野球独立リーグの先行きに黄信号が点滅している。
 先頃、四国・九州アイランドリーグの福岡レッドワーブラーズが経営の立て直しをはかるため、来季のリーグ戦に参戦しないことを決めた。球団は存続し、11年からの復帰を目指す。
 レッドワーブラーズは08年の球団創設当初から苦戦が続いていた。1試合平均の観客動員は08年が498人、今季は489人とリーグ平均(08年=886人、09年=782人)を大きく下回っている。スポンサー収入も先細りで今年度は4千万円の赤字が見込まれている。なお、リーグ全体では2億2千万円の赤字となる見通し。

 経営が厳しいのはアイランドリーグだけではない。今季からスタートした関西独立リーグは5月に運営会社が撤退し、各球団への分配金3千万円が未払いの事態に陥った。来季は選手給与を今季の月額20万円から8万円+出来高払いに削減し、支払い期間も7カ月に短縮して乗り切る構えだ。
 北陸と上信越をフランチャイズとするBCリーグにも冷たい風が吹いている。08年に参戦した福井ミラクルエレファンツの累積赤字が約5千3百万円に膨らみ、7月より地元の福井新聞の全面支援を受けたことで、やっと一息ついた。

 昨秋のリーマンショック以降、地方を本拠とする独立リーグの経営環境は日増しに悪化している。景気が二番底に落ちるようなことがあれば第二、第三のレッドワーブラーズが現れないとも限らない。行政サイドに頼ろうにも、「無い袖は振れない」のが実情だ。

 独立リーグの疲弊はNPBにとっても他人事ではあるまい。これまでアイランドリーグは20人、BCリーグは7人のプレーヤーがドラフト指名を受けた(育成も含む)。彼らは独立リーグがなければNPB入りどころか、早い段階で野球を諦めざるをえなかった選手たちである。すなわち独立リーグは人材供給源としてNPBを下支えするばかりでなく、一度は野球への夢を諦めかけた若者の再チャレンジの場としても機能しているのだ。
 こうした現状を踏まえて考えるとNPBは独立リーグの窮状をただ傍観するのではなく、何がしかの有効かつ迅速な支援を行う必要がある。場合によってはNPBのファーム再編をも視野に入れた話に発展していくかもしれない。

<この原稿は09年11月11日付『スポーツニッポン』に掲載されています>
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