ドラマ生んできた“3位でも勝ち抜け可”システム

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 出場したいという国が少なかった1930年、ウルグアイで開催された第1回大会を除くと、W杯は第11回のアルゼンチン大会まで、16の出場国で行われてきた。16分の8が次のステージに進み、トーナメントならば8分の4、2次リーグを導入する方式では8分の2が決勝に進出するというのが、W杯の基本的なレギュレーションだった。

 

 世界的な人気の高まりとさらなる市場開拓のため、FIFAが大会の規模を24に拡大したのは82年のスペイン大会からである。

 

 ここで問題となったのが「24」という数字だった。16、もしくはその倍数であれば、2分の1の勝ち上がり基準を設けることで、最終的に決勝を争う2チームに絞ることができる。だが、「24」となるとそうはいかない。2で割っていく先に待っているのは「3」という数字だからである。

 

 82年、FIFAはまず1次リーグを勝ち抜いた12チームを3カ国ずつ4つのグループに分けるという手法を用い、続くメキシコ大会からは1次リーグを3位で終えた6チームの中から、成績が上位の4チームに決勝トーナメント進出の権利を与えるというシステムに変えた。48チームで行われる今大会のひな型となったシステムである。

 

 3チームによる2次リーグも、3位チームに1次リーグ突破の可能性が残るシステムも、FIFAとしては苦肉の策、だったはずである。ところが、相当に歪なこのシステムは、望外のドラマを生んだ。

 

 86年大会ではベルギーが準決勝に進み、90年大会はアルゼンチン、94年大会はイタリアが決勝まで駒を進めた。いずれも、“3位でも勝ち抜け可”という方式でなければ、早々と母国への帰国を余儀なくされていた立場からの大逆襲だった。

 

 3位での勝ち抜けが美味しい、などというつもりはない。過去3大会でこのシステムに拾われた12カ国のうち、9カ国は決勝トーナメント1回戦で敗退している。つまり、前述した3カ国以外はすべて、1次リーグ1位と対戦する決勝トーナメント1回戦をクリアできなかったのである。

 

 ちなみに、今回のW杯とまったく同じ規模、レギュレーションで行われた昨年のU-17W杯では、3位抜け8チームのうち4チームがベスト16に進出したものの、次のラウンドで全滅している。

 

 というわけで、3位での1次リーグ突破は決してお薦めできる道ではないものの、しかし、そうした道もあるということは意識しておく必要がある。

 

 86年メキシコ大会では勝ち点2、得失点差マイナス5のウルグアイが勝ち上がった。昨年のU-17W杯では勝ち点3、得失点差マイナス2のメキシコが1次リーグ3位に終わった12カ国中8位というギリギリのところで拾われた。

 

 ここまでの歴史と傾向を見る限り、勝ち点4をとれば確実、3であっても得失点差がゼロに近ければまず大丈夫、それ以下であればあとは運否天賦、ぐらいのことは言えそうだ。

 

 当然、W杯で日本と対戦する相手国も、1位での1次リーグ突破を目指しつつ、最低目標としての勝ち点4は目標設定されているはず。その際、どこかで必要となる1勝、つまり勝ち点3を獲得する相手として、日本を設定する国がどれだけあるだろうか。

 

 過去、W杯で日本と対戦した欧州、南米の国々はことごとくリスクをとって勝ちにきた。今大会ではどうなるか。開幕まで、あと2週間である。

 

<この原稿は26年5月28日付「スポ-ツニッポン」に掲載されています>

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