福井ミラクルエレファンツとの北陸地区チャンピオンシップを勝ち抜き、現在は上信越地区チャンピオン・群馬ダイヤモンドペガサスとのリーグチャンピオンシップ真っ只中です。ホームでの2試合を終えて1勝1敗。16日からは群馬・敷島球場で行なわれます。
 昨季に続いての群馬とのチャンピオンシップは、エラーや四球など、一つのミスが試合を決める、そんな緊迫した接戦を予想していました。そのため選手には「強い気持ちを持って、一球一球に喰らいついていこう」と話をしていたのですが、第1戦、第2戦はまさにその通りの試合展開となりました。

 今季、「1点を守り勝つ野球」をしてきた石川にとって、短期決戦のチャンピオンシップでも戦い方は変わりません。やはり、ポイントはバッテリー。先発ピッチャーが試合をつくってくれれば、自ずと勝機は生まれてくる。その先発ピッチャーをしっかりと支えてくれているのが、キャッチャー深澤季生(藤嶺藤沢高−専修大)です。守備でも好リードをしてくれていますし、ここのところあまりよくなかったバッティングでも、第2戦の初回にはチーム唯一のタイムリーを放ちました。その1点があったらからこそ、8回には無安打ながら相手エラーから1点をもぎとり、勝つことができたのです。

 2試合ともに先発ピッチャーはよく投げてくれました。第1戦は負けはしたものの、山下英(七尾工高−名古屋学院大)が1失点完投。第2戦では山崎猛志(洲本実高−甲賀健康医療専門学校−シダックス−西濃運輸)が8回を1失点で勝利投手となりました。どちらもホームランでの失点。しかも、きちんとコースに投げたボールではなく、インコースに要求されたものの、真ん中に入ってしまったというような失投でのホームランですから、修正は十分に可能です。シーズンを通してやってきた通り、打たれてもホームランにはならず、ヒットにしかならないアウトローを軸に、インコースをうまく使った配球をしていけば、全く問題はありません。

 現在行なわれているNPBのクライマックスシリーズを見ても、短期決戦ではやはり初戦が重要になります。私も、群馬とのチャンピオンシップでは初戦がカギになると思っていました。しかし、結果は1−2での惜敗。ホームでの開幕戦をモノにすることができませんでした。それでも群馬との力量は僅差であることを再確認することができた試合でもあったのです。あとはチャンスに1本あるかどうか。その1本が第1戦では群馬に、第2戦では石川に出たのです。

 今季、リーグ戦での群馬との対戦成績は前期が0勝4敗、後期が1勝3敗と大きく負け越しました。ですから、群馬は自信をもって、このチャンピオンシップに臨んできたことでしょう。しかし、1勝1敗となったことで、逆に自分たちは自信を得ることができましたし、群馬には「少しでもミスをすれば負ける」というプレッシャーを与えられたのではないかと思っています。 

 短期決戦では細かなプレーが、結果につながってきます。エラーはもちろん、一塁までの全力疾走、四球など、一つのミスが勝敗を分けるのです。この試合はまさにそのことを証明した試合でした。第1戦では、たった一球の失投が群馬の決勝ホームランを生み出し、第2戦では1−1の同点で迎えた8回裏、2死無走者から四球と内野守備のエラーで石川に決勝点が入ったのです。当然、両チームともに必死で勝利を目指しているわけですから、相手エラーをチャンスに変えていかなければ勝つことはできないのです。

 第3戦からはビジターでの試合が続きます。ホームでの2試合を通して、チームには「今まで通りの野球をやれば、十分に勝てる」という自信が湧いています。1年前の雪辱を果たし、初年度以来の3季ぶりのリーグ優勝を果たしたいと思っていますので、応援よろしくお願いします。 


森慎二(もり・しんじ)プロフィール>:石川ミリオンスターズ監督
1974年9月12日、山口県出身、岩国工高卒業後、新日鉄光、新日鉄君津を経て、1997年にドラフト2位で西武に入団。途中、先発からリリーバーに転向し、2000年にはクローザーとして23セーブを挙げる。貴重なセットアッパーとしてチームを支えた02、03年には最優秀中継ぎ投手に輝いた。05年オフ、ポスティングシステムによりタンパベイ・デビルレイズ(現レイズ)に移籍。2年間のメジャー契約を結ぶも、オープン戦初登板で右肩を脱臼。07年、球団から契約を解除されたものの、復帰を目指してリハビリを続けてきた。09年より石川ミリオンスターズのプレーイングコーチに就任。今季より金森栄治前監督の後を引き継ぎ、2代目監督としてチームの指揮を執る。



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