王者KADOKAWA DREAMS、2戦連続SWEEP&MVD獲得で首位浮上! ~D.LEAGUE~

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 26日、日本発プロダンスリーグの「第一生命 D.LEAGUE 24-25 REGULAR SEASON ROUND.5」が東京ガーデンシアターで行われた。前ラウンドでSWEEP勝ちした2位のKADOKAWA DREAMS(カドカワ ドリームズ)は4位のMedical Concierge I’moon(メディカル・コンシェルジュ アイムーン)にSWEEP勝ちし、首位に浮上。2戦連続SWEEP勝ちはリーグ初の快挙だ。また2戦連続エースパフォーマンスを任されたKELOが、こちらもリーグ初となる2戦連続MVD(Most Valuable Dancer)を獲得した。

 

 開幕から無敗(3勝1分け)の首位dip BATTLES(ディップ バトルズ)は3位のValuence INFINITIES(バリュエンス インフィニティーズ)に1対5で敗れ、今季初黒星で3位に順位を落とした。勝ったINFINITIESは2位に。そのほか5位のKOSÉ 8ROCKS(コーセーエイトロックス)、6位のCyberAgent Legit(サイバーエージェント レジット)、7位のSEPTENI RAPTURES(セプテーニラプチャーズ)、9位のDYM MESSENGERS(ディーワイエム メッセンジャーズ)、14位のLIFULL ALT-RHYTHM(ライフルアルトリズム)が勝利し、それぞれ順位を上げた。

 

 年内最後のラウンドは7試合全てで白黒が付いた。ALT-RHYTHMがROUND.1、LegitとINFINITIESがROUND.2、RAPTURESがROUND.3以来の勝利。DREAMSが3連勝、8ROCKSとMESSENGERSが2連勝で今年を締めた。

 

 1stMATCHは3連敗中のALT-RHYTHMがSEGA SAMMY LUX(セガサミー ルクス)を5対1で破った。後攻ALT-RHYTHMの作品テーマは「Special」だ。SPダンサーを3人起用し、ヒップホップのMacoto、ジャズのKosuke、ワックのMaridというスペシャリストを加え、スペシャルな空間を演出。映写機が回るような音を響かせながら、“アルトリ劇場”を開演した。オペラ歌手とシャンソン歌手が織りなすワルツに乗って舞った。今季初出場となったディレクター兼任の永井直也が美しくしなやかなアクロバットを披露し、彩りを加える。曲が転調すると力強いワックで観客を引き込んだ。

 

 calinはこう胸を張った。
「アルトリとしてはROUND.1以来の勝利。今年は勝って(年を)納めたかった。ROUND.6以降も勝って、CS行って、優勝しようと決めた。SPを3人呼び、SWEEPで勝利しようと心に決めて頑張ってきました。オーディエンス(ジャッジ)は落としてしまいましたが、他の項目全部取れてうれしい。ファンの皆さん、ライフルの皆さんも喜んでくれているかなと思います」


 2nd MATCHは8ROCKSがBenefit one MONOLIZ(ベネフィット・ワン モノリス)を4対2で下した。YOUTEEをエースに据え、楽器・ドラムのシンプルな音に合わせて踊る。照明をうまく使いながら、ムーディーに踊った。YOUTEEは言う。
「いつもはスキルゴリ押しのパワフルな作品が多いんですが、僕がエースをさせていただくということで、僕がブレイキンを好きな部分をたくさん詰め込んだ作品になっています。その中で4対2。自分たちが取れない項目も明確になってきた。来年はそういう項目も取れるように試行錯誤して、いつかSWEEP取れるように頑張りたいと思います」

 

 次のラウンドは同じブレイキンを得意とするINFINITIESが相手だ。そのINFINITIESはメンバーMAKOのお面が付いたチケットを販売。応援席はMAKOの影武者だらけになる陽動作戦を仕掛けてきている。先日、レギュラーダンサー復帰が発表されたDリーグ初代年間MVDで、21-22シーズンの優勝に貢献したISSEIをROUND.6に起用することをYOUTEEが勝利後に明かした。「1月6日のラウンドから登場してバチバチでいくんで楽しみにしてください」と宣言。しかし囲み取材では「本当は秘密にしたかったんですが、言っちゃった」と苦笑する。「ただ言っても大丈夫なくらいヤバイ作品を見せます!」と意気込んだ。

 

 そのINFINITIESは今季好調のBATTLESに3rd MATCHで対戦した。ディレクションを担当したNAOKIは「ヒップホップに、バリュエンスの特長としているハウスとブレイキン合わせた3つのジャンルをコンセプトにした。相手はdipさんなんで“カマしに行こう!”とひとつになって作品をつくりました」と話す。シンクロパフォーマンスこそ落としたが、5対1でBATTLESに土を付けた。

 

 Legitは5th MATCHでavex ROYALBRATS(エイベックス ロイヤルブラッツ)と対戦。「Hit The “Kakkun”(ヒ・ザ・カックン)」をテーマに様々な膝カックンをダンスで表現する遊び心溢れるショーケースを披露した。リーダーのTAKUMIは「いろいろな膝カックンを研究した。ただ膝カックンだけでいってしまうと出オチになってしまう。そこから意味を拡張し、スキルと結び付けたのがポイントでした」と振り返った。演じてみて「ディレクターのFISHBOYさんは作品にできそうなものをメモに取っている。他のアイディアも聞きましたが、意味が分からないものばかり。ただ僕らもそのミーティングが楽しみでしたた。今回もきちんとダンスに昇華できていてすごく楽しい作品でした」と勝利を喜んだ。

 

 前回のラウンドで今季初勝利を挙げたMESSENGERSは、6th MATCHで同じく今季初白星からの連勝を狙うFULLCAST RAISERZ(フルキャスト レイザーズ)を4対2で撃破。イスやステッキ、スケートの付いたシューズといった小道具を駆使しながらも、高いダンススキルを披露した。配信のカメラを意識したような振り付けも加えた。ここまで4つのラウンドで落としてきたシンクロパフォーマンスも獲得しての勝利だ。リーダーFoolは「仲間たち全員で掴み取った勝利。本当にうれしいです」と連勝を喜び、ファンやスポンサーに感謝の意を伝えた。

 

 一方でこんな本音も交えながら、今後に向けた思いを口にした。
「大幅なルール変更があって、シンクロという僕からすると訳が分からないものがある。僕らは音楽を本当に愛していて、音楽は壮大すぎて、語るの恐れ多いですが、あえて言葉にするなら音を楽しむと書いて『音楽』。音を楽しむのを愛する集団として、今後もルールやシステムに踊らされることなく、我々の踊りを追求し、皆様に還元できたらと思います」

 

 7th MATCHのRAPTURESは、List::X(リストエクス)に5対1で勝利した。テーマは「夜襲」で8人の忍者が暗闇の中を抜き足差し足忍び足で踊った。エースパフォーマンスを務めたShigetoraは「エースだけ取れなかったことが悔しい」としながら「チームとしてすごく成長できた。身体の疲労や思い詰めていることもひとりひとりあったと思う。今回の作品は自分たちが確立してきたカラーを出せた」と振り返った。自分たちのカラーとは、昨季からチームが掲げている「Insane “BLUE”」(インセインブルー)の世界観だろうか。ダークな雰囲気を纏いつつ、音ハメをきっちり取るRAPTURESの色が出た作品。勝利で2024年を締めくくった。


 年内最後のD.LEAGUEで、圧巻のパフォーマンスを見せたのは4th MATCHに登場した王者DREAMSだ。男性メンバーのみで戦った2週間前とは打って変わって、エースパフォーマンスのKELO以外は女性メンバーを揃えた。「前回のSWEEP勝利によって、相当な(作品への)ハードルとプレッシャーがありました」とリーダーのKISA。対戦相手のI'moonを意識し、作品テーマは「COLD MOON」。女性メンバーの衣装もI'moonのチームカラーである紫を入れたもので臨んだ。スタートはボックス型の小道具に女性メンバー全員はボックスの縁に絡みつくような状態。まるで7人が連なるひとつのオブジェのようだった。そこにKELOが近付き、メンバーの氷を溶かしていくようにしてから、ボックス内に入った。

 

 KELOの放つ異次元のオーラに呼応し、踊る7人。枠組みだけで中は空洞のボックスに輪郭を持たせた。枠内で踊るという制限の多い中でもKELOは得意のアニメーションを遺憾なく発揮した。後攻のSexy、Stylish、Specialの頭文字をとった「SSS」をテーマにスーツスタイルでクールに踊ったが、ジャッジ6項目でDREAMSに軍配が上がった。リーグ史上初となる2戦連続SWEEP勝利、またエースパフォーマンスのKELOもリーグ初の2戦連続のMVDを受賞した。ディレクターのKEITA TANAKAは「やるべきことやるだけ」と一喜一憂することはない。

 

(文・写真/杉浦泰介)

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