すったもんだの末にサッカー日本代表新監督が決定した。
 セリエAの強豪ACミランなどで指揮を執ったアルベルト・ザッケローニがその人だ。

 ハンスオフトに始まり、パウロ・ロベルト・ファルカン、フィリップ・トルシエ、ジーコ、イビチャ・オシムとこれまで5人の外国人が日本代表の指揮を執ったがイタリア人は初めて。ザックジャパンの先行きはともかくとして、サッカーの中心であるヨーロッパ市場に赴き、イタリアのビッグクラブを指揮した経験のある指導者を獲得できた意義は大きい。

 ザッケローニは「真面目な人柄」。で知られる
「攻守におけるバランスの取れた哲学を持ったチームを作りたい。私はできるだけ長く指揮できることを願っている。もちろん結果次第だろう。日本の財産となる結果を残せるように、私が去るときに、何かポジティブなものが残せるように心がけたい」
 カルチョの国から招いた大物だけに日本協会は全面的にバックアップする方針。コーチの人選も新監督の要望を最大限受け入れる構えを見せている。

 そこで提案だが、せっかく大物監督を迎えたのであれば、もっと国外でのテストマッチを増やしたらどうか。
 というのも親善試合における日本代表のホームゲーム比率は極めて高いのだ。
 06年ドイツW杯から10年南アフリカW杯の間に行われた35の親善試合のうち、国外で行われたゲームは10試合のみ。しかもそのうちの6試合がアウェーではなく中立地。つまり実質アウェーは4試合。これは全親善試合の1割程度である。

 南アW杯で岡田ジャパンが決勝トーナメント進出を果たした理由のひとつとして、本番前の“出稽古”があげられる。合宿地でイングランドとコートジボワールに軽くひねられたが、世界の壁を実感する上では価値のある敗戦となった。
 ザックジャパンには“出稽古”の機会を、もっと与えてやって欲しい。

<この原稿は2010年9月20日付『週刊大衆』に掲載されたものです>

◎バックナンバーはこちらから