スペインの初優勝で、幕を閉じた2010FIFAワールドカップ南アフリカ大会。その興奮と感動が冷めやらぬ中、いよいよJリーグが再開される! サッカー競技へと熱い視線が注がれる今こそ、愛媛FCの頑張りとアピールが必要である! 
 7月17日(土)、J2第18節となる愛媛FC対カターレ富山の一戦が、ホーム(ニンジニアスタジアム)にて行われた。ここ3試合(第17節終了時点)、勝利から遠のいている愛媛FC。サポーターのしびれが切れる前に、ぜひとも結果をもたらしてほしい。
(写真:得点機、敵ゴール前に詰める選手)
 この日、梅雨明けが発表された四国地方。会場となるニンジニアスタジアムも前日までの雨が上がり、朝から晴天に恵まれた。しかし、日照不足の影響からだろうか、芝生の夏枯れが目立つ。雨水を含んだグラウンドは所々ぬかるんでおり、ピッチコンディションは思わしくない状況だ。
 
 試合に先立ち、愛媛FCの先発メンバーが発表される。そこにはDF関根永悟選手の名前。今節でJリーグ通算100試合出場となった。入場後、記念セレモニーも行われ、やる気もみなぎっていることだろう。試合での活躍に期待したい。
 
 夕日がピッチに差し込む中、時刻は午後6時を廻り、カターレ富山のキックオフで試合がスタートした。
 序盤、ロングフィードを駆使して敵陣へとボールを進める愛媛FC。前線ではアタッカー陣が細かくポジションを変えながら、敵DFライン突破の機会をうかがっている。

 前半7分、自陣内のDF松下幸平選手から前線に向けてロングフィードが供給される。敵DFが、このボールを一旦クリア。左サイドから中央へと走り込んできたFW石井謙伍選手がクリアボールを捉える。敵ゴールまでは、まだ30m近く距離を残す位置ではあったが、バウンドするボールにタイミングを合わせ、右足を豪快に振り抜いた! 放たれたボールはドライブがかかり、弧を描きながら敵ゴールへと襲いかかる! しかし、敵GKが必死のセービング。惜しくもゴールには至らなかった。

 前半27分には、右サイドからボールを持ち込んだMF赤井秀一選手が、ペナルティエリアのライン際からミドルシュートを放つが、僅かにゴールマウスを捉えることはできなかった。それでも愛媛イレブンの積極的な攻撃姿勢がうかがえ、徐々にゴールへの期待が膨らんでいく。
 
 前半44分、敵陣内中央でFWジョジマール選手が敵のパスをブロック。こぼれたボールを背後から走り込んできたFW福田健二選手が拾い、ペナルティアークへとドリブルで持ち込む。その前方で敵DFが立ち塞がるが、それをかいくぐるように身体を寝かしながらスライディングシュートを放った! グラウンダーのボールは、敵DFとGKの横をすり抜け、見事ゴールマウス右隅に突き刺さった!

 素晴らしい先制ゴールだ! 大歓声が湧き起こるスタジアム! 両手を広げ、喜びを爆発させる福田選手。チームメイトが駆け寄り、手荒な祝福を浴びせる。サポーターたちも「スウィーンギン! スウィンギン・エヒメ! フォーエバー!〜」と先制ゴールを喜び、選手を称えるコールを繰り返していた。

 序盤から高い支配率を保ちつつ、チームの精神的主柱でもある福田キャプテンのゴールが飛び出した。これで愛媛FCが完全に試合の主導権を握ったかに思えたのだが、後半11分、オウンゴールで相手チームに1点を献上。同点に追いつかれてしまった。

 この失点で、状況は一変。攻守のバランスが崩れ、相手に押し込まれるシーンが続く。
 苦しい中、チャンスは少ないが愛媛FCも反撃を試みる。後半31分、右サイドに陣取るMF大山俊輔選手が、敵ゴール前に向けて絶妙のアーリークロスを供給。ゴール前に詰めていたMF杉浦恭平選手が、このクロスを捉え、ヘディングシュートを放つも得点には至らなかった。その後も攻撃を繰り出す愛媛だが、ことごとく単発に終わり、敵を追い詰める効果は薄い。
(写真:自陣ゴール前。守備に追われる選手たち)

 終盤に突入する中、守勢に廻りつつもGK山本浩正選手やDF陣の踏ん張りで、何とか残りの時間をしのぎ切ることができるかと思ったのだが、後半44分、悲劇が訪れる。自陣内、敵によるフリーキックのリスタートから相手に逆転ゴールを決められてしまったのだ。
 
 アディショナルタイムに入り、愛媛イレブンもリスクを負って攻撃を仕掛けるが、無情にも時間は過ぎ去り、ついにはタイムアップ。
 最終スコア1−2で第15節(ヴァンフォーレ甲府戦)に続き、愛媛FCは、またしてもホームゲームで悔しい逆転負けを喫してしまった。

 暑さのせいか、チームの特長とも言える守備力が後半から急激に落ち込み、集中力も低下していたように見えた。守備でリズムを整えられず、結果、攻撃の組み立てもうまくできなかったため、相手に主導権を奪われてしまった印象である。
 
 ここにきてケガの選手も続出し、チームとしても苦しい時節を迎えていると思われる愛媛FC。しかし、公式戦スケジュールは待ってはくれない。出場可能なメンバーで、もう一度、チームを立て直し、リーグ後半戦の波に乗り遅れないように踏ん張ってもらいたいものだ。


松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール
 1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
 愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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