二宮: 斎藤佑樹投手(北海道日本ハム)、大石達也投手(埼玉西武)とともに早大ドラフト1位トリオとして注目されていますが、心の中では「オレが一番」との思いもあるのでは?
福井: いや。斎藤と大石が一番でしょう。 
(写真:「お好み焼きは広島風より関西風が好き」と明かす)
 斎藤、大石の長所

二宮: なかなか謙虚な答えですね(笑)。では、斎藤投手の一番良いところは?
福井: 調子の良し悪しにかかわらず、試合をつくれるところですね。ピッチングがクレバーですし、やはり何か「持ってる」なという感じがします。
 
二宮: 大石投手は? 
福井: アイツの魅力はストレート。分かっていても打てないくらいのストレートを投げますから。

二宮: 他に同期で同じセ・リーグとなると巨人に沢村拓一(中大)も入団します。彼に対するライバル意識はありますか? 
福井: あまり意識はしていないですね。大学時代もずっと斎藤、大石と素晴らしい見本がいたので、特別視したことはありません。
 
二宮: 同期には負けない自分の長所はどこでしょう?
福井: まだまだ自分は完璧ではないので、技術的では負けていると思います。ただ、打者に向かっていく気持ちだけは負けたくありません。 

二宮: それは逆に言えば、伸びしろがあるということでは? そこを広島も期待しているはずです。
福井: 焦らずに着実に課題を克服して、2、3年後にはマエケンくらい勝てる投手になりたいですね。ファンの方に「福井を観に行きたい」と思っていただけるような存在になりたいですし、チームからも「大事なところは福井で」と任せてもらえるように頑張りたいと思っています。

 ゆくゆくはメジャーへ

二宮: マエケンくらい勝ちたいとの話も出ましたが、理想にしている投手は?
福井: ケガをする前の斉藤和巳さん(福岡ソフトバンク)ですね。youtubeで動画を観て研究しています。

二宮: 対戦したいバッターはいますか?
福井: 特にはいませんね。相手の顔を見ると意識してしまうので、見ないでどんどん攻めていきたいと考えています。
 
二宮: 入団の際、野村謙二郎監督からはどんな言葉を? 
福井:「やってもらわないと困る」と言われました。期待の大きさを感じました。

二宮: ホームグラウンドとなるマツダスタジアムの印象は?
福井: すごくきれいで投げやすそうでした。試合で投げるのが楽しみです。でも、マウンドからみるとレフトがちょっと狭く感じましたね。高めに投げるとレフトにコンと運ばれるイメージがあります(苦笑)。

二宮: メジャーリーグの投手コーチも「キープダウン(低めに投げろ)」と口癖のように言っています。逆に言えば福井さんのボールを持ってすれば、低めにしっかり投げていれば、そう打たれるものではない。背番号11といえば、我々の世代では広島の初優勝(1975年)に貢献した池谷公二郎さんを思い出します。ファンは福井さんを広島の救世主として期待しているはずです。最後にズバリ、目標を。
福井: まずは開幕1軍ですね。その自信はあります。そして背番号(11)くらい勝てるのが理想ですね。ゆくゆくは日本で実績を残して、メジャーリーグに挑戦できるようなピッチャーになりたいと思っています。

(おわり)
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福井優也(ふくい・ゆうや)プロフィール>
 1988年2月8日、岡山県出身。愛媛・済美高時代は2年生エースとしてセンバツで初出場初優勝に貢献。夏の甲子園でも春夏連覇は逃したもののチームを準優勝に導く。05年の高校生ドラフトでは巨人に4巡目指名を受けながら入団を拒否。一浪して早大に入学。MAX152キロのストレートとスライダーを中心とする変化球を武器に、3年時から主力投手となり、六大学通算11勝(3敗)をあげた。昨年のドラフト会議で広島から1位指名を受け、入団。右投右打。背番号11。



<この記事は「二宮清純の我らスポーツ仲間」(テレビ愛媛、2011年1月2日放送)での対談を元に構成したものです>
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