今週末に開幕するJ1はもちろんだが、今年はJ2が空前の盛り上がりを見せることになるはずだ。
 ご存知の方も多いだろうが、今年から原則、J1は土曜日、J2は日曜日に開催されることになった。これにより、日曜日のニュース、月曜日の新聞で、従来とは比較にならないほどのボリュームでJ2が取り上げられることになる。間違いなく、日本のスポーツ界の中ではNo.1の、世界でも屈指の「メジャーな2部リーグ」となるかもしれない。
 だが、何より大きいのは昇格、降格に関わるシステムの変更である。これまでのJ2では、J1経験のあるチームとそうでないチームとの間に歴然とした格差があり、また降格のリスクもゼロだったことから、下位集団の中にはシーズン半ばにしてチームとしての目標を喪失してしまうところもあった。

 今年は違う。自動昇格するのは上位2チームだけとなり、3〜6位のチームは昇格をかけたプレーオフ・トーナメントを行うことになる。当然、2位と3位、あるいは6位と7位とでは天と地ほどの差が生じることになるから、終盤の上位争いは凄まじく激烈なものとなる。

 ちなみに、仮に順位面での条件をクリアしていても、クラブとしての条件を満たしていなければ、昇格は認められないことになる。一見、不条理なようにも見えるが、結果を出してもあがれなかったという“悲劇”が、地元の熱に火をつけ、結果的にクラブ環境を好転させるきっかけとなることも考えられる。長い目で見れば、プラスの要素の方が大きいのではないか。

 また、下位リーグにあたるJFLでJリーグ準加盟チームが2位以内に入ってくれば、という条件つきではあるものの、今年からはJ2からJFLへの降格もありえることになった。J1とJ2の間にも大きな溝はあるが、J2とJFLとの間にある差に比べればかわいいもの。デコボコのグラウンド、炎天下での試合、ガラガラのスタンド……チームによっては消滅の危機に直面するところも出てこよう。当事者にとっては一大事だが、しかし、それこそが本来のプロフェッショナル・リーグのあり方である。

 J2から昇格した柏が史上初の“連続優勝”を達成したのに続き、天皇杯ではFC東京が勝った。J2のクラブにとって、もはや日本一は夢物語ではなくなった。選手個人にとっても、J2から日本代表に上り詰めることがごく普通にありえる時代である。そこに加えて、とてつもなく危険な破滅の可能性までが用意されたのだから、これはもう、盛り上がらないはずがない。秋の訪れが、いまから楽しみである。

<この原稿は12年3月8日付『スポーツニッポン』に掲載されています>
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