以前、当コーナーでは“静脈還流”を促進させる山本化学工業の『メディカルバイオラバー』について紹介した。この製品は厚生労働省から医療機器製造販売の許可を得て、昨年11月より一般発売されている。医療分野にも領域を広げた同社が、このほど新たな医療機器を開発した。それが「温熱バイオラバー」である。体を温めるだけでなく、冷やすこともできる画期的な製品について、山本富造社長に紹介してもらった。

 この「温熱バイオラバー」はひし形の形状をしており、バイオラバーに取り外し可能な温熱パックがついている。ひもで首、肩、腰、ヒザなど、どこにでも着脱が可能だ。今回の製品のポイントは温熱パックを使って、体を温めることも、冷やすこともできる点にある。
「冬場に体が温まらないまま運動をして、故障の原因につながることが少なくありません。逆に運動をした後には体を冷やしてクールダウンをしないと、これまた故障につながる。だから体を温められるし、冷やせるものができないかと考えました」

 温熱パックには蓄熱効果のある備長炭の入ったジェルが使われており、体を温める時にはパックを20〜30秒間、レンジで加熱し、逆に体を冷やしたい時には冷凍庫でパックを凍らせる。アイスパックに詰める大量の氷も必要なく、手軽に温冷の使い分けができる点も、この製品の強みだ。使い捨てカイロのようにゴミも出ない。エコを求める時代の流れにも合致している。

 さらにパックの外側はチタン合金でコーティングされている。これはバイオラバー水着にも採用されているアイデアで、チタンが熱を反射し、放熱を抑える役目を担う。
「これまでの体を温めたり、冷やしたりする製品は、外気に触れる部分へのケアがなく、温度がどんどん変化して効率が悪い欠点がありました。温熱バイオラバーではチタン合金を外気に触れる部分に付けていますから、熱が逃げるのを極力抑え、安定した温度で温めたり、冷やしたりすることができるんです」

 もちろん、そこへバイオラバーがついていることも大きな意味がある。
「バイオラバーを敷いていることで直接、パックと体が触れません。体を温める際には必要以上に体が熱くなったり、冷たくなるのを防止します。またバイオラバー自体が赤外線を発しますから、特に体を冷やす際には温度が下がり過ぎない程度に抑えてくれる効果があるんです」

 この温冷両用の「温熱バイオラバー」は早くもスポーツ医学の関係者やトレーナーから高い関心を得ているという。
「トップクラスの選手やチームだと、専属のドクターやトレーナーがいて、温熱やアイシングの時間を測ってくれますが、そんな環境でスポーツができているのは、ほんの一握りです。むしろ、そういった環境下にいない選手ほど知識が不十分で誤ったケアをしてしまう。この温熱バイオラバーは温めすぎたり、冷やしすぎたりといった心配がないので、手軽に活用できる利点があります」
 その対象はアスリートだけにとどまらない。一般のスポーツ愛好家にも、この温熱バイオラバーは有効だと山本社長は考えている。

 現に山本社長は自ら実験台となり、温熱バイオラバーを使って、日々、運動に励み、新たな使い道を発見した。
「最近は夏場で暑いですから、首や脇の下、心臓部分に当てて、体を冷やしながら運動をしています。アイシング代わりに活用する他に、熱中症対策としても用途があると感じました」
 逆に冬場であれば、この温熱ラバーをカイロ代わりに利用して冷え性対策にもなる。快適に運動を続けている成果か、山本社長は昨冬から13キロのダイエットに成功した。

 近年の健康ブームで年齢を重ねてから運動を始める人も増えている。せっかく体力増強や健康維持のために始めた運動で体を壊しては元も子もない。
「本来は一番、気をつけて運動をしないといけない人たちですが、事前に体をしっかり温めることや、クールダウンの大切さを理解させようと思ってもなかなか難しい。だからこそ、この温熱バイオラバーが役立つ部分があると考えています」
 温熱バイオラバーで老若男女がケガなくスポーツを楽しんでほしい。それが山本社長をはじめ、山本化学工業の願いである。

 山本化学工業株式会社