CyberAgent Legit、レギュラーシーズン&CS初の完全制覇達成! 〜D.LEAGUE〜

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 日本発のプロダンスリーグ「第一生命 D.LEAGUE2024-25」のCHAMPIONSHIP(CS)が19日、東京ガーデンシアターで行われた。レギュラーシーズンの上位6チームで争われたCSは、ファイナルでレギュラーシーズン3連覇のCyberAgent Legit(サイバーエージェント レジット)がCS2連覇中でレギュラーシーズン2位のKADOKAWA DREAMS(カドカワ ドリームズ)を7対0で破り、初優勝した。Legitはリーグ史上初となる同一シーズンでレギュラーシーズン&CS優勝の完全制覇を成し遂げた。CSのMVDはLegitのリーダーTAKUMIが輝いた。


 3度目の正直か、2度あることは3度あるのか。D.LEAGUE5季目のCSファイナル、雌雄を決す有明の戦いは、3季連続同一カードとなった。
 
 対戦相手が決まった瞬間、LegitのディレクターFISHBOYは以下のような心境だったという。
「(DREAMSを)一番意識していたのは間違いない。KADOKAWAさんが来てくれたら昨年の続きができると思っていました。(このカードに)決まった時は、非常に強敵ですから試合としては“来てほしくない”という思いもありつつ、ストーリーとしては“来てくれたか”と。試合前にKEITAさん(KEITA TANAKAディレクター)と握手して、お互いの覚悟が手で交換されたような気がします」
 
 先攻は3連覇がかかるDREAMS。セミファイナルでSEPTENI RAPTURES(セプテーニラプチャーズ)を6対1で下して勝ち上がってきた。Legitとはレギュラーシーズンの直接対決で勝ち、バトル形式となってからの対戦成績は3勝2敗と勝ち越している。
 
 ROUND.14からの3部作は最終章を迎えた。ショーテーマは『FINAL:最終曲-新世界-「Opus One」』である。この「Opus One」とは音楽用語で「作品番号1番」を意味する。最終曲と新世界という組み合わせを見ると、終わりであり始まりである作品との表れだろう。
 
 事前に発表していたスタメンからTSYが柳環翔に代わっていた。アナウンスはなかったがケガなどの想定外のことがあったのかもしれない。TSYのアクロバットはDREAMSにとっての華であり、花火のような観客を沸かせる飛び道具的要素もある。それでもDREAMSのメンバーはその不在を穴と感じさせない力強い踊りを見せた。
 
 荒っぽいようで統率された組織力も兼ね備えている。ヒップホップとクラシックをシェイクさせた趣があった。バイオリンの音色に合わせて手を素早く動かす振り付けは、8人が交響曲を奏でる楽器となった。途中、ステージ場から落ちそうになるミスもあったが、シンクロはきちんとまとめた。
 
 エースパフォーマンスは颯希。アニメーションダンスを駆使し、時を止めたり動かしたりを思わせる動きが巧みだが、この日のパフォーマンスは一味違うものだった。DREAMSの“新世界”を示すにふさわしい作品だった。
 
 後攻のLegitは『Crystal』をテーマに煌びやかでありながら熱のこもったダンスを踊った。作品をディレクションしたTAKUMIはこう説明した。
「僕らが培ってきた時間の厚みや、努力の結晶を表現しました。KADOKAWAに2回決勝で負けている。その相手をどうやって勝つか? いろいろなジャンルが混ざり合ったLegitにしかできないハイクオリティーなジャンルの移り変わりを目指しました」
 
 ATOの艶やなダンスから始まり、TAKUMIのバイブレーションが7人に伝播していく。BBOY SHOSEIがメンバーの上に逆立ちで乗り、ゆっくりと回る。相当な体幹やバランス感覚が要求される。バク宙で地面に舞い降りると、そこから息の合ったシンクロパフォーマンスレベルの8人の合わせ。1ch(イチ)のクランプ、enaとKAI→(カイ)と1chによるロッキン、BBOY SHOSEIを踏み台にKANATOがエアリアル(側宙)、ChrisAckeyのステージを広く使う跳び込みゲットダウン(足を前後に開き、ハードル選手がハードルを跨ぐような姿勢で膝から床に伏せるムーブ)。それぞれが個性を輝かせ、シンクロパフォーマンスへと繋ぐ。BBOY SHOSEIのパワームーブからTAKUMIのエースパフォーマンスへ。
 
 7人がつくった花道をゆっくりと歩いてきたTAKUMIは、デジタルサウンドに乗り、キレのあるポッピンダンスを披露。最後は正面を向いて、挑発的にニヤリと笑った。そのまま8人が抜群のコンビネーションを魅せながら終演を迎える。ラストは全員が前方で掴んだ拳を握りしめ、観客に背を向けた。次なるステージへ踏み出すという暗示にも思える振り付けだった。ショーの終わりを報せる暗転から、舞台に再び明かりが灯されるとTAKUMIは背を向けたまま力いっぱい右拳を振り下ろした。その時の感情を聞くとTAKUMIはこう振り返った。
「出し切った。勝負の世界なので、相手もいること。DREAMSさんもすごく努力をしてきていて、僕らのやれることは自分たちの100%を出し切るしかない。100%を出すことはできた。“悔いはない”という気持ちでガッツポーズをしました」

 出し切ったという思いはメンバーも同じだろう。enaは感極まっていた。
「自分もTAKUMIと同じでやり切ったという思いでした。2年連続でKADOKAWA DREAMSに負けていた。自分たちの中でも“今年はいける”と思っていたもののドキドキしていた。“今年こそは絶対にやってやる”という気持ちだったので、あれは安心の涙でした」
 
 青がDREAMSで赤がLegit。全7項目の票があり、先に4票得れば勝ちが決まる。まずは順位による「アドバンテージ」は赤へ。続く「オーディエンス」も赤、「テクニック」「コレオグラフィー」と続いても表示されるの赤。「ステージング」「シンクロパフォーマンス」「エースパフォーマンス」も赤一色に染まった。歓喜の感情を爆発させるLegit。ついに初のリーグ優勝を果たしたのだ。
 
 ステージ正面に構えるジャッジ席の前方にディレクター席があるのだが、ディレクターのFISHBOYは既に離席していた。
「ショーが終わった瞬間にその席にいる役目は終わる。舞台袖に行って他のメンバーと結果を待つのは習慣なんです。4つ目が点いた瞬間は、涙が出ました」
 優勝が決まった瞬間をメンバーと分かち合った。
 
 
 今季のLegitはメンバー増員し、14 人体制となった。FISHBOYは開幕直後、以下のような狙いがあったと話した。

「リーグ外の活動を笑顔で送り出せる環境をつくりたかった。9人だと、例えばメンバーの1人がリーグ外の活動を優先したいという時に、『いて欲しいなぁ』といった顔をしてしまう。人数を増やして盤石な組織にすることで『行ってこい! こっちはこっちで頑張るから』と笑顔で送り出せる。そういう環境をつくることがサスティナブルで、豊かなチームになることに繋がると思っています」。シーズン中、メンバーに聞くとTAKUMIやenaは負担が減ったと話していた。enaは「しんどいことを分担することができ、新しい武器を手に入れた感じがします」とも言っていた。

 

 FISHBOYは「間違いなく増やして良かった」と振り返る。

「ROUNDに出ないメンバーの仕事がチームにとってプラスになる。出ないからといって、不貞腐れるのではなく出ないメンバーも作品のクオリティーを上げるために作品に寄与してくれていた。TAKUMIと地獄はTJBB(THE JET BOY BANGERZ)というアーティストとして活動していますから、もっと忙しくなっていく。その時に彼らが存分に活動できるようにLegitのカルチャーを学んでもらいながら、質を高めてもらう。今後としても安心ですし、今すごくいい雰囲気だと思います。また新メンバーが加わったことにより、各選手、個の力が尖っていて、“それをどう生かそうか”という頭の体操になりました。単純に彼らの武器を使うことで作品の幅がものすごく広がりました。特にCHAA(チャー)とChrisAckey。CHAAのパワー、ChrisAckeyのフィジカルとグルーヴをしっかり捉える動き。そこはかなりの武器になっていますし、他3人もどんどん育っていて、来シーズン活躍してくれるだろうなと思っています」

 

 CHAAはクランプとブレイキン、ChrisAckeyはロッキンを得意とする。このダンスジャンルを武器とするダンサーは既にチームにもいたが、2人が加わったことでさらに厚みが増したと言っていいだろう。新戦力はLegitにダイナミックな飛び道具やエナジー溢れる踊りで熱量を加えた。CHAAと同じブレイキンを得意とするBBOY SHOSEIもCHAAの加入はチームに「新しい風を吹かせてくれた」と表現した。一方でチームに加わった側にも話を聞いた。ChrisAckeyは「自分は(Legitのメインジャンルのひとつである)ポッピンを得意としていなかったので、最初はめちゃくちゃ苦労しました」と正直な気持ちを口にした。その“新参者”から見てLegitの強みは「みんなの意識の高さ、熱意は他のチームと比べても頭一つ抜けている。ダンスIQがすごく高い。みんなめちゃくちゃすごい。とても尊敬しています」と語った。

 

 TAKUMIはチームの強みを「チームワーク」を挙げる。
「D.LEAGUEはただダンスがうまいだけでは勝てない。作品をつくるために、練習のスケジュールを間に合わせなければいけない。アイディアも個人個人で出していかないといけない。誰かひとりがミスをしたら勝てない。本当にチーム戦。そのアベレージ、みんなのポテンシャル、武器が他のチームより高いのかなと思います。ワンマンチームではなく、全員で強いチーム」

 リーダーの言葉は作品が証明している。5年間で培ってきた絆はフォーメーション、シンクロなど高水準のコンビネーションが求められるところにも表れている。

 

 Legitは悲願の完全優勝を成し遂げた今、次はどこに向かうのか。「これがゴールではありません」とFISHBOYは言い切った。
「みんなが完全優勝と私たちに期待していただいた。それが叶ったので、“ここから何するんだ”とワクワクしてもらえるような活動を絶対にしていきます。そしてD.LEAGUEを盛り上げていく。他のチームも素晴らしかった。ジャッジ、ディレクター、プレーヤー、お客さん、ケリーさん(MCのケリー隆介)の全員でダンス、D.LEAGUEを盛り上げていきたいと思います! 宜しくお願いいたします!」

 

(文・写真/杉浦泰介)
 
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