今シーズンのバレーボールV・プレミアリーグ女子のレギュラーラウンドも残りわずかとなった。既に首位通過でセミファイナル進出を決めているJTマーヴェラス。14日に久光製薬スプリングスにフルセットの末に敗れ、連勝は25でストップしたが、目標はあくまでもファイナルラウンドでの優勝。チームにはこれまで積み上げてきた確固たる自信がある。その中軸を担っているのが、司令塔の竹下佳江だ。司令塔ならではの視点に迫る。


 アジアNo.1アタッカーの存在

二宮: 昨シーズンは入れ替え戦を経験し、首の皮一枚でプレミアリーグ残留を決めました。ところが今シーズンは一転、首位を独走しています。これだけチームが変わった一番の理由は?

竹下: スタッフも含めてメンバーがガラリと変わりました。これが大きかったと思います。

二宮: 特にキム・ヨンギョンの加入はチームに大きな影響力をもたらしています。セッターの目から見て、彼女はどんな選手ですか?

竹下: 非のうちどころのない選手です。あくまでもこれは自分のイメージですが、身長の高い選手はどちらかというと不器用なところがあるものなんです。ところが、彼女に限っては、何もかもがこなせてしまう。本当にすごい選手です。

二宮: あえて欠点をあげるとしたら?

竹下: サーブですね。それさえ改善されれば、パーフェクトです。

二宮: もともと子供の頃は背が低くて、リベロやセッターをやっていたようですね。それが今、経験としていかされているのでしょうか?

竹下: はい。まさに世界トップレベルのオールラウンダーだと思いますよ。

二宮: 性格はどうですか?

竹下: 新しい環境になじむのが早いですね。いろいろなタイプの人に対応することができます。彼女自身もすごく明るくていい子ですよ。

二宮: でも、ヨンギョン選手は韓国代表のエースですから、チームを離れることも少なくないですよね。

竹下: はい。でも、彼女は途中から入ってもすぐにチームに溶け込んでプレーできるんです。そういう意味でも順応性の高い選手ですね。

二宮: アタッカーというと、どちらかというとスパイクはガンガンにいくけど、その他は不器用というイメージがあったのですが、彼女はそのイメージを変えました。

竹下: 特にスーパーエースなんかは二宮さんがおっしゃったタイプが多いと思います。でも、彼女は違うんです。スパイクも強烈ですけど、他のプレーも器用にこなしてしまう。恐るべし、22歳です。

二宮: 竹下さんがこれまで一緒にプレーしてきた選手の中でも、ナンバーワンのアタッカーと言っても過言ではない?

竹下: そうですね。トータルではずば抜けていると思います。間違いなくアジアではナンバーワンです。

 多彩な攻撃で楽しさアップ!

二宮: それにしても25連勝を含む26勝2敗(21日現在)という成績はすごいですね。竹下さんは以前、NEC時代に全勝優勝されています。あの時は決勝ラウンドも含めて21連勝しました。その時のチームと比べて、今のJTマーヴェラスはどうですか?

竹下: 今のチームも結果をきちんと出してはいるんですけど、チームとしてまだ若いだけに、怖さもあり、勢いもあり、という感じだと思います。

二宮: それでも、攻撃力は他を圧倒していますよね。センター、サイド、バックとどこからでも強烈なスパイクが出てきます。

竹下: そうですね。センター線の山本(旧姓・大友)愛や石川友紀がよく機能しているので、攻撃的にはバリエーションが増えましたね。

二宮: セッターの立場では、トスの上げ甲斐があるのでは?

竹下: はい。いろいろなカードが切れるので、楽しくバレーができています。

二宮: 竹下さんはJTマーヴェラス、日本代表と、どちらも司令塔として活躍しています。ずっと所属チームにいない分、客観的な視点でJTマーヴェラスを見ることもできるのでは?

竹下: そうですね。自分が代表で抜けていないことも多いんですけど、その中で毎年、選手たちが夏にもまれて、冬にたくましくなっていく姿を見るのは楽しいです。しばらく代表でチームから離れていると、戻ってきたときに「あれ、こんなに成長しているんだ」と驚いたり、逆に「こんなはずではなかったのに」と思ったり……。そういうのは肌で感じるんです。

二宮: 今シーズンは?

竹下: すごくいいチームにまとまってきているな、と感じました。石原昭久監督の指示が明確だったので、選手たちは迷うことなく走ることができたと思います。

(Vol.2につづく)

竹下佳江(たけした・よしえ)プロフィール>
1978年3月18日、北九州市生まれ。小学2年からバレーボールを始め、5年生からセッター一筋。不知火女子高(現・誠修高)3年時には世界ユース選手権で優勝した。1996年にNEC入社。翌年、全日本代表に初選出され、2000年シドニー五輪世界最終予選からレギュラーに定着した。02年JTに入社し、04年にはプロ契約を結ぶ。2004年アテネ五輪、08年北京五輪と2大会連続で出場を果たす。JTマーヴェラスでは司令塔および精神的支柱としてチームに貢献している。


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