運動はしたいけど、激しく動いて苦しいのはイヤ……。
 人は身勝手と言えば身勝手な生き物である。山本化学工業では、そんな人間のわがままに応えるべく、ラクに泳げる水着「ゼロポジションスイムウェア」の開発や、バイオラバーを活用した気軽にできる体操「バイオラバーヘルシーエクササイズ」を考案してきた。そして今回、人々が楽しみながら体を動かす機会を少しでも増やそうと、また新たなコラボレーションが始まろうとしている。それが森川由加里さんが取り組んでいるエクササイズ「空(くう)」だ。

 呼吸と動作を一体化

「空(くう)」は水中で五感を刺激し、自然治癒力を高めるアクアセラピーが原点になっている。「SHOW ME」などのヒット曲でも知られる森川さんが国際アクアセラピストの資格を取得したのは4年前。野球で痛めた肩のリハビリをきっかけに始めた水泳で、今度は頸椎をケガしてしまったことがアクアセラピーとの出会いになった。

 アクアセラピーには大きく分けて8つのプログラムがある。そのうちのひとつが「アイチ(AiChi)」と呼ばれる水中呼吸体操だ。これはアクアダイナミクス研究所の今野純所長が93年に考案した日本発祥のエクササイズである。この「アイチ」を森川さんが実践したところ、なんと2年間で身長が2.5センチも伸び、音域も1音広くなった。

「これを陸上で誰でも簡単にできるように応用できないか」
 こうして今野所長監修の下、考え出されたのが「空」である。「空」には森川さんが「ゆるくも呼吸法」と称するように、激しい動きは全くない。基本は体を水の流れのようにゆったりと動かしながら、手のひらが上を向いている時には息を吸い、下を向いている時には息を吐く。
「28種類あるエクササイズは、すべて気持ちのいい呼吸を助けるための動きです。呼吸と動作が一体になれば、脳と身体がリラックスして癒される。これまでにありそうでなかった体操だと思っています」
「空」というネーミングは禅の教えを取り入れた「一切空無我」という思想から名付けられた。呼吸により心身を解放し、まさに空っぽの状態にすることで、本来の自分を取り戻す。そんな意味が込められている。

 森川さんがバイオラバーに出合ったのは、この「空」が開発途上の昨年秋であった。
「まずチャージャーをかかとに付けたら足が疲れにくくなった。リストバンドをつけると肩も凝らなくなったんです。マットを敷いて体操をすると、体の稼働域も広がった。これは偶然にも今、私がやろうとしているエクササイズの効果を高めてくれるのではないかと直感しました」
 森川さんはすぐにコンタクトをとり、ここから山本化学工業とのコラボレーションがスタートした。

 体験会は大盛況 

 バイオラバーと「空」。この関係がひとつの形になったが6月7日から東京ビッグサイトで行われた「健康博覧会2011」だ。山本化学工業のブース内やセミナー会場で、合わせて3回に渡って森川さんによる「空」の体験コーナーを設けると、たくさんの人が詰め掛けた。参加者にはバイオラバーのマットやベルト、サポーターを貸し出した。

「僕も初めて体験したのですが、ゆっくりと動いていくうちに呼吸が整って気持ちが良くなる。体も今まで伸びないところまで伸びた気がしました。これなら、どの年齢層でもできますし、バイオラバーがお役に立てると確信しましたね」
 山本富造社長がエクササイズの効果を実感すれば、森川さんも「冷え症で夏でも長袖しか着ないと話していた人が、“激しい運動ではないのに体が芯から温まった”との感想を漏らしていました」とバイオラバーとの相乗効果を改めて感じた様子。大盛況だったため、後日、山本化学工業の東京オフィス(原宿)で改めて「空」の体験会を開催したところ、予定人数を上回る参加があった。

「バイオラバー素材を使った畳の上でエクササイズを体験してもらったのですが、“足の裏からすごく温まった”と喜んでいただきました。今回の参加者は体操が目当てだったでしょうが、バイオラバーの良さも知っていただけた。弊社にとってもうれしい体験会になりました」
 今後も山本化学工業では「空」の体験会にオフィスを提供する考えだ。森川さんとエクササイズ用のウェアを共同開発する構想もある。

「“空”は家の中で、ちょっとした時間を活用して体操ができる。“気軽に楽しく運動をしてもらいたい”という私たちの目指す方向性に合ったエクササイズだと思います。これからも少しでも体を動かす方が増えるよう、サポートしていきたいですね」
「空」とバイオラバーが一体となって、ゆったりと、しかし着実に人々の間に広まってほしい。山本社長も森川さんも思いはひとつである。 

 山本化学工業株式会社