78kg超級・素根、復帰V 63kg級・山口は2年ぶり 7階級中5人が初優勝 ~講道館杯柔道~
1日、講道館杯全日本柔道体重別選手権大会初日が千葉ポートアリーナで行われた。この日は女子7階級の優勝者が決まった。7階級中5人が初優勝だった。この大会は2025年度後期の全日本強化選手、グランドスラム東京2025(12月6、7日@東京体育館)をはじめとする国際大会の日本代表選考を兼ねている。
東京オリンピック女子78kg超級金メダリストの素根輝(パーク24)は、パリオリンピック以来、1年3カ月ぶりの公式戦で優勝した。
7位に終わったパリ大会後、素根は左ヒザを手術した。6月に練習復帰。本人曰く60%の状態ながら、勝ち上がり、南築高校2年時以来の講道館杯決勝へ。対戦相手は昨年の世界選手権を制した冨田若春(コマツ)だ。冨田も故障明けの復帰戦だった。
「お互いの柔道は知り尽くしている。最後は気持ちの部分。あとは細かい技術。そこを準備して臨みました」(素根)
試合は両者決め手に欠いたまま、4分が経過。ゴールデンスコアによる延長戦に突入した。
延長戦3分が経過したところで主審は、冨田に指導を与えた。これが3つ目となり、反則勝ちで素根の講道館杯優勝が決まった。意外にも初優勝である。
「2位が2回。あと一歩のところで、取れなかった。それも(講道館杯優勝)も今回の目標のひとつでした」
今回の優勝でグランドスラム東京の出場にグッと近付いた。「また世界一になりたい」。25歳は再び頂を目指す。
女子63kg級の山口葵良梨は2年ぶり2度目の講道館杯制覇だ。国士舘大学4年時に初優勝。実業団1年目の昨年は連覇を逃していた。「2年前は単純にうれしかった。優勝できると思わなかったけどできたから。今回は明確にこの大会で優勝するために準備をしてきて達成できた。うれしさと同時に安心感もあります。この2年間は間違っていなかったんだ、と」
パーク24入社1年目の昨年は全日本体重別選手権で初戦敗退。講道館杯は4回戦で嘉重春樺(ブイ・テクノロジー)に敗れ、敗者復活戦に回ったものの、3位決定戦でも負けた。この大会を制した嘉重はグランドスラム東京を制し、翌年のアジア選手権&世界選手権でも頂点に立った。
「その大会に自分が出られていないのが悔しかった。また勝つ姿を見て、その悔しさが増しました」
大学時代は通用していた内股がシニア相手には封じ込められた。
「前は2つ持ったらすぐ内股を仕掛け、投げられるまで掛け続けるスタイルでした。それがハマッたから2年前は勝てたけど、当然相手も研究してくる。内股に繋げるための組み手だったり、技を身に付けました」
決勝は昨年の全日本体重別で敗れた青野南美(福岡県警察)が相手だった。2分47秒、青野の内股をかわし、内股透かしで有効を奪った。そのまま横四方固めで抑え込み、一本勝ちを収めた。
「今までやってきたことで勝ちに繋がり、自信になった。できかなかった部分もあったので改善していきたい」
山口の国士舘大の先輩にあたる池絵梨菜(国士舘大学柔道クラブ)は、10年ぶりに講道館杯決勝の畳に上がった。「(直前に優勝した山口に)続くしかないという気持ちでした。10年前は大野陽子さん(コマツ)に歯が立たなかった。そこから長い時間がかかった」
龍谷大学4年の西條里奈子との決勝は、ゴールデンスコアに入った。延長戦に突入してから3分半が経過しようとした時、池は西城に寝技で抑え込まれる。5秒で有効。一度は試合終了のブザーが鳴ったが、4秒で離脱できたと判定され、試合は再開された。
西城が足を掛け、倒しにかかるが、それを返すかたちで池の大内刈りが決まった。一本勝ちで講道館杯初優勝。「やっと優勝できた」と池。国士舘大女子柔道部と稽古を共にすることもあり、大会時にはコーチとしてセコンドに就く。「国士舘大学の学生に背中で見せたいと思っていました」。優勝インタビューでも後輩たちにエールを送った。
今大会初優勝は素根、池を含め5人。唯一の学生は日本大学4年の原田瑞希だ。昨年は3位に入賞したがグランドスラム東京には出場できなかった。
「あと一歩で選ばれなくて、悔しい思いをたくさんした。今年は優勝して絶対グランドスラム東京に出ようと強い気持ちで頑張りました」
切れ味鋭い投げ技が持ち味。「自分を信じ、自分の強みである投げる柔道ができた」と原田。決勝でも、その強みが発揮された。森結愛(ヤックス)相手に攻め続け、2分半が過ぎたところで、谷落としを決め、一本勝ちした。
オリンピックでのメダル獲得を目指す22歳。「講道館杯はグランドスラム東京に出るための通過点だと思っていました」。しっかりと前を見据えた。
(文・写真/杉浦泰介)
そのほか階級の優勝者は以下の通り。
・女子52kg級 坪根菜々子(自衛隊体育学校)
・女子57kg級 大森朱莉(JR東日本)
・女子78kg級 梅木真美(ALSOK)
■今大会優勝者の過去掲載記事 アナザーアングル
女子48kg級・原田瑞希選手&同57kg級・大森朱莉選手 2024年10月11日配信
女子63kg級・山口葵良梨選手 2023年6月23日配信/10月6日配信
※BS11では「2025年度 講道館杯全日本柔道体重別選手権大会」の模様を12月2日(日)19時から放送します。男子の解説は2010年世界選手権男子100kg級金メダリストの穴井隆将さん、女子は2011年世界選手権女子57kg級金メダリストで東京女子体育大学柔道部の佐藤愛子監督が務めます。ぜひご視聴ください。