ビックカメラ高崎&ホンダ、東西王者の待つDSへ ~JD.LEAGUE~

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 10日、女子ソフトボールリーグの「JD.LEAGUE」プレーオフ2ndステージが神奈川・等々力球場で行われた。東地区2位のビックカメラ高崎ビークイーンが同3位の戸田中央メディックス埼玉を3-1で破った。ワイルドカード(東地区4位)のホンダリヴェルタが西地区2位のSGホールディングスギャラクシースターズを2-1で下した。ビックカメラ高崎とホンダは16日からスタートする愛知・パロマ瑞穂球場でのダイヤモンドシリーズ(DS)に進出。ビックカメラ高崎は東地区1位の日立サンディーバ、ホンダは西地区1位のトヨタレッドテリアーズと対戦する。

 

 ビックカメラ高崎は3季連続のDS進出をかけて、初のプレーオフ出場の戸田中央と戦った。レギュラーシーズンの対戦成績はビックカメラ高崎の3戦全勝。過去2シーズンも合わせると9戦全勝と相性の良い相手だ。先発マウンドにはビックカメラ高崎が上野由岐子、戸田中央は今季東地区最多勝(10勝)の増田侑希が上がった。

 

 両投手の好投でゼロ行進が続いていたが、試合が動いたのは4回裏だ。増田が1死から2番・藤本麗にデッドボールを与え、工藤環奈がヒットでチャンスメイク。藤本の好走塁もあって二、三塁とした。ここで「いい場面で回してもらうことをイメージして練習してやってきた」という内藤実穂がライト前へきっちりタイムリーを打つ。続く炭谷遥香が犠牲フライで2点を先取した。

 

 2点のリードをもらった上野は5回表を6球3人でピシャリ。自軍に傾いていた流れを加速させる。すると、この回の先頭、1番・藤田倭が2番手レン・ミンが投じた高めのボールをレフトに弾き返す。打球はグンと伸びフェンスを越えた。「どのチームを見ても一番、1番(バッター)ぽくない」というスラッガーが一仕事。リードを3点に広げた。

 

 上野は6回に1点を返されたものの、4安打完投勝ち。「ちゃんと自分自身をコントロールして投げられたと思います」と振り返る。球速はMAX117kmをマークしたが「(球速を)出し過ぎないこと意識して投げていました。ランナーを背負うとスピードが出てしまうので」と明かした。その理由は「自分の身体が壊れちゃうんで」と言い、人工芝のマウンドの反発を確認し、出力をコントロールしながら投げたのだという。これも経験豊富な上野の為せるわざか。濱村ゆかりのケガなどで今季は終盤からリリーフから先発に復帰した。DSも当然、背番号7の右腕にかかる期待は大きいだろう。

 

「負けたら終わりの戦いだったので、どんなかたちであっても勝つしかないということだけ選手には伝えていました。上野がいいピッチングをしてくれましたし、打撃陣もあそこ(4回裏)で2、3、4、5番で点を取れたのは良かった」と岩渕有美監督。主将の藤本は「この試合に負けたら後がないという緊張感の中、自分たちを追い込みながらこの日を迎えた。全員が活躍して全員で掴みとった1勝。来週に向けて気持ちを切り替えて、あと2勝できるようにチーム全員で戦いたいと思います」と次を見据えた。

 

 今季ビックカメラ高崎は正捕手の我妻悠香、セカンドの市口侑果が引退し、センターラインの2人を失った(いずれもコーチとしてチームに在籍)。チームにおける若手の割合が増えたことで、新生ビックカメラ高崎と言っていいだろう。指揮官も「今年のチームは半分が新しいメンバー。そういう中で1番から5番、6番から9番という打撃陣がどうやって繋げるか。どうやって自分自身の仕事を100%発揮できるかが勝負だと思っていました。警戒されながらも上位打線で点を取れた。その後のバッター陣も食らいついて塁に出られたのはチームとして良かった」と胸を張った。

 

 一方、戸田中央は初のプレーオフで涙を飲んだ。トヨタ自動車レッドテリアーズ(現トヨタレッドテリアーズ)を強豪へと押し上げた福田五志監督が指揮を執って3季目。JD.LEAGUE初のプレーオフ進出、全日本総合選手権を初優勝を果たした。この日もビックカメラ高崎よりもヒットを打ったが、あと一本が出なかった。福田監督は「詰めることろがまだチームの課題ですかね。投手力は3枚あるので代え時が難しかった。これは私の采配ミスでしょうね。選手は一生懸命やってくれたので来年また頑張りたい」と前を向いた。


「結果がすべて」と主将の糟谷舞乃を肩を落とした。「昨年はレギュラーシーズンで終わった。プレーオフに進出したという点では昨年と違った力を付けられた。ここで勝ち切れなかったことの課題がある。大舞台で勝ち切るチーム力を全員で付けていかないといけないと思いました」。指揮官は「若い選手がどうやっていい選手を見ながら自分の力に変えていけるか。来年、期待してください」とリベンジを誓った。

 

(文・写真/杉浦泰介)

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