ロスタイムでの劇的な決勝ゴールでブラジルW杯に向け、白星発進したザックジャパン。FIFAランキング15位の日本に対し、北朝鮮は114位。はるか格下の相手、しかもホームでありながら、終わってみれば1対0。楽なゲームなどひとつもないのがW杯予選である。
予選道中で最も心配なのが11月11日に行なわれるアウェーでのタジキスタン戦だ。
FIFAランキングは北朝鮮よりも格下の153位だが、未知の相手ほど不気味なものはない。何も起こらなければいいが……。
タジキスタンといっても、ほとんどの人は中央アジア諸国のひとつであることくらいしか知らないのではないか。私もそのひとりだ。
そこで地図で確かめるとアフガニスタンの北、キルギスの南、中国の西、ウズベキスタンの東。人口710万人のイスラム国家である。旧ソ連諸国の中では最貧国だそうだ。
外務省のHPを覗いてみて驚いた。これはサポーターに「行くな」と呼びかけているようなものだ。
たとえば食品リスク。<地元料理のシャシリク(羊や牛肉の串焼き肉)などを食べる場合には中心まで十分に火が通っていることを確認しましょう。生野菜のサラダを食べると、かなりの確率で下痢をします。レストランでも氷やコップ水は口にしてはいけません。タジキスタン製の生ビールもよく下痢をします。>
いったい何を食べ、何を飲めばいいのだろう。
まぁ水や食料は日本から持ち込むとしても<シャワーや洗顔にも覚悟が必要>というのだから、心の休まるヒマもあるまい。シンガポールの代表監督は専門誌の『サッカーダイジェスト』で「もう2度と行きたくない」と語っていた。
食中毒といえば忘れられないのが04年3月、UAEでのアテネ五輪予選。試合前日、集団食中毒が判明し、多くの選手にドクターストップがかかった。この教訓を忘れてはならない。
<この原稿は2011年9月26日号『週刊大衆』に掲載されたものです>
◎バックナンバーはこちらから