バレーボールV・プレミアリーグ女子の全日程が終了した。今シーズン、レギュラーラウンドを制したのはJTマーヴェラスだ。開幕こそ連敗を喫したものの、石原昭久監督の下、徐々に結束力を高め、着実に勝ち星を重ねた結果、悲願の初優勝を達成した。2月末、初優勝を目指して奮闘中のJTマーヴェラスに二宮清純がインタビューを敢行。石原監督、キャプテンの坂下麻衣子に今シーズンについて振り返ってもらった。

二宮: 連勝街道をひた走った昨シーズンとは違い、今シーズンは黒星スタートとなりながら、苦しい時期を乗り越えてきました。それだけに、地に足のついた力強さをチームに感じています。
石原: 今シーズンのチーム強化のポイントは、層の厚さということでやってきました。これは昨シーズンの反省からきているんです。昨シーズンはレギュラーラウンド、セミファイナルで結果を出しながら、最後のファイナルで東レ・アローズにストレート負けを喫しました。そのとき感じたのが、層の薄さだったんです。決勝という土壇場で自分たちの戦術・戦略が通用しなかった場合の次のオプションを我々はほとんど持っていなかった。そのために相手にいった流れを引き戻すことができなかったんです。今シーズンはそういった状況を回避するために、最初からメンバーを固定せず、いろいろな選手を起用しながらオプションを増やしていこうと。そういうコンセプトの下でやってきたうえでの結果ということで、私としても満足しています。

 主力不在がチーム強化のチャンスに

二宮: 今シーズンは坂下麻衣子選手が新キャプテンに就任しました。坂下選手をキャプテンに指名した理由は?
石原: 私はJTマーヴェラスを日本一いいチームにしたいと思っています。バレーボール界のみならず、他の社会の人たちから見ても「あのチームの選手たちは社会人として非常に素晴らしい」と認めてもらえるような選手の集団にしたい。もちろん、結果は重要です。勝たなければ何を言っても認めてはもらえません。だからこそ、優勝したいと思っています。しかし、優勝はあくまでも前提条件であって、最終的なゴールではない。優勝しても、チームとしてやらなければいけないことはたくさんあるんです。とはいえ、その理想とするチームづくりはまだ成しえていないわけですから、手さぐりで進んでいくしかない。坂下をキャプテンに任命したのは、その手さぐりを彼女はやってくれると思ったからなんです。

二宮: 坂下選手自身は、キャプテンとしての役割をどう考えていますか?
坂下: これまでキャプテンの経験がないので、最初はどうすればいいのかわかりませんでした。それで監督に「私は何をしたらいいんですか?」と聞いたんです。そしたら「それを聞いてきた時点で正解だ」と言われたんですね。ということは、自分でできることを精一杯やればいいのかなと。そこで昨シーズンの反省をいかそうと思い、取り組んだのが選手間のコミュニケーション。選手全員が同じ方向を向いて戦っていける環境をつくることを意識してやってきました。

二宮: チームづくりの過程で代表選手が抜け、難しい面もあったと思います。
石原: そうですね。特に今シーズンの開幕時にはキム・ヨンギョンが合流できていませんでしたし、竹下佳江、山本愛も戻ってきてはいたものの、ベストなコンディションではありませんでした。ですから、他のメンバーで勝ち抜いていくということが求められたんです。オフの時期からそういった状況は想定していましたので、夏場からみっちりと鍛えてきました。結果的には開幕2連敗と非常に苦しい状況だったのですが、それでもなんとか踏ん張ってくれた。そのうちにヨンギョンが合流し、竹下、山本もフル出場するようになって勝率がグーンと上がり、最後はトップでレギュラーラウンドを終えることができました。しかし、それもあの苦しい時期を乗り越えてくれたメンバーがいたからこその勝率であり、順位だったんじゃないかなと思いますね。

二宮: チームと代表とでは戦略も戦術も異なります。問題はなかったですか?
石原: 実は初年度の昨シーズンも、そういった心配をしていたんです。さらに今シーズンは合流の時期が例年以上に遅かったので、選手同士でしっくりこないのではないかなと。ところが、やっぱり彼女らは順応性が高いですよ。思いの外、チームに溶け込むのにそう時間はかかりませんでした。

 結束力を強めた責任感の芽生え

二宮: キャプテンとしても代表選手が不在の時期もあり、チームをまとめるのは大変だったと思います。キャプテンとしてどんな工夫をされたのでしょうか?
坂下: 残ったメンバーが「自分たちが今、頑張らなければ優勝はない」という意識を共有し合えるかどうかにかかっていると思いました。そこで重要なのがコミュニケーションだと考えて、週に一度はポジション別に分かれて、それぞれの課題や反省点を話し合うようにしたんです。今では年齢の壁を越えて、意見を言い合えるようになりました。それがいい結果に結びついたのだと思います。

二宮: 今シーズン、チームはどんなふうに変わっていきましたか?
坂下: もちろん、昨シーズンも優勝したいという強い気持ちはありましたが、やはり試合に出場している選手としていない選手とでは、意識に多少の差が生じていたと思います。でも、今シーズンは先ほど監督が言ったように、スタートからいろんな選手が起用されました。これまで試合に出ることができなかった選手にもコートに立つ機会が与えられたことによって責任感が芽生えています。そういう意味では全員が同じ意識をもって、同じ方向を向いてやれたのではないかと思います。

(後編につづく)

石原昭久(いしはら・あきひさ)プロフィール>
1966年2月10日、埼玉県生まれ。東海大学出身。現役引退後、1988年に日立女子バレー部コーチ、1990年にイトーヨーカドープリオールコーチとなる。ペルー共和国ユース代表監督を経て、2000年にイトーヨーカドー監督に就任し、同年黒鷲旗で準優勝に導く。01年より武富士バンブー監督を務め、02年にはVリーグ準優勝。昨季はJTマーヴェラス監督に就任し、準優勝に導いた。

坂下麻衣子(さかした・まいこ)プロフィール>
1985年2月25日、兵庫県生まれ。小学3年からバレーボールを始める。凪川学園高2年時にはインターハイに出場。武庫川女子大3年時にはユニバーシアードに出場し、活躍した。2007年、JTマーヴェラスに入団し、最優秀新人賞を獲得。09年には初めて全日本代表に選出されると、主力としてワールドグランドチャンピオンズカップ、アジア選手権に出場した。今季はキャプテンとしてチームを牽引している。

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(構成・斎藤寿子)

このたびの東日本大震災におかれまして、亡くなれた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々とそのご家族の皆様には心よりお見舞い申し上げます。
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