8月1日(日)、J2第20節となる愛媛FC対サガン鳥栖の一戦が、ホーム(ニンジニアスタジアム)にて行われた。
 この日も晴天に恵まれた松山市。ニンジニアスタジアムにも真夏の厳しい日差しが降り注ぐ。夕刻を過ぎてもなお、炎天下の熱気が冷めやらぬピッチ上で、今節もお互いの体力を削り合う激闘が繰り広げられるのだ。
(写真:敵ゴール前に詰める愛媛FW陣)
 照明塔に灯が燈る中、時刻は午後6時を廻り、愛媛FCのキックオフで試合がスタートした。
 序盤、両サイドスペースでパスを繋ぎ、敵陣へとボールを進める愛媛FC。しかし、開始から20分を過ぎると、敵によるロングフィードなどで簡単に自陣へと攻め込まれ、フィニッシュまでの流れを相手につくられてしまう。
  
 劣勢に立たされる中、DF陣の積極的な攻撃参加で再度、リズムを取り戻す愛媛。
 前半40分、敵陣内中央でボールをキープするFW福田健二選手。右サイドスペースへ向けてオーバーラップを仕掛けるDF関根永悟選手を確認し、ロビングのパスを送る。ボールを受けた関根選手が、そのまま右サイドをドリブルで駆け上がり、敵ゴール前に向けてセンタリングを供給。ペナルティエリアに詰めていたFWジョジマール選手が、このボールを捉え、大きくジャンプ! 打点の高いヘディングシュートを放つが、惜しくもゴールマウスを捉えることはできなかった。
 
 前半戦は、スコアレスのまま終了。
 後半立ち上がり、敵による素早いアプローチからの積極的なプレスで押し込まれ、苦しい状況に陥る愛媛FC。
 後半13分、敵によるパワープレーの状況下でミドルシュートを決められ、相手に先制点を献上してしまった。
  
 早くもスタミナが切れてしまったのか、全体の動きが重く感じられる愛媛。主導権を相手に握られ、なかなか敵陣内へと攻め込むことができない。
 鳥栖の攻撃陣は、かさにかかって攻め立てゴールへと襲い掛かるが、愛媛も持ち前の粘り強い守備で苦しい時間帯を何とかしのぎきる。
 
 守備でリズムを整えつつ、最終ラインから攻撃を組み立て反撃を試みる愛媛イレブン。
 後半32分、DFアライール選手からのロングフィードを敵陣内左サイドに陣取るMF持留新作選手が足元にキープ。同サイドからペナルティアークへ向けてアーリークロスを供給する。このボールを捉えたのは、ジョジマール選手。ゴールを背にした体勢でボールを受け、ワントラップを挟みつつ、身体を反転させながら強烈なボレーシュートを放った! しかし、敵GKの必死のセービングで惜しくもゴールには至らなかった。
 それでも素晴らしいシュートが飛び出し、一気に反撃ムードが高まる愛媛FC。サポーターも大きなコールや声援を送り、選手たちを勇気付ける。
 
 後半41分、GK山本浩正選手からのロングフィードを敵陣内中央に陣取るアライール選手が、ヘディングで前線スペースへと流し込む。そこに走り込んできたのはジョジマール選手。敵DFと競り合いながら、ペナルティエリアでこのボールに追いつき、左足でジャンピングキック! ループシュートだ! ボールは放物線を描きつつ、敵GKの頭上を越え、ゴールマウスへと突き刺さった! 見事な同点ゴール! 大歓声が沸き起こる! 天高く両手を突き上げ、喜びを爆発させるジョジマール選手。
「ジョジマール! バーモ! ジョジマール〜!」
 サポーターたちによるジョジマール選手を称えるコールが鳴り止まない。
(写真:フィードボールを競り合う)
 
 その後、両者ともに最後の力を振り絞って激しい攻防を展開するが時間は過ぎ去り、ついにタイムアップ。結局、最終スコア1−1の引き分けに終わった。
 リードされ、敗戦も覚悟していた中、終了間際に同点に追いつくことができたという喜びがあるものの、試合中盤に見られた運動量の落ち込みがなければ、充分に勝利も窺えた試合だっただけに悔しい気持ちも残る。
 
 愛媛FCにとっては、各環境下におけるコンディションの調整が今後の課題と言えるのかもしれない。バルバリッチ監督をはじめ、スタッフ陣も苦しい台所事情の中、大変だとは思うが、厳しい夏場を闘えるチームづくりに励んでもらいたいところである。


松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール
 1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
 愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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