DREAMS、4連勝で首位キープ 2位INFINITIESは“ブレイキン対決”制す ~D.LEAGUE~

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 9日、日本発プロダンスリーグの「第一生命 D.LEAGUE 24-25 REGULAR SEASON ROUND.6」が東京ガーデンシアターで行われた。首位のKADOKAWA DREAMS(カドカワ ドリームズ)は7位のDYM MESSENGERS(ディーワイエム メッセンジャーズ)を、2位のValuence INFINITIES(バリュエンス インフィニティーズ)は4位のKOSÉ 8ROCKS(コーセー エイトロックス)を4対2で下し、それぞれ順位をキープした。MVD(Most Valuable Dancer)はINFINITIESのTSUKKIが輝いた。

 

 5位のCyberAgent Legit(サイバーエージェント  レジット)、6位のSEPTENI RAPTURES(セプテーニ ラプチャーズ)はSWEEP勝利で2ランクアップ。9位のList::X(リスト エクス)、10位のLIFULL ALT-RHYTHM(ライフルアル トリズム)、11位のavex ROYALBRATS(エイベックス ロイヤルブラッツ)も勝って順位を上げた。

 

 2025年の1st MATCH、14チームのトップバッターはMESSENGERSだ。Takuyaのソロからスタート。ピンスポットを浴びながら1人で約20秒踊り続けた。照明が観客席から見て右側に移ると、Yasuminが約15秒、入れ替わるようにしてFOOLが約10秒。完全なるソロパートだけで約3分の1の時間を費やした。8人が揃って踊るシーンはシンクロパフォーマンスを含むラストの10秒間だけだった。作品テーマは「LOST MESSAGE」。小道具はなかった。黒でまとめたシンプルな衣装で、剥き出しの個。それはジャッジに対する“挑戦的なメッセージ”のように映った。

 

 この強烈な“メッセージ”に刺激を受けたのは、後攻のDREAMS。 ステージ袖でショーを見ていたリーダーのKISAは「スキル、ステージングといい、個々のダンスに痺れました。それを見てからの自分たちのパフォーマンス。心が高まったまま踊れた。いつも以上にいいパフォーマンスが出せたんじゃないかなと思います」と振り返る。 DREAMSの作品テーマは 奇しくも 「MESSAGE」だった。

 

 KISAは言う。

「ピアノの音と合わせるダンスを見せるのは今回2回目。テーマは“MESSAGE”でしたが、裏テーマはシンクロでした。ダンスのシンクロもそうですが、ピアノとのシンクロ、小物と音楽とダンスとのシンクロ、いろいろな観点のシンクロを目指して作品に落とし込んだ」

 木製のボックスの上を8人が縦一列に並ぶ。KISAを先頭にピアノの音に合わせて踊り、7人がボックスの上を降りるとTSYがアクロバットを見せる。8人がひとつの塊になると、颯希がアニメーションダンスで繊細でどこか物憂げな”貌”を披露する。KELOとのコンビでも繊細な音取り、アニメーションで会場を沸かせた。最後は颯希のエースパフォーマンスでショーを締めくくった。

 

 ジャッジの結果は4対2でDREAMS。「テクニック」「エースパフォーマンス」の2項目は取られたが、裏テーマとしていた「シンクロパフォーマンス」に加え、「オーディエンス」「コレオグラフィー」「ステージング」票を獲得した。これでROUND.3からの4連勝だ。KISAによれば、前日に作品が完成。「 3日前に衣裳も全て変えた。作品も2回ぐらい、つくり直した。この勝利は自分たちにとって、大きい。またひとつ強くなれた」と胸を張った。エースパフォーマンスの颯希は「みんなでつくり上げた大切な作品。本番当日まで練り上げてきて、結果が出てうれしい」と喜び、こう叫んだ。

「このまま3連覇行きまーす!」

 

 この“3連覇宣言”に物申したのが、レギュラーシーズンで2連覇しながらCSファイナルでDREAMSに敗れているLegitのリーダーTAKUMIだ。

「さっぽん(颯希)が『3連覇する』と言っていましたが、絶対にさせません! Legitが優勝します!」

 

 Legitは2nd MATCHに登場。Medical Concierge I'moon(メディカル・コンシェルジュ アイムーン)と対戦した。先攻のI'moonはヒョウ柄の衣装にショートパンツを穿き、レゲエダンスのように挑発的に踊った。どちらかと言えばスタイリッシュに踊る傾向があるが、そこを裏切り、今回はパッションで魅せた。

 

 後攻のLegitは「Pray」(祈り)をテーマに白装束を模した衣装をメンバーが纏う。重い音楽に乗せて厳かな雰囲気に包まながらステージを舞った。歓声が沸く会場。TAKUMIは「激しく踊るところで見せ場をつくったり、中盤で首のアイソレ(-ション)だけ、引きで見せるところが沸いていたので、そういった緩急が刺さったのかなと思います」と振り返った。

 

 ジャッジは6項目全て取るSWEEP勝ち。「I'moonさんがいつもと違った感じですごく素晴らしい作品だったので、そこに勝ててすごくうれしいです。今季初のSWEEP勝利、エースも初めて取れた。文句なしの結果にできたので今季を戦う上でいい収穫、経験になりました」とTAKUMI。自らディレクションを担当し、エースパフォーマンスを担った作品でチームにチャンピオンシップポイント4を加え、3位に浮上した。

 

 また“ブレイキン対決”として注目を集めたINFINITIESと8ROCKSの4th MATCHは前者に軍配が上がった。両チームの対戦はINFINITIESがD.LEAGUEに参戦した22-23シーズンから。8ROCKSが6対0のSWEEP勝ち、昨季は3対3のドローだった。

 

 いわば“3度目の正直”に燃えるINFINITIESが先攻。作品テーマは「No Waste」。直訳すれば「無駄がない」である。ドラムのリズムに合わせてシンクロパフォーマンスでスタート。リズムが徐々に早くなっていき、パリオリンピックブレイキン男子日本代表のHiro10(ヒロテン)がソロで魅せる。極め付けはエースパフォーマンスのTSUKKIだ。ピンスポットに照らされながら逆立ちした状態で回転しながらステージ中央へ。そこからエアトラックス、ヘッドスピンで回りに回った約20秒。一度も足を地面に付けることなく回り続けた。ラストは8人で緩急を見せつつ、締めくくった。最後は8人が立ち上がり、「どうだ!」と言わんばかりのフィニッシュ。ROUND.1の「ALL OUT」とは、また違った全力のパフォーマンスだった。

 

「僕らにしか出せないカッコ良さ、僕らができることを全部あのショーに詰め込みました」とTSUKKI。INFINITIES独特のユルやかなノリを織り交ぜつつ、力強いパワームーブで観客を沸かせた。後攻の8ROCKSは「天」をテーマに和風な衣装で、レギュラーダンサーに復帰したISSEIを中心としたアクロバットに加え、組み技のコンビネーションで対抗。「オーディエンス」「シンクロパフォーマンス」は8ROCKSが獲得したが、残り4項目はINFINITIESが取った。4対2でINFINITIESが8ROCKS戦初勝利。TSUKKIは「KOSÉさんとは1回負け、1回ドロー。“3度目の正直”ということで僕らもめちゃくちゃ気合いを入れて練習してきました。その結果、無事に勝利できてうれしく思います」と喜んだ。勝利の瞬間、思わず涙するメンバーもいた。

 

 ステージ上のマイクでMAKOは「この作品は9カ月前のCS決勝で出す予定でした」と明かした。その点をラウンド終了後、改めてTSUKKIに問うと、こう答えが返ってきた。
「綺麗につくるというよりは、自分たちの気持ちをぶつけようと。本当にリハから死にそうな顔でやっていたし、あそこからエースをやるのは体力的にもめちゃくちゃきつい」

 それだけの作品をこのラウンドに持ってきたことからも8ROCKSへの対抗意識が窺える。チームを勢いづけるには、十分な1勝となるだろう。

 

(文・写真/杉浦泰介)

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