二宮: チーム成績(25日現在)を見てみますと、攻撃面ではアタック決定率とバックアタック決定率は5位ですが、アタック決定本数はトップです。こうした成績をどう見ていますか?
井上: もう少し改善の余地はあると思います。昨シーズンから攻撃面での課題ははっきりしていて、菅や深津が言うように、やはり“ゴメス頼り”ということなんです。昨シーズンよりは改善しているとは思いますが、優勝するにはまだまだ足りない。それには僕たちセッターがゴメスにばかりトスを上げるのではなく、逆に彼をおとりにするような組み立てが必要です。そうすれば、他の選手の数字も上がってくるでしょうし、何よりチームの攻撃力がアップすると思います。

二宮: 個人成績を見ると、ゴメスは総得点、アタック決定本数(1セットあたり)でリーグトップ。逆に言えば、それだけすごいアタッカーだという証拠でもありますよね。
井上: はい、本当に頼りになるエースです。何でも決めてやる、という迫力がある選手ですね。

“負けないためのバレー”がカギに

二宮: もちろん相手もゴメスを十分に警戒しているはずです。それでも決めるのですから、セッターとの信頼関係も厚いのでは?
: そうですね。どんな場面でも「ゴメスなら決めてくれる」と、僕たちも信頼しきっています。とはいえ、やはり彼ばかりには頼っていては、昨シーズンもあったのですが、ゴメスがケガをしたり不調になった時にチームが崩れてしまいます。ですから、今の段階から早め早めに他のアタッカーも使っての攻撃をしかけていく必要があります。特に自分はスタートで出ているわけですから、そういう組み立てを考えていかなければいけません。

二宮: 深津さんは1年目ですが、チームについてはどう見ていますか?
深津: JTサンダーズは勝つためのバレーボールはできていると思います。サーブやブロックがすごくうまいので、自分たちがサーブ権を取った後にポイントを連取することができる。いったん、流れがくれば強いんです。ところが、負けないためのバレーボールがまだまだできていない。サーブ権を奪われた後、一本で切り替えしてサイドアウトを取ることができないので、相手に流れをもっていかれてしまうんです。これはセッターだけの問題では決してないと思うんです。ブロックフォローだったり、お互いにゴチャゴチャした時の返球だったり、細かいプレーが雑で、そこからのミスが多い。そういうところを修正できれば、もっと楽な展開になっていくでしょうし、よりJTサンダーズの力を発揮できると思うんです。

二宮: いい意味でのずるさやしぶとさがまだ欠けていると?
深津: はい。そこが改善してくれば、セッターももっと楽な気持ちで上げられます。攻撃のリズムがよくなり、バリエーションも増えてくるはずです。

 場を盛り上げるルーキーの発言

二宮: さて、第3レグも残すところあと1試合。27日からは第4レグに入るわけですが、5シーズンぶりとなるファイナルラウンド進出には何が必要だと思いますか?
井上: チームとしては深津が言ったように、負けないためのバレーをうまくやらないといけないと思います。細かいミスをなくして、確実にサイドアウトを取る。相手に流れをやらないということが重要になってくる。個人的にはセッターとしての仕事をしっかりとやること。途中で出場した時にもチームが力を発揮できるように、安定したプレーを心がけたいと思います。

二宮: 菅さんは、勝つための条件をどのように考えていますか?
: チームの技術的な課題としては、相手サーブからのサイドアウトをきっちりと取ること。それから、僕たちセッターがバランスよくトスを上げることで、ゴメスだけでなく、他のアタッカーの決定率を高めていくことが必要です。そのためには毎日の練習が重要です。日頃からの準備がなければ結果は出ません。その点を一人ひとりが意識し、一丸となってファイナルラウンド、さらには優勝を目指していくことが大事になってくると思います。

二宮: セッター同士で話し合う機会はあるんですか?
井上: 試合の前に必ずセッターミーティングをしています。僕たち3人とアナリストの4人で、対戦相手のビデオやデータを見ながら、対策を練るんです。その時には3人で「こうした方がいいんじゃないか」といった意見も言い合います。

二宮: なるほど。その時に、自分では気付かなかったことを言ってもらったり、逆に自分が気付いたことを言ったりするわけですね。
井上: そうですね。最後にまとめるのは、大概、深津なんですよ(笑)。「じゃ、明日は頑張りましょう」と。「なんでそこでオマエが言うかなぁ」と拍子抜けすることもあるのですが(笑)。でも逆にそれでムードが盛り上がるんです。

二宮: 一番若い深津さんがまとめ役というのは、それほどチームの雰囲気がいいからなんでしょうね。
深津: 自分としては、ただ「頑張りましょう」と言っているだけなんですけど……(笑)。

 劣勢な時こそ不可欠なチームワーク

二宮: では、まとめ役の深津さんは今後の戦いについてどう感じていますか?
深津: ファイナルラウンド進出圏内の4位に入ればいい、という考えで戦っていたら、4位にさえ入れないと思います。最後まで一番上を狙っていかないと、気持ちの面で弱くなってしまいますから。あとは、とにかくチームがバラバラにならなければ、僕はいけると思っています。実は前半戦、チームがバラバラになりかけているなと感じたことがあったんです。普通、劣勢になればなるほど、みんながかたまって「よし、力を合わせていこう!」となるはずなんです。ところが、その時は他人行儀のようによそよそしくなっていました。「うわ、これではダメだ。これから大丈夫かな」とベンチの僕が思うくらい危機的な雰囲気でしたね。

二宮: 井上さんはチームがバラバラになりかけていたことを感じていましたか?
井上: はい、感じていました。セッターとしてはそういう雰囲気になってしまった一因には、トスがゴメスに集中しすぎていたことがあるかなと。他のアタッカーが「もっと、オレを頼ってくれよ」という気持ちがあったのかもしれません。

二宮: 試合の流れというのは一度傾くと、一気にいってしまうことがありますから怖いですよね。
: そうですね。自分たちが劣勢になって、シュンとなってしまう時もあるので、みんなでそれを最低限に食い止めないといけない。でも、そういった点では徐々によくなってきていると感じています。

二宮: トップに立つには個々の力だけでなく、チームワークが必要です。強いチームほど、結束力があります。
深津: はい、そうなんです。トップチームは劣勢になればなるほど、みんなが集まって声を出し合っています。だからたとえ第1セットを取られても、チームがまとまっているので、すぐに気持ちを切り替えて次につなげることができる。「1セット取られてしまった」ではなく、「これから3セットを取り返せばいいんだ」と思えるんです。JTサンダーズも試合を重ねていくごとに結束力が出てきました。今ではガッチリとみんなの心が通じ合っています。ですから、これからが本当の勝負になると思います。

(おわり)

井上俊輔(いのうえ・しゅんすけ)プロフィール>
1985年6月4日、長崎県生まれ。小学4年からバレーボールを始める。長崎商業高校出身。福岡大学時代には国民体育大会に1度、全日本インカレに2度出場した。2008年、JTサンダーズに入団。同年のV・サマーリーグでは最優秀選手に輝いた。191センチの長身をいかしたトスワークを武器としている。

菅直哉(すが・なおや)プロフィール>
1985年5月17日、長崎県生まれ。中学1年からバレーボールを始め、全日本ジュニア代表にも選出された。大村工業高校3年時にはインターハイで優勝。筑波大学では1年時、全日本インカレで優勝し、セッター賞に輝いた。4年時にはキャプテンを務める。2008年にNECブルーロケッツに入団し、翌年には夏季ユニバーシアードに出場。全日本代表登録メンバーにも選出されたが、同年7月にチームが廃部。8月、JTサンダーズに入団した。昨年は全日本メンバーとしてアジア大会に出場し、金メダル獲得に貢献した。

深津旭弘(ふかつ・あきひろ)プロフィール>
1987年7月23日、愛知県生まれ。星城高校1年の春高バレーで3位、2年の国体でも3位入賞を果たした。東海大学4年時にはキャプテンを務め、創部初のシーズン5冠(春・秋リーグ戦、東日本インカレ、東西インカレ、全日本インカレ)を達成。全日本インカレでは最優秀選手賞とセッター賞に輝いた。昨年、JTサンダーズに入団。全日本代表登録メンバーにも選出され、アジア太平洋カップでは優勝に貢献した。


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(構成・斎藤寿子)
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