デンソー、悲願の初V! MVP髙田「成功する人は成功するまで続けた人」 ~Wリーグ~

facebook icon twitter icon

 12日、女子バスケットボールの「京王電鉄 presents Wリーグプレーオフ 2025-26 ファイナル」第4戦が東京・京王アリーナTOKYOで行われた。レギュラーシーズン2位のデンソーアイリスが同1位のトヨタ自動車アンテロープスを70-51で下した。この結果、通算成績を3勝1敗としたデンソーはリーグ初制覇。プレーオフMVPにはファイナル4試合で1試合平均20.75得点をマークしたC髙田真希(デンソー)が選ばれた。

 

◇プレーオフ・ファイナル第4戦

 薮、後半14得点で流れ引き寄せる(デンソー3勝1敗)

デンソーアイリス 70-51 トヨタ自動車アンテロープス

【第1Q】18-13【第2Q】20-20【第3Q】12-16【第4Q】20-2

 

 11日の第3戦を勝利し、リーグ初優勝へ王手をかけたデンソー。前半は髙田が14得点、Cシラ・ソファナ・ファトー・ジャが8得点とインサイドのビッグマンの活躍により、38-33で5点をリードしてーフタイムを迎えた。FG成功率はデンソーが48%に対し、トヨタ自動車は30.3%。試合を優位に運び、悲願のタイトルに向けて視界は良好かと思われた。

 

 しかし第3クォーター(Q)で潮目が変わる。デンソーが5分以上、得点を奪えずにいるとトヨタ自動車にスコアを重ねられていく。逆転を許し、38-43と追う展開に変わった。ここで再び流れを引き寄せたのがSF薮未奈海だ。「自分がパスをもらった時に(相手の)裏を突けるかを考え、強い気持ちでドライブに行こうと思っていた」。パスを受け取ると、スリーポイントライン付近から鋭いドライブで切り込み、レイアップシュートを決めた。相手のファウルをもらいバスケットカウント。フリースローをきっちり決め、後半止まっていたデンソーの得点を再び動かした。


 ヴラディミール・ヴクサノヴィッチHCは「若手選手に信頼を置いている」と髙田やPG川井麻衣らを休ませる時間をつくった。スコアが止まっても、その信頼は揺らがなかった。薮は直後にSF今野紀花からパスを受け、再びドライブを仕掛ける。レイアップを決めると、デイフェンスでもブロックショットを記録するなど、攻守でチームを勢い付ける。両チームが点を取り合う展開の中、第3Q終了間際に川井のアシストから今野が決め、50-49で第4Qへ。

 

 第4Q最初の得点は薮だ。「ドライブから流れを掴んで、そこからみんながいいスペーシングでいいパスをくれた」。インサイドで髙田が外の川井にボールを預けると、すぐに右45度付近の薮へパスが渡る。フリーでもらった薮がスリーを決める。川井のゲームメイクはさらに光り、PG木村亜美のゴール前でのシュート、髙田のスリーをアシスト。トヨタ自動車を突き放すと、今度は薮が連続スリーで13点差に広げた。この日、14得点を挙げた薮に対し、髙田はこう証言する。
「リーグ後半戦苦しんでいた。それでも毎日の練習で人一倍シュートを打っていた。彼女はシューターで打つことが役割。試合だけでなく練習でも、やり続けたこと、打ち続けたことが最後、結果に繋がったと思う」

 

 その後もデンソーの若手が躍動。シラがインサイドで力を発揮し、木村はコートを駆け回る。残り1分半で川井のこの日10本目のアシストから髙田がジャンプシュートを決め、70-51で勝敗をほぼ決定付けた。ラストはディフェンスリバウンドを取った木村が敵陣までボールを運び、髙田に渡した。「ずっとデンソーを支え、引っ張ってくれたのはリツさん(髙田のコートネーム)。だからこそ最後は絶対ボールを持つべきだと思った」。髙田は時計がゼロになるを待って、彼女を中心に歓喜の輪ができ上がった。

 

 在籍18年目、36歳のベテランは日本代表として東京オリンピック銀メダル、アジア選手権金メダルを胸に飾ってきたが、リーグ優勝は初である。過去4度ファイナルに進出し、優勝チームの歓喜の瞬間を目の前で見てきた。場内での優勝インタビューでこう想いを述べた。
「何度も諦めたくなるような場面もたくさんありましたが、その中でもやり続けたこと、継続してきたことがこうして優勝に近付けたかなと思います。『成功する人は、成功するまで続けた人』だと思っています。いろいろなことに挑戦すると、うまくいかなかったり、思うようにいかないこともあり、途中でやめたくなったり、投げ出したくなる場面もたくさんありますけど、続けていくことでこうしていいこともあるんだなというふうに、自分自身も今感じました。皆さんもそういう場面があったら、とにかくやり続けることの大切さを、この優勝で感じてもらえたら、私自身も優勝した意義があるかなと思います」

 

 試合後の記者会見でも、この"名スピーチ”についての質問が飛んだ。
「若い選手たちが頑張っている姿を見ると、“頑張らなきゃいけないな”というモチベーションが湧く。リーグ戦で優勝したことはないが、オリンピックで銀メダル、アジアでは優勝してきた。“まぁこれぐらいでいいかな”と思う場面もたくさんありました。最高の仲間たちと毎年バスケットをしている中、すごくみんなのモチベーションが高い。負けも一緒に経験してきた。自分と同じくらい、みんなにも勝ちたいという思いがある。それは言葉を交わさなくても、練習中から伝わってくる。だからこそ自分も、この年齢になっても頑張らなきゃいけないと思い、バスケットを続けられている。続けることは苦しくてやめたくなったり、途中であきらめたくなったこともたくさんありますけど、いつか必ず報われる日がくるとは自分自身もオリンピックでメダル獲った時に感じたこと。こうしてみんなと優勝できたのは、みんながモチベーションを与えてくれたからだと思います」

 

 1962年創部のデンソー。シーズン中にSG梅木千夏、プレーオフ・セミファイナルでSF赤穂ひまわりが負傷するなど、万全のチーム状態ではなかった。それでも頼れるベテランに中堅、若手がそれぞれ役割を果たし、悲願のリーグタイトルを掴み取った。

 

(文・写真/杉浦泰介)

facebook icon twitter icon
Back to TOP TOP