垣田真穂(早稲田大学自転車部&チーム楽天Kドリームス/愛媛・松山学院高校出身)第1回「ライジングスターが目指す二本道」

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 自転車競技には大きく分けて8つの種目がある。そのうちオリンピック種目はロードレース、トラックレース、マウンテンバイク、BMXの4つだ。パリオリンピックにトラック日本代表として出場した垣田真穂(早稲田大学自転車部2年/&チーム楽天Kドリームス)はロサンゼルスオリンピックで、ロード&トラックの2種目での出場を目指している。1月28日にイタリアのUCIコンチネンタルチーム「BePink-Bongioanni」(ビーピンク・ボンジョアンニ)入りが発表された新星。昨年12月に20歳になったばかりである。

 

(写真:パリ五輪前の2024年アジア選手権では3冠を達成した垣田<左> ©公益財団法人JKA/Shutaro Mochizuki)

 垣田は言う。

「次のオリンピックでメダルを取るためには、ここで絶対に戦っていかないといけないと思っています。ロサンゼルスオリンピックまで、もう4年を切っていますが、残りの時間をどう過ごすかがすごく大事になってくる。それを考えた時に、やはりヨーロッパに挑戦して、ガンガンレースを走って、本場のレースに慣れ、通用できるようになっておくことが大事なのかなと思って挑戦を決めました」

 イタリア語はままならない。それでも未踏の地に踏み出すことを躊躇わない。それも彼女の強みと見ていいだろう。

 

 世界に羽ばたく日本人選手をサポートするTEAM NIPPOのHPにはビーピンクのチームマネージャー、ウェルター・ジーニのコメントが紹介されている。

<マホを正式にチームに迎えることができて嬉しく思っています。彼女は若いアスリートで、特にトラック競技で素晴らしい活躍ができることをすでに証明しています。トラック競技は、我々チームが常に重視してきた専門分野です。そして彼女は、非常に信頼ある人たちから推薦されています。なかでも日本代表であった沖美穂さんとは、以前、4年間一緒に働く機会がありました。ロードレースでも、私たちにとって大きな付加価値となることは間違いありません。彼女が加わることで、私たちのチームは最高の状態になるでしょう>(2025年1月28日配信・原文ママ)

 沖美穂とは日本人女子として初めて、欧州プロチームと契約を果たした先駆者だ。自転車競技では、シドニー、アテネ、北京のオリンピック3大会に出場した人物である。

 

持久力が武器

 

(写真: ©公益財団法人JKA/Shutaro Mochizuki)

 ちなみにビーピンクのUCIコンチネンタルチームという格付けは、トップディビジョンのUCIワールドチーム、第2ディビジョンのUCIプロチームに次ぐ、第3のカテゴリーにあたる。自転車競技を本格的に始めてから5年の垣田が、オリンピック出場、ヨーロッパ行きと、急速に成長の階段を駆け上がっている。

 

 パリオリンピック自転車競技日本代表のテクニカル・ディレクターのブノワ・ベトゥは垣田を<「高いパワーを維持できる耐久力に優れている」>(「愛媛新聞」2024年3月31日付け)と評価している。持久力は垣田も自信を持っている点だ。

 

 競技歴は実質5年。元々はサッカー少女だった垣田。1歳上の兄と同じサッカークラブ・穴生JFCでプレーしていた。ポジションはサイドハーフ。パスやドリブルで魅せるタイプというより、運動量豊富に上下動するダイナモだったという。サッカーの前はスイミングスクールに通い、心肺機能が鍛えられたのかもしれない。幼少期から長距離走は得意だった。

 

 彼女が自転車競技に転向するきっかけとは、2017年にスポーツ庁の主導で発足した「ジャパン・ライジング・スター・プロジェクト(J-STARプロジェクト)」だった――。

 

(第2回につづく)

 

垣田真穂(かきた・まほ)プロフィール>

2004年12月14日、福岡・北九州市出身。小学2年からサッカーを始める。小学5年時に福岡県のタレント発掘事業に参加。中学ではジャパン・ライジング・スター・プロジェクト(J-STARプロジェクト)で自転車競技の才能を見出され、松山城南(現・松山学院)高校進学から本格的に競技を転身した。全国高校選抜大会や全国高校総合体育大会インターハイなど数々のタイトルを獲得。2022年はジュニアカテゴリのアジア選手権でも優勝。23年春に早稲田大学に進学。日本代表のエリート。24年にアジア選手権で3冠を達成。パリオリンピックは2種目(チームパシュート、マディソン)に出場した。2024全日本トラック選手権で5冠を達成。イタリアのUCIコンチネンタルチーム「BePink-Bongioanni」(ビーピンク・ボンジョアンニ)。身長167cm。好きな食べ物は母親が味付けをし、父親が揚げる鶏の唐揚げ。

 

(文/杉浦泰介、写真/©公益財団法人JKA/Shutaro Mochizuki)

 

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