二宮: レギュラーラウンドも残すところ、あと2試合となりました。JTマーヴェラスは既にファイナルラウンド進出が決定しています。今後は25日から始まるセミファイナル、そしてファイナルを視野に入れての戦いになると思いますが、今の心境はいかがですか?
竹下: もちろん残り2試合も勝ちにいきますが、その中でセミファイナルに向けて試すことも大事になってくるかなと思っています。そこで自分たちを冷静に見つめなおして、ファイナルラウンドには最高の状態で臨みたいですね。

二宮: ファイナルラウンドはどんな戦いになると考えていますか?
竹下:セミファイナルは4チーム総当たり戦ですから、レギュラーラウンドの順位は全く関係ありません。どのチームもファイナルへのチャンスがある。ですから、セミファイナルで力を出さないとファイナルに進むことはできません。とはいえ、やはり最後に力を出し切るのはファイナル。昨シーズンはセミファイナルではすごくチームがいい状態で3戦全勝することができました。ところが、ファイナルでは東レ・アローズに完敗。やっぱりファイナルにピークをもっていかないといけないと痛感しました。今シーズンはその経験をいかして、しっかりと準備していきたいと思っています。

 昨季の負けをムダにはしない!

二宮: 昨シーズンのファイナルの東レ戦ですが、第1セットは中盤までリードしていました。結局、26−28で奪われてしまうわけですが、もしあのセットを取ることができていたら、流れはJTマーヴェラスに傾いたように思います。
竹下: 確実にそうなったと思いますね。あの1セット目を取るか取られるか、で全く違う展開になっていたはずです。1セット目を取られたことで、2セット目以降、プレッシャーも大きかったですからね。ファイナルの怖さを思い知らされました。

二宮: 山本さんは久光製薬スプリングス時代も合わせると、2年連続で東レにファイナルで敗れているだけに、優勝への意気込みはより強いと思います。ファイナルで勝つには何が必要でしょう?
山本: 昨シーズンはセミファイナルで非常に調子が良かっただけに、当然、そのチーム状態のまま、ファイナルも戦えるだろうと甘くみていた部分があったかもしれないですね。もちろん、セミファイナルを勝ち抜かなければファイナルに行くことさえもできませんので、まずはセミファイナルで全力を出したいと思っています。さらにそこで気持ちを切らさず、心も体も最高のコンディションでファイナルに臨むことができれば、初優勝に手が届くはずです。

二宮: ヨンギョン選手は昨シーズン、敢闘賞、ベスト6賞、得点王とチームの大黒柱として素晴らしい活躍を見せてくれました。それこそ優勝できれば、最高のシーズンとなっただけに、ファイナルでの敗戦は相当悔しかったのでは?
キム: 昨年、ファイナルで負けた時には、すごく悔しかったし、とても悲しかったです。「私ってこういうプレーしかできないんだ」と思うほど、ショックでした。でも今思えば、自分をもっとレベルアップさせるためのいいきっかけになったと思っています。それに、負けたからこそ学んだものもありました。

二宮: 具体的に学んだものとは?
キム: 昨シーズンは、「自分には全て揃っている」「私が活躍すれば絶対に勝てる」という自信をもってプレーするようにしていたんです。でも、ファイナルではそういう気持ちが不足していたと思います。少し自分に甘くなってしまったことで、全てを出し切ることができなかった。敗因はそこにあったと思います。だがら今回は、絶対にそういった気持ちを切らさずに最後まで戦っていくつもりです。

 データを超えたエース同士の戦い

二宮: 東レには全日本エースの木村沙織選手がいます。どのような対策が必要でしょうか?
竹下: 全日本で一緒にプレーしている私とユウ(山本選手のコートネーム)が、チームのみんなに伝えていくことはたくさんあります。それと石原昭久監督が出してくれるデータをうまく融合させながら対策を練っていくと思いますね。ただ、彼女の場合はデータを超えるプレーをしてくるので、正直言って、本番でどれだけそれに私たちが対応できるか、その部分の方が大きいんです。

二宮: 東レも相当、研究してくるのでは?
竹下: 昨年のファイナルでもかなり研究されているなと感じましたね。私たちのいくつかある攻撃パターンに対してのレシーブやブロックのシフトをしっかりとしいてきていましたから。今年も徹底してくると思います。

二宮: 特にエースのヨンギョン選手に対しては、マークが厳しくなるでしょうね。
キム: 東レだけでなく、レギュラーラウンドの頃からずっと自分が研究されていることは感じていました。今シーズンも全てのチームが私を研究してきています。そのことがわかっていながら、前回のファイナルでは「相手がこういうシフトを敷いてきたら、こうしよう」というような準備が足りなかった。今回はしっかりと心構えをもって臨みたいと思っています。

二宮: 竹下さんと山本さんにとって優勝はNEC時代以来ということですから、勝てば感動も大きいでしょう。
竹下: 私の中ではもう既に優勝した後のことまで、イメージは出来上がっているんです(笑)。昨年はそのイメージを見事に覆されてしまったので、今年こそはイメージ通りにいかせようと思っています。

二宮: 具体的にはどんなイメージですか?
竹下: 優勝した瞬間はかなりのハイテンションになっているでしょうね(笑)。その後は……みんなで祝杯をあげて、昨年の分まで盛り上がりたいと思います!

二宮: 韓国リーグでは何度も優勝経験があるヨンギョン選手ですが、日本では初めてとなります。優勝した際、何かやってみたいことはありますか?
キム: みんなでビールかけをやりたいです(笑)。

 描き始めた優勝へのシナリオ

二宮: では最後に、ファイナルに向けての意気込みをお聞かせください。
山本: 今シーズンは後半戦に向けて選手層を厚くするために、昨シーズン出場機会のなかった選手もどんどん起用されました。そのために開幕戦での連敗など、苦しい時期もありましたが、今はチームの戦力が確実にアップしていることを実感しています。たとえファイナルラウンドで調子の悪い選手が出てきても、それをカバーできるだけの選手層があるのは昨年にはなかった強みですね。選手一人ひとりが「自分はチームの一員なんだ」という強い気持ちをもっていますし、チームの絆が深まっている。あとはここまできたら技術うんぬんというよりも、「絶対に負けたくない」という気持ちをどこまでもつことができるか。チームメイトを信じ、自分たちがやってきたことを信じて戦いたいと思います。

二宮: 今シーズンはいくつかゲームを落としながらも、首位をキープしています。昨シーズンのように圧倒的に強いというわけではない。でも、それが返ってチームにいい緊張感をもたらせているのでは?
竹下: その通りだと思います。そしてやはり一番は昨年、ファイナルで負けた悔しさが、チームにとってすごくいい経験になっているなと。新人の2人以外は全員がその経験をしているだけに、今シーズンはしっかりと準備することができます。

二宮: その準備というのは、やはり東レを視野に入れてということになりますか?
竹下: セミファイナルでは東レ以外とも試合をしますし、どの試合も非常に重要で、一戦一戦、高い意識をもって臨むつもりです。ただ、やはり私個人としては東レを視野に入れていますし、できればセミファイナルでファイナル進出を阻むことができればと思っています。それほど東レへの意識は強いですね。

二宮: ヨンギョン選手はどんな気持ちでファイナルラウンドに臨もうと思っていますか?
キム: もちろん優勝したいという気持ちは強いのですが、今はとにかく目の前の試合を一つ一つベストを尽くすことが重要だと思っています。その中でさらにいいプレーができるよう、そしてチームのコンビネーションを高めていけるようにすれば、自ずとファイナルラウンドで全てを出し尽くすことができるはずです。私にとってもチームにとっても、優勝への気持ちは昨シーズン以上に強い。だからこそ、簡単に口に出すのではなく、心に秘めるという感じ。それくらい重いものとして受け止めています。

(おわり)

竹下佳江(たけした・よしえ)プロフィール>
1978年3月18日、福岡県生まれ。8歳からバレーボールを始める。不知火女子高(現・誠修高)3年時にはユース代表に選出され、世界ユース選手権で優勝した。1996年、NECに入団。翌年、全日本代表に初選出される。2000年シドニー五輪最終予選からレギュラーに定着した。2004年アテネ五輪では5位入賞を果たす。08年北京五輪には主将として出場した。昨年の世界選手権で司令塔として銀メダル獲得に貢献。JTマーヴェラスでは今シーズン、入団9年目でチーム初の日本一を目指す。

山本愛(やまもと・あい)プロフィール>
1982年3月24日、宮城県生まれ。中学1年からバレーボールを始める。仙台育英高時代には世界ユース選手権で優勝した。2001年、NECに入団し、新人賞を獲得。同年、ワールドグランプリで日本代表デビューを果たした。04年のアテネ五輪に出場し、5位入賞に貢献。08年、2年ぶりに現役復帰し、久光製薬スプリングスに入団した。09年、JTマーヴェラスに入団し、前年、リーグ9位に陥ったチームの復活に大きく貢献した。翌年には全日本代表に復帰。昨年の世界選手権では32年ぶりのメダルを獲得する。JTマーヴェラスではNEC時代以来となる優勝を狙う。

キム・ヨンギョン プロフィール>
1988年2月26日、韓国・ソウル生まれ。2005年、興国生命ピンクスパイダーズに入団し、優勝に貢献。MVPおよび新人賞に輝いた。同年、17歳で韓国代表に選出される。192センチと長身ながら、レシーブ力にも定評がある。現在、韓国国内では“100年に1人の逸材”との呼び声高く、絶対的エースに成長した。昨シーズン、韓国史上初の海外移籍選手としてJTマーヴェラスに入団。総得点、アタック決定本数で1位を獲得し、レギュラーラウンド1位に貢献。今シーズンは11日現在、アタック決定本数2位、アタック決定率4位につけている。

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(構成・斎藤寿子)
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