大亀スポーツ振興財団では毎年、スポーツで優秀な成績を収めた愛媛県出身選手や、スポーツ界に貢献した県内の個人、団体を表彰している。11回目を迎えた今年度も7名の個人、2団体の受賞が決まり、16日に表彰式が行われた。国際レベルでの活躍をした選手、またはその指導者に送られるスポーツ大賞に輝いた男子ゴルフの松山英樹選手ら、受賞者の横顔を紹介する。
(写真:大亀会長(前列中央)を囲んで受賞者の記念撮影)
 ゴルフ界に新しいスターが台頭しつつある。日本では彗星のごとく現れた石川遼に刺激され、同世代のライバルたちがしのぎを削り始めた。その筆頭が松山英樹だろう。まだアマチュアではあるが、昨年4月のマスターズでは初出場ながら、4日間をアンダーパーでまとめ、最高成績を収めたアマチュア選手に贈られる「ローアマチュア」に輝いた。その後、開催された三井住友VISA太平洋マスターズでは最終日に2打差を逆転し、史上3人目のアマチュア優勝を成し遂げた。

 松山にとって、マスターズは初めての大舞台。そこで華々しいデビューを飾ることはスーパースターの第一条件である。日本人メジャーリーガーのパイオニア・野茂英雄は1995年、ロサンゼルス・ドジャースでのデビュー戦で5回1安打無失点に抑え、ファンの心をつかんだ。98年にイタリア・セリエAのペルージャに海外移籍した中田英寿も、開幕戦で強豪ユベントスを相手に2ゴールをあげ、一瞬でチームの仲間入りを果たした。昨年はアジアアマチュア選手権を連覇し、今年のマスターズ出場権も獲得した。2年連続のオーガスタで今年以上の結果を残し、名実ともにビッグな選手へ成長を遂げてほしいものだ。
(写真:表彰を受ける松山(右))

 スポーツ選手やクラブの育成に携わり、青少年育成に貢献した指導者などを表彰する菜の花賞に選ばれたのは5名。柔道指導で受賞したのは伊予柔道会の河野誠司さんだ。現役時代は新田高、近畿大でキャプテンを務め、インターハイ、国体などで活躍。長男を伊予柔道会に通わせたことをきっかけに柔道指導を始め、以来28年にわたって小中学生を育て、日本柔道界を支える優秀選手を輩出してきた。

 現在、その筆頭格と言えるのが、女子48キロ級の浅見八瑠奈選手(コマツ)だろう。世界柔道女子48キロ級を連覇し、ロンドン五輪の出場が有力視されている。また他にも男子73キロ級には中矢力選手もおり、同じ柔道会から2人の五輪代表選手を輩出する可能性がある。
「子供たちには、まず柔道を好きになってもらう。楽しみながら練習をさせ、そのなかで良い面を引き出すことを心掛けている」「子供が本気になるきっかけは、試合に負けて悔し涙を見せた時。“どうしたらよいと思うか”“今の練習で勝てると思うか”と問いかけると反応があります。そういう子が2、3人できれば、他の子も導かれます」と指導の心得を語る。

 地域に根ざしたスポーツ活動を続けている団体や個人に贈られるふるさとスポーツ賞には城川オリンピック実行委員会が選ばれた。現在は西予市になっている旧城川町は遊子川、土居、高川、魚成の4村が合併し、1959年に誕生した。町では合併後の町民融和を促進しようと、町制施行10周年の68年、第1回「城川オリンピック」を開催。以来43年、地区最大のスポーツイベントになっている。
(写真:表彰式後には懇親会が催され、親睦をはかった)

 開催日の体育の日には、会場の城川総合運動公園グラウンドでは野村高校吹奏楽部の入場行進が演奏されるなか、4地区から総勢800人の選手団が集結。国旗、市旗に続いて、“4輪”の大会旗とともに入場行進を行う。当日朝から約2キロの聖火リレーを経て聖火ランナーが聖火台に点火すると花火が打ち上げられ、オリンピックムードは最高潮に達する。

 競技種目は、竹馬競争、木箱に車輪を付けた手作りの車で争う「急げポンコツ」、背中のカゴにボールをワンバウンドで入れる「ポンつき玉入れ」など、実にユニークだ。種目ごとに表彰を行い、入賞者には、金、銀、銅メダル、ブーケが贈られる。オリンピックに向けては毎年9月中旬から、4地区それぞれが結団式を行い、各競技や応援合戦の練習、パネル作成などの役割分担を決めて準備を進める。過疎化の進行に伴い、町の人口は第1回開催時から約半数になっているが、住民全員が協力し、毎年工夫を重ねながら大会を続けてきた。

 また特別賞を受賞したのは松山大学女子駅伝部だ。「日本一」を目標に創部して4年目。同駅伝部は、一昨年、全日本大学女子駅伝大会で見事4位に入賞し、中四国勢では初のシード権を獲得した。昨年も5位と2年連続入賞。部員ひとりひとりが「オンリーワンのチームでナンバーワン」を追求している。

 現在の部員は12名。全員が合宿所で集団生活をしている。朝食はコーチが、夕食は監督夫人が、栄養バランスを考慮しながら食事をつくっている。指揮を執る大西崇仁監督は「基本的に人間は弱いので、環境を整えて、意識改革を図ることが必要です。23年は長野県富士見高原と大分県久住高原で44日間の長期合宿に取り組みました。こつこつとこだわった生活、準備をしてきた者が最後に“心で走る”ことができます」と語る。目指すはあくまでも「日本一」。愛媛の陸上界に新たな歴史を打ち立てるつもりだ。

 大亀スポーツ振興財団が愛媛スポーツの発展に寄与している個人、団体の表彰を開始して、早くも11年が経過した。これからも同賞は陰になり、日なたになってスポーツを支えている人たちを応援し続ける。

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(石田洋之)
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