『ROUND AFTER ROUND.2』未知の存在が表現する“温故知新”とギャップ ~D.LEAGUE~

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 数学で未知数を表すX。謎の人物やシークレットゲストなどでもこの記号は用いられる。日本発のプロダンスリーグ『D.LEAGUE』に現れたList::X(リストエクス)も、現時点では未知なる存在と言えよう。今回は11月6日に東京ガーデンシアターで行われた「第一生命 D.LEAGUE 24-25 REGULAR SEASON ROUND.2」で初勝利を挙げたXを解き明かしていく。

 チーム名のXは<ダンスの持つ本質と革新的な表現が融合する場を表現>しているという。コンセプトは「old::new」(オールドトゥーニュー)。リーダーを務めるTenjuは開幕前、「古き良きもの、時代と一緒に動いているものをミックスさせていく。そこを武器にしたいと思っています」と語っていた。有り体に言えば、温故知新だろうか。

 

 ROUND.2でリーグデビューを果たしたゆめくまにも聞いた。
「オールドスクール(70~80年代に流行したスタイル)、ニュースクール(90年代以降のスタイル)と切り分けないで、好きなものを詰めていけばいい。私たちは何でもアリなスタイルです。“とにかく好きなことやろうぜ!”というラフな感じ。でも好きなことだから、そこには信念がある。そこを小さいキッズやD.LEAGUEのファン方たち観てもらえたらいいなと思っています」

 

 初陣となったROUND.1では「心を動かす」を作品テーマにしっとりしたムーディーな音楽に乗せ、踊った。しかし、レギュラーシーズン2連覇中のCyberAgent Legit(サイバーエージェント レジット)に1対5で敗れた。

 

(写真:ROUND.2でエースパフォーマンスを担当したSAKU<左>とD.LEAGUEデビューを果たしたゆめくま)

 サポートメンバーとしてチームのパフォーマンスを現地で見守ったゆめくまたちは、パフォーマンス中、涙を流していた。その理由をゆめくまに聞くと「みんながめちゃくちゃカッコ良かった。心から踊っている感じが観ていて、すごく伝わってきた。テーマが“心を動かす”。まさにそれだった。他にも心を動かされた人はいたはずです。もちろん判定後は悔しい気持ちもありましたが、みんなのダンスが最高過ぎて、涙が出たんです」と答えた。

 

 もちろん勝ちにこだわる姿勢を忘れているわけではない。スタメンで出場したSAKUはこう振り返った。

「自分たちが思うカッコいいことは表現できたし、悔いはないと言い聞かせていましたが、次第に“やっぱり勝ちたかった”という思いが沸いてきました。それをROUND.2にぶつけました」

 

 ROUND.2では一転して別の貌を覗かせた。SPダンサーにはヒップホップアーティスト集団「KING OF SWAG」のYuseiを起用。作品テーマは「Noice」。イギリス英語のスラングで「最高」を意味する。ROUND.1とのギャップに驚かされた人も多いのではないか。SAKUとゆめくまは「作戦通り」と口を揃えた。ゆめくまは、さらに内訳を明かしてくれた。

「ROUND.1は自己紹介的な自分たちのカラーを存分に出しました。ROUND.2は対戦相手のスタイルを、みんなで予想して、“こうやったら面白いよね”という感じで詰めていきました。あとはYusei君のカラーに加え、みんなといつも遊んでいる感じの楽しい雰囲気がマッチして、あの作品ができたんです」

 ROUND.2の対戦相手はハウスを主とし、高いダンススキルとドープな雰囲気でD.LEAGUE内でも独特の存在感を示すDYM MESSENGERS(ディーワイエム メッセンジャーズ)。クールにキメてくると予想したのだろう。Xはカラフルな衣装を纏い、「ギョギョギョ」という中毒性のあるリズムの音楽に乗り、コミカルかつスピーディーな動きで、ステージを広く使った。新鮮だがどこか懐かさしさもあるような、そこにチームコンセプトの「old::new」を感じさせた。「踊っている感覚としては新しいが強いかもしれません」とSAKU。ゆめくまは「でも、その中にあるノリの部分は昔のものもある。新しい寄りですが、その中でも自分たちが大切にしているものが入っている」と言う。

 

 エースパフォーマンスを任されたSAKUは「自分がエースという意識はあまり強くなく、全体の一部としてある感覚だった」と話し、こう続けた。

「もしオレ(エースパフォーマンス項目)がダメでも勝てると信じていた。それぐらいみんなが一体となり、気合を入れて仕上げることができた作品でした」

 結果は「オーディエンス」「コレオグラフィー」「ステージング」「シンクロパフォーマンス」の4項目を勝ち取り、4対2でXが勝利した。2戦目にして初勝利を挙げたのだ。

 RINKAAA(リンカ)がチームの見どころをこう語っていた。

「ギャップです。ここまで観てくれた方はわかるかもしれませんが、“ROUND.1はあんな感じで、ROUND.2はこんな感じ。ROUND.3はどんな感じでくるのかな?”と思ってもらえるのが楽しい」

 Zabは「毎回色が違うというか、いろいろなリストエクスがお見せできると思っています」と続いた。そこはメンバーたちが楽しんでいるようにも映る。SAKUは「僕らのカラーはいろいろあると思うので、それをいっぱい出していって、たくさんの人に感動を届けられるように頑張っていきます」と意気込んでいる。

 

 リーダーのTenjuは今後に向け、抱負を述べた。
「心躍らせるようなダンスができればいいと思い、毎日練習をやっています。どのチームも同じ。時間を使い、頭も身体も使う。あのステージに懸ける想いはDリーガーみんなが共通して素晴らしいものを持っている。我々のプッシュアップはもちろんですが、D.LEAGUEの応援もよろしくお願いします。リストエクスとしては、観ていただける人の心を掴めるようにひたすら頑張っていきたい」

 

 初勝利を挙げて勢いに乗るX。ROUND.3以降も、観る者を驚かせるようなショーを披露するのか。そして今後未知なる存在がD.LEAGUEを席捲していくのだろうか。どこか心地良い謎がこのチームを包んでいる。

 

(文・写真/杉浦泰介)


>>ROUND.2のショーケース

 

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