井上拓真、那須川天心に初黒星付けベルト掴む 〜ボクシング世界戦〜

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 24日、ボクシングのWBC世界バンタム級王座決定戦がTOYOTA ARENA TOKYO(トヨタアリーナ東京)で行われ、同級2位の井上拓真(大橋)が同級1位の那須川天心(帝拳)を判定で下した。井上は暫定王座を含め3度目の世界王座獲得。那須川はプロ初黒星を喫した。

 2団体(WBC、IBF)統一王者の中谷潤人(M.T)がベルトを返上したことで、世界王座を巡る争いは混沌としてきた。緑のベルトをかけて無敗の那須川と、再起を図る元WBA王者の井上が拳を交えた。

 20時30分過ぎ、新設のトヨタアリーナ東京にジミン・レノン・ジュニアリングアナウンサーの声が響き渡る。先に呼び込まれたのは青コーナーの井上。緑のガウンを羽織り、緑のトランクスとシューズでリングに上がった。後ろに続くのは父・真吾トレーナー、大橋秀行会長、兄・尚弥ら大橋ジム御一行だ。

 続いて定番の入場曲、矢沢永吉の『止まらないHa~Ha~』に乗り、那須川がライムグリーンのガウン、トランクス、シューズに身を包んでリングインする。こちらも帝拳ジムのメンバーがいつもより多く那須川の後に続いた。

 さながら大橋vs帝拳の抗争である。世界王者を多数輩出してきた両陣営の誇りをかけた闘いか。20時45分、ゴングは打ち鳴らされた。踏み込んでパンチを狙う井上。リーチを生かし、遠い距離から左ストレートを放つ那須川。様子見の1ラウンドを終えると、那須川は跳ねるようにして陣営の待つ赤コーナーに戻った。

 2ラウンド、那須川のカウンターが炸裂。軽快なステップで井上のパンチをかわし、主導権を握ろうとした。しかし井上は相手をおちょくるようにも映るトリッキーな動きに慌てることはなかった。那須川も畳み掛けられず、徐々にペースは井上に。

 4ラウンドを終えての公開採点。ジャッジ3人ともに38対38の同点を付けたと、場内にコールされる。沸き上がる場内に対し、井上は「1ポイントくらい取られてるかとも思った。ここからペースを上げていけばいける」と手応えを掴む。「ドローかぁ。自分も取っていかないと」とは那須川の談。同点でもポジティブに捉えたのは井上の方だった。

 言葉通り、ペースを上げたのは井上だ。プレスをかけてロープ際に追い込む。多少強引にでも打ちにいき、攻めの姿勢を崩さなかった。8ラウンド終了時の公開採点は、ジャッジ2人が井上を支持し、1人が同点とした。

 井上を支持したジャッジ1人は4点差を付けており、ダウンさえなければ、ほぼ負けることがない。9ラウンド開始から井上は勢い付いた。11ラウンドには右のショートアッパーの連打で那須川の顔をはね上げる。12ラウンド終了後のゴングが鳴ると、井上がコーナーによじ登り雄叫び上げたのに対し、那須川はコーナーに両手を付き、肩を落とした。判定を聞くまでもなく勝敗のコントラストが浮き上がった。

 3対0のユナニマスディシジョンで井上。昨年10月に現WBA正規王者の堤聖也(角海老宝石)に敗れて以来の再起戦を白星で飾り、緑のベルトを腰に巻いた。「返り咲くというよりも天心選手に勝つことだけを意識してきた」と井上。試合を生配信したAmazonプライムビデオの事前アンケートでは那須川有利と見られていたが、実力で覆して見せた。


(文・写真/杉浦泰介)
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