Shigekix、BC One決勝大会ワイルドカードで出場権獲得 ~Red Bull BC One World Final Kick Off Jam Tokyo~
今秋、9年ぶりに日本開催(11月9日、東京・両国国技館)となったブレイキンの1on1バトル世界大会「Red Bull BC One World Final」。そのシーズンの幕開けを祝したパーティー「Red Bull BC One World Final Kick Off Jam Tokyo」が8日、東京・GARDEN新木場FACTORYで行われた。国内外からB-Boy、B-Girlが招待され、そのスキルを惜しげもなく披露した。

(写真:エキシビションクルーバトルで得意のフリーズを披露したShigekix)
2004年からスタートした世界最高峰の1on1ブレイキンバトル「Red Bull BC One」。BCとはBreakdance Championshipの略で、文字通りB-BoyやB-Girlが覇を競う世界大会である。男女各16人が出場するWorld Final。日本人で頂点に立ったのはISSEI(2016年)、Ami(18、23年)、Shigekix(20年)の3人だけだ。
今年は16年愛知大会以来の日本での開催ということもあり、新木場で盛大な“パーティー”が催された。アンダーソン‧パークとのデュオNxWorries(ノーウォーリーズ)として、今年のグラミー賞で「最優秀プログレッシブR&Bアルバム部⾨」を受賞したKnxwledge(ノレッジ)がフロアを熱く盛り上げた。エキシビションクルーバトルに参加したRYOGAは、こう感想を述べた。
「今日のイベントはすごかった。4on4のレベルがメチャクチャ高かった。コンテンツも幅広くB-Boy、B-Girlのイベントにとどまらないものでした。 DLiP Records x DOGEAR Records のライブもそうですし、ヒップホップの東西対決もメチャメチャ面白い。僕自身、今日出なかったとしても、普通に遊びに行きたいと思えるイベントですね」。実際に会場には、イベントの出演者以外にも日本発のプロダンスリーグ「D.LEAGUE」で活躍するダンサーの姿があった。

(写真:約1時間のライブで会場を大いに盛り上げたKnxwledge)
⼀般参加を含む24組のクルーが熱戦を繰り広げた「4on4 Crew Battle」、B-Boy Harutoと、Red Bull BC One All Starsのメンバーとしても活躍するオランダのB-Boy LEEが激突した「1on1 Exhibition Battle」を経て、迎えたエキシビションクルーバトルにも世界トップレベルのダンサーが集った。
“Red Bull BC One All Stars & Friend”はB-BoyのShigekix、ISSIN、TAISUKE、Hong10、Alvinという日本、韓国、コロンビアを代表する世界レベルのレッドブルダンサーで構成された。対する“Young Gunz All Stars”はTSUKKI、RA1ON、COCOA、FUMA、RYOGAという日本の若⼿実⼒派B-Boy&B-Girl。両軍ハイレベルなスキルを披露し合い、会場を大いに沸かせた。

(写真:ShigekixのWC獲得は本人にもサプライズだったようだ)
エキシビションクルーバトル後、MCから渡された紙を最終的に読み上げたのはShigekix。その内容は自身がBC One決勝大会ワイルドカードとして招待されたものだった。Shigekixは「ブチかましてきます!」と抱負を語った。
BC One決勝大会出場を目指すB-BoyのTSUKKIとRYOGAにも話を聞いた。2人は日本発プロダンスリーグ「D.LEAGUE」のValuence INFINITIES(バリュエンス インフィニティーズ)でチームメイトでもある。2人にとってBC Oneとは?
「B-Boyとして、この道を通る人は結構多い。ブレイキンを始めた頃から憧れる大会で、『出たい』という方も。自分もずっと挑戦していることやし、まずはジャパンサイファーでファイナルの出場権を勝ち取らないと。去年は悔しいことにトップ16で負けてしまいました。今年は東京やし、“やってやろう”と思っています。今日出場を発表されたShigekixは僕と同じチーム(XII After Ours)で一緒に活動もしている。応援する気持ちもありつつ、“やっぱりあの舞台でぶっ倒してやるぞ”という気持ちもあります」(TSUKKI)
「世の中に世界大会はいくつもあり、“世界一”を名乗る人も結構たくさんいると思うんですが、その中でもB-Boy、B-Girlが『世界一です』と言い切れるイベントのひとつ。僕はここが一番タイトルとしてレベルが高いものだと思っているので、そこを獲るのはひとつの目標です」(RYOGA)

(写真:イベントに主演したRYOGA<左>とTSUKKI)
パリオリンピックの競技種目に採用されたことで、ブレイキンの存在を知った人も多いだろう。国内におけるブレイキンシーンについてTSUKKIは、「非常に高まっていると思います」と言い、こう続けた。
「それこそ僕のSNSにも『ダンス始めました』とか『見始めました』というDMが届いています。オリンピックの反響が一番大きかった。それこそメディアに取り上げてもらったりもしました。2024年のパリオリンピックが終わってからの半年で、だいぶブレイキンが広かったんじゃないかなと感じています」
RYOGAの体感では競技レベルも上がっているという。
「今、オリンピックに挑戦していた人たちのレベルが全員軒並み上がっている。それにアンダーグラウンドの中で踊っていた人たちも。お互いが上がっていって、全体的に底上げされている感じがします」
パリオリンピックの競技種目に採用されて以降、私自身もブレイキンというフレーズを目にする、耳にする機会は増えたように感じる。ブレイキンの熱はオリンピックという祭典が火付け役となったことは間違いない。この熱を冷まさないためにも、今年のBC Oneが担う役割は決して小さくないだろう。
(文・写真/杉浦泰介)