いち早くグローバルスタンダードへの適応を
先週末から日米のプロ野球が開幕しました。締め切りの都合で、試合については触れませんがたくさんの新人選手が開幕メンバーに入りました。ルーキーたちの活躍にも期待しています。
先月行なわれたWBCは、侍ジャパン(野球日本代表)は準々決勝でベネズエラに敗れ、ベスト8でした。初優勝を飾ったベネズエラは、日本をよく研究していたという印象です。大谷翔平選手に対し、緩急のうまい左ピッチャーを当ててきました。先発のレンジャー・スアレス投手がホームランこそ打たれましたけど、その後も左を次々に投入してきました。侍ジャパンは初見のピッチャーのファーストボール、手元で変化するボールに手を焼き、中盤以降、追加点を奪えませんでした。
守っては隅田知一郎投手、伊藤大海投手が一発を浴びました。結果論ではありますが、リリーフのスペシャリスト不在が響きましたね。伊藤投手は普通なら150kmは出る真っ直ぐが、140km台。本来の球威なら高めのボールがファウルになるところですが、そこはベネズエラ打線が上回りました。
あとは井端弘和監督が先を見据えた継投が裏目に出たのかもしれません。私もセガサミーの監督時代、都市対抗野球東京都2次予選の1回戦でゴールドジムベースボールクラブに6対7で破れました。その時は草海光貴を引っ張り、荘司宏太を使わなかった。それは次のNTT東日本戦のことを考えてしまっていたからです。
私は5対4の場面、そこまで状態の良かった種市篤暉投手や宮城大弥投手の登板もアリだったのではないかと思います。極端な言い方をすれば、誰であれば打たれても悔いが残らないか。そこが一発勝負の難しさでもあります。
日程のディスアドバンテージ
一番のポイントは時差にあったんじゃないかなと思います。侍ジャパンは向こうに行って3日後に試合。ベスト4に入ったベネズエラ、ドミニカ、アメリカ、イタリアはアメリカ本土で一次ラウンドを戦い、トーナメント戦に向かうことができた。プロとしてはいいわけになるかもわからないけども、前回優勝した侍ジャパンには、準々決勝を日本で戦うとか多少なりともアドバンテージがあっても良かったのかなと感じました。
さてNPB選手のコメントを見ると、パワーやスピードに「レベルが違う」と痛感したようです。もう1点はピッチクロック、ピッチコムへの対応にも苦心したように思います。例えば伊藤投手は間合いで投げるピッチャー。今回は慌てて投げているように映りました。
このピッチクロックについて、メディアが報じた選手のコメントもそれぞれ。ただ、やはり世界のグローバルスタンドになってきた中、社会人野球では既にピッチクロックを導入しているわけですから、NPBでもすぐに導入可能かと思います。試合時間の短縮策として牽制の回数制限についても同様です。牽制のルール変更については、盗塁の駆け引きが失われてしまうという声もありますが、ルール導入によって新たに生まれる駆け引きを楽しんでいけばいいんじゃないでしょうか。
今後はNPBがどういうふうに興行を進めていくのか。世界の基準に合わせるのか、日本独自の野球を貫くのか。セ・リーグは来年からDH制を導入しますが、遅いくらいですね。メジャーリーグは4年前から両リーグで導入しています。バッティングのいいピッチャーがいるチームはDHを解除したり、大谷選手のように二刀流を可能にすればいい。そういうところはどんどん世界基準に合わせていかなきゃいけない部分もあるんじゃないでしょうか。DH制導入によって、守備が苦手な選手の活躍する場が増えるわけですから。
最後に井端監督も退任と言われていますが、個人的には、まだ続けてもいいんじゃないかな、とも思います。今回の経験が生かされることはたくさんあるはずです。メジャーリーガーをはじめとしたメンバー選考に縛りがあったと聞きますし、大変な2年半だったと思います。ひとまず、お疲れ様と言いたいです。
<このコーナーは毎月1日更新です>
<西田真二(にしだ・しんじ)プロフィール>
1960年8月3日、和歌山県出身。小学3年で野球を始める。PL学園高、法政大学を経て、83年にドラフト1位で広島カープに入団。高校時代は78年夏にエース&4番として甲子園優勝に貢献した。大学時代は5度のベストナインに輝くなど、3度のリーグ優勝に導いた。プロ入り後は左投げ左打ちの外野手として、91年のセ・リーグ優勝に貢献するなどカープ一筋13年で現役を終えた。現役引退後は野球解説者を経て、カープ、四国アイランドリーグ(現・四国アイランドリーグplus)の愛媛、香川などで後進を育成。20年より6年間、セガサミー野球部の監督を務め、都市対抗野球大会4度、社会人野球日本選手権大会に2度出場に導いた。26年からは野球解説者に復帰した。