エンディングではなくLife Goes On ~D.LEAGUE ~

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 日本発のプロダンスリーグ『D.LEAGUE』は2025-26シーズンのレギュレーションを終えた各ブロック(HYPE、VIBE)の上位3チームは、31日に行なわれるチャンピオンシップ(CS)に進むが、残り10チームは今季の戦いが終了した。BLOCK VIBE5位のLIFULL ALT-RHYTHM(ライフル アルトリズム)は4月24日に東京・TOYOTA ARENA TOKYO(トヨタアリーナ東京)で行なわれたレギュラーシーズン最終戦を持って活動を終了。4月27日付けで、LIFULLからチームを継承したアンカー・ジャパンはチーム名を「Anker XEED」(アンカー エクシード)と発表した。

 

 24日のROUND.8はどこかいつもと違う異様な雰囲気に包まれていた。レギュラーシーズン最終戦、CS出場3チームは決まっていたが優勝の可能性がその3チームともに残っているための緊張感だけではない。残り5チームにとってはシーズン最後のリーグでのショーケースになる。特にALT-RHYTHMに関しては開幕前にオーナー企業との契約終了を発表しており、別れの空気も同時に纏っていたからだろう。この時点では後継企業の名も存在の有無すら明かされておらず、メンバーもシーズン中から「最後」という言葉を口にしていた。

 

 突然の別れもあった。ROUNDの数日前、ALT-RHYTHMのメンバー、GOが不慮の事故により亡くなったと発表されていた。チームメイトのKarimがALT-RHYTHMのことを「家のようなもの。帰る場所でもあり、居心地がいい。チームの中にいると温かい気持ちになります。休みの日があると、みんなに会いたくなる」と評していた。それほど特別な存在なのだ。チームにとって“家”と“家族”を同時に失うことになったのだから、その痛みは計り知れない。

 

 ALT-RHYTHMは独自の世界観をダンスに落とし込み、その作品は“アルトリ劇場”と呼ばれ、愛されている。ファンのみならずDリーガーからも支持されている。そのリスペクトは、この日の対戦相手、KADOKAWA DREAMS(カドカワ ドリームズ)からも見て取れた。対決の2日前、DREAMSは公式Xにこう投稿。ディレクターのHNATA.Mは<皆さんが提示していた世界観、アートはダンス作品の限界を超えて新しい次元に辿り着いていると感じています。そんなLIFULLの皆さんと戦うからには、僕たちなりの最高のアートで挑みたい>、前ディレクターのKEITA TANAKA(現エグゼクティブプロデューサー)は<LIFULLと最後に戦うのはKDが一番相応しいとそう伝えたい。最後に戦ったのがKDで良かったと思って欲しい>と綴った。

 

 先攻DREAMSのショーテーマは「UNFRAMED」。枠に囚われないという意味の言葉は、破壊と創造を繰り返してきたDREAMSを指しているようでもあり、ALT-RHYTHMを表しているようにも思えた。入場シーンではALT-RHYTHMのポーズを見せたり、エースのKELOを除く7人の女性メンバーの衣装はALT-RHYTHMを意識したであろうカラーリング。敬愛の念を多分に込めた作品となった。

 

 女性ヴォーカルの哀愁がこもったバラードからスタートした。枠の中には前リーダーのRYOが仰向けで身体を折り畳み、収まっている。 枠の後方にKELOが立つ。 KELOの手の動きと、RYOの足の動きがリンクする。光と影を表現しているようにも映った。氷上のような冷たさ、危うさを感じさせる世界観。途中、RYOがその枠から外に手を伸ばすシーンは、彼女自身のこれまでの苦悩を描いたのかもしれない。他6人のメンバーがしなやかに踊る多くの時間、枠の中にいた。

 

 メロディーが止まり、氷がグラスの中に転がっているような音、水滴がしたたり落ちる音でシンクロパート。音ハメすることで誤魔化しが利かない分、振りのズレが目立つリスクはある。そこに挑戦するのもDREAMSらしさか。メロディーが戻り、エースパートはKELOが枠の上に立って妖艶に踊る。安定した土台とは言えないところだが、RYOが下支えしていたのが印象的だった。クライマックスに向け、Y字バランスからピルエット(軸足で立ち、その場で回転するバレエの技)。最後は8人がALT-RHYTHMのロゴを想起させる塊となった。敬愛する相手に向けられたラブレターのような作品だった。

 

 後攻ALT-RHYTHMのショーテーマは「FOREVER」だ。入場時には8人がカバンを持ち寄り、ステージ中央に並べた。カウントダウン後、ステージが明転すると横長のテーブルの脇に水色のクロスが掛けられ、水色の椅子に8脚並べられていた。ハートが描かれたボックスを持ってきたKarimが登場。calinに投げると、彼女は浜田純平に渡した。

 

 8人が椅子に座り、挨拶をする。あーでもない、こーでもないと作品をつくる過程を描いているように見えた。寝たり、閃いたり、元気になったり。これまでの道程を表していたのかもしれない。Hiro-a-keyの『Life Goes On』(作詞:Hiro-a-key、作曲・プロデューサー:今井悠)という曲に合わせ、表情豊かに心で踊る。これぞ“アルトリ劇場”の真骨頂だ。配信映像を確認して気付いたが、両脇に積み上げられた箱にはこれまでの作品タイトルが書き殴られていた。最後にひっくり返すと、ALT-RHYTHMのロゴが完成した。

 

 ラストが圧巻だった。calinによるエースパフォーマンスだ。力強さよりもしなやかさが際立つ彼女のワックという印象だが、この日は全てを振り絞るような魂の踊りだった。calinがテーブルの傍に近く付くと、横一列に並んだ7人が空のカバンを明けた。そこには「F」「O」「R」「E」「V」「E」「R」の文字が並んだ。「FINALE(フィナーレ)」ではなく「FOREVER」。それが彼らのメッセージだったのかもしれない。

 

 ジャッジはトータル58.3対41.7でALT-RHYTHMに軍配が上がった。喜びを分かち合う8人、袖から飛び出してきた愛地とも抱き合っていた。DREAMSの面々と称え合う姿には、そこに勝者と敗者という関係になかったように思う。

 

 ステージ上のマイクでcalinが語った。
「応援してくれたファンの皆さん、一緒にアルトリを支えてくれたクリエイティブチームの皆さん、そして仲間たち、そしてGOさん……。何でここにいないんだろうって、こんなことがあるなんて想像もしていなかったけれど、私たちはダンスがあるからつながれたし、笑顔で今もこうやって踊り続けられる、これからもずっと踊りでつながっていられると思うので、皆さん1分1秒を大切に、隣の人に大好きだよ、ありがとうって伝えながら、これからもダンスを好きでいてください! 5年間本当にありがとうございました!」

 

 出会いと別れを繰り返す。始まりがあれば終わりもある。それでも人生は続く――。様々な感情が込み上げてくるラストショーケースだった。

 

(文・写真/杉浦泰介)

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