールを運び、右足を大きく振り抜いてグラウンダーのシュートを放った。しかし、敵GKが正面でガッチリとキャッチ。先制ゴールにはならなかったが、勢いのあるシュートだった。

 後半17分、敵陣内の右タッチラインからのスローインのボールをキープするMF大山俊輔選手。そのまま、右サイドスペース高い位置に向けて、巧みにボールを運んでいく。同サイドからゴール前に向けて、アーリークロスを供給する大山選手。このクロスを捉えた田中選手が、胸トラップで足元にボールをおさめ、立ち塞がる敵DFをかわしながら、右足を鋭く振り抜きシュートを放った!
(写真:敵ゴール前、愛媛の決定的シュートシーン!)

「これは、入った!」と一瞬思ったが、敵GKが必死のセービングを見せ、惜しくもゴールならず。「残念だ」
 その直後(同じく後半17分)、敵陣内にてボールをキープしている敵DFに対し、MF横谷繁選手が素早いタックルを仕掛け、ボールを奪う。そこからのルーズボールを拾い、ドリブルで敵ペナルティアークまでボールを持ち込む田中選手。細かくトラップを挟み、敵DFをかわしながら豪快に左足を振り抜き、シュートを放った。

 低い弾道のボールが、敵ゴールマウスに襲いかかる。次の瞬間、敵GKが横っ飛びで必死のセービング。GKに弾かれたボールは、ゴールラインを割ってピッチの外へと飛び出していった。
「惜しい! コースが良ければ……」
 またもや、得点には至らなかった。スタンドからは、大きな溜め息がこぼれる。

 決定的なシーンや惜しいシュートの連続で、明らかに流れは愛媛へと傾いていたように思えたのだが、後半22分、敵MFに自陣中央を個人技で突破されると、そのままミドルシュートを放たれ、ゴールを決められてしまった。欲しかった先制点を相手に献上してしまったのだ。

 その後、愛媛イレブンも奮起し、サイド攻撃やロングフィードなどの果敢な攻めで、反撃を試みるが、時間は過ぎ去り、ついにはタイムアップ。最終スコア0−1で、愛媛FCの悔しい敗戦となった。
 
 個人技により1ゴールを奪われたものの、リーグ1番の攻撃力と謳われるセレッソ攻撃陣を相手に、気持ちのこもった素晴らしい守備をみせてくれた愛媛FC。攻撃面においても、幾度となく迫力満点の決定機をつくり出していたし、本当に見応え充分の良い試合だったと感じる。

 結果に関しては残念だったが、この試合で発揮された「闘う気持ち」を忘れることなく、リーグ戦を突き進んでほしいと思う。決して平坦な道のりではないが、きっと、その先には明るい未来が見えてくるはずだ!


松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール
 1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
 愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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