吉成名高、新設のベルト奪取 野杁はフェザー級キックボクシングの王座統一ならず ~ONE~
アジア最大級の格闘技団体「ONE Championship」の日本大会『ONE 173:Superbon vs. Noiri』が16日、東京・有明アリーナで行われた。新設のアトム級ムエタイ世界王座決定戦は、吉成名高(エイワスポーツジム)がヌンスリン・チョー・ケットウィナー(タイ)に判定勝ちを収め、初代王者に輝いた。メインイベントのフェザー級キックボクシング世界王座統一戦は暫定王者の野杁正明(team VASILEUS)が正規王者のスーパーボン(タイ)に判定負け。フライ級総合格闘技世界タイトルマッチは、王者の若松佑弥(TRIBE TOKYO M.M.A)はジョシュア・パシオ(フィリピン)に2ラウンドTKO勝ちで王座防衛に成功した。再起戦に臨んだフライ級キックボクシングの武尊(team VASILEUS)はデニス・ピューリック(カナダ/ボスニア・ヘルツェゴビナ)に2ラウンドTKO勝ち。試合後、次戦を現役最終戦にすると発表した。
ムエタイ界の至宝・吉成がまたひとつベルトを手にした。ラジャダムナンスタジアム認定3階級制覇王者は今年3月にONE初参戦以降、3連勝して掴んだベルトへの挑戦権。新設されたベルトをかけ、ONE7連勝中のヌンスリンと戦った。
1ラウンドは互いに探り合いという様相を呈したが、ラウンドを重ねるごとに吉成がインローに加え、パンチのコンビネーションで主導権を握ったように映った。ダウンこそ奪えなかったものの、手数でも吉成が相手を上回った。
判定は3対0のユナニマス・デシジョンで吉成。アトム級世界ムエタイ初代王者に輝くと共にONEムエタイで日本人初の世界王者となった。「初代チャンピオンというものは、ずっと語り継がれるものだと思う。なったからには、試合でチャンピオンらしさを見せるのはもちろんなんですけど、普段の生活の行動一つ一つからチャンピオンらしい振る舞いをすることが求められると思う。自分がよりONEの価値を高められるような存在になっていきたい」
8カ月前、さいたまスーパーアリーナで王座を掴み取った野杁だが、正規王者スーパーボンの壁は厚かった。試合後、「スーパーボン選手が強くて自分が弱かった。それだけ」と潔かった。
インロー、カーフキックと左フックを軸に圧力をかけたがスーパーボンを崩しきれなかった。
「全然倒せると思ってましたし、一発だけじゃなくて連打だったりとかコンビネーションだったりとかも狙っていたんですけど、それを当てさせてもらえない距離感だったりとか、クリンチワークだったりとか、蹴った後のディフェンスだったりとか、そこがう巧かった」
次戦は未定だが、「ONEが用意してくれた相手、舞台で必ず今日より進化する。そして絶対王者のスーパーボン選手に挑戦したい」とリベンジを誓った。
野杁と同じくさいたまで王座を戴冠した若松は防衛に成功した。1ラウンドにグラつかされる場面もあったが、グラウンドでコントロールするとパウンドとヒザ蹴りで相手の体力を削る。2ラウンド早々にテイクダウンを奪うと、ヒザの連打で勝負を決めた。
ストロー級で3度の防衛を果たし、2階級制覇を狙ったパシオにほぼ完勝した。「すごく強かったです。マジで効いた。自分も1ラウンドで終わらせようと思ったんですが、パワーがあって思ったようにできなかったん。自分に打ち克って入り込むことができました」と若松。「ONEを世界一の団体にしたい」と意気込んだ。
さいたまでロッタン・ジットムアンノン(タイ)にKO負けを喫して以来の一戦となった武尊は、1ラウンドと2ラウンドに2回ずつダウンを奪うKOで再起戦を白星で飾った。
「僕は次の試合で現役引退します」
試合後、リング上で次戦を現役最終戦とし、対戦相手にロッタンを熱望。ケージに上がってきたロッタンに「僕の現役ラストの試合お願いします」と頼むと、ロッタンは「私で良ければやります!」と受諾した。
大会終了後の記者会見でONEのチャトリ・シットヨートンCEOは来年4月29日のONE175で日本大会で実現させたいと明かした。だが、チャトリCEOはこうもb「でも、もし勝ったら、引退ダメ。武尊vs.ロッタン3しないといけないよ」と隣に座った武尊に声を掛けた。
(文・写真/杉浦泰介)