二宮: 昨年、東北は大震災に見舞われました。被災地の球団として今季こそという思いは強いと思います。3.11の時はどちらに?
塩見: 2軍でヤクルト戸田球場にいました。ベンチでデータをとっていたんですが、結構、揺れましたね。最初は、そんな大変なことになっているとは想像もしませんでした。テレビの映像を見て、本当に言葉を失いました。
二宮: 東北に帰りたくても帰れない状況だったと思います。しばらくは気持ちも落ち着かなかったでしょう?
塩見: この先、どうすればいいか全然わかりませんでした。1年目で慣れないこともあって、ただ、あたふたするしかなかったです。

二宮: そんななか、シーズン途中からローテーションを守って24試合に先発し、154イニングと3分の1を投げました。今季も開幕からローテーションをしっかり守っています。先発投手として一流の目安はシーズン200イニングと言われますが、その点は意識しますか?
塩見: 意識はしますけど、そのためにはもうちょっと頑張らないといけないですね。

二宮: 楽天が上位に行くには塩見投手の力が不可欠なのは言うまでもありません。ファンも今後のピッチングに大いに期待していますよ。
塩見: 期待は伝わってきますけど、それに応えなくてはいけない。責任とプレッシャーを感じています。

 先制点は防ぎたい

二宮: 低反発の統一球の影響で、現在のプロ野球はロースコアのゲームが増えています。ピッチャーにとっては「先に点を与えられない」という精神的にタフな登板が続きますね。
塩見: やはり先制点を取られると、相手に流れを与えてしまう。だから、先制点だけは防ぎたいという気持ちは強いです。でも、それがなかなか難しい。

二宮: そのためには無駄なランナーを出さないことが大事になりますね。特に長いシーズン、何度も対戦が続くプロでは初球の入り方が難しいといわれます。何となくではうまくいかないと?
塩見: その通りですね。嶋(基宏)さんからも「注意しろ」とよく言われます。でも、ついつい甘いところに投げてしまうので気をつけたいです。

二宮: 昨年は対左の被打率が.293と対右(.238)より高かったのですが、今季は逆になっていますね(対左.127、対右 .275)。この原因は?
塩見: 特に左を抑えるコツをつかんだというわけではありません。去年も左に対する投げにくさはなかったです。基本的に相手が左打者を出してくるケースが少ないので、結果が極端に出ているだけかなと思います。

二宮: キャンプで習得したスクリューを封印するとなると、ストレートのキレとフォークの落ちが今後も生命線になりますね。
塩見: はい。フォークは深めに握って、しっかり腕を振る。ストンと落として、これを勝負球にしたいですね。

二宮: 今年の目標は「15勝」と言われましたが、そのくらい成績を残すとタイトルも見えてくるのでは?
塩見: そうですね。できれば、何かひとつタイトルを獲りたいですね。別に狙っているものはありませんけど、タイトルが獲れるくらいの結果を出せれば、僕自身にとっても、チームにとっても、いいシーズンになると思っています。

>>第3回はこちら
(おわり)

塩見貴洋(しおみ・たかひろ)プロフィール>
1988年9月6日、大阪府生まれ。中学時代までは主に外野手だったが、兄を追って進学した帝京第五高で投手に。3年夏にはベスト8入り。八戸大に進学後はケガに悩まされたが、4年春には北東北大学リーグ新記録となる防御率0.00を記録。秋の明治神宮大会の代表決定戦では東北福祉大相手にノーヒットノーランを達成する。その年のドラフト会議で東北楽天と東京ヤクルトから1位指名を受け、抽選の結果、楽天が交渉権を得て入団。1年目の昨季は5月に初勝利をあげると、先発ローテーションに定着し、4度の完投を含む9勝(9敗)をあげた。新人王こそならなかったが、優秀新人賞を獲得。182センチ、77キロ。左投左打。背番号11。

☆プレゼント☆
 塩見投手の直筆サインボールをプレゼント致します。ご希望の方はより、本文の最初に「塩見貴洋投手のサイン色紙希望」と明記の上、住所、氏名、年齢、連絡先(電話番号)、このコーナーへの感想や取り上げて欲しい選手などがあれば、お書き添えの上、送信してください。応募者多数の場合は抽選とし、当選は発表をもってかえさせていただきます。たくさんのご応募お待ちしております。









(構成:石田洋之)
◎バックナンバーはこちらから