第316回 もし萩原京平がダウトベックに勝ったなら―7・18広島『RIZIN LANDMARK 15』

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「無謀だろう、実力が違い過ぎる」

 そんな声が多く聞かれるが、ファンの注目度は高い。私も楽しみにしている。7月18日、広島グリーンアリーナ『RIZIN LANDMARK 15』で行われる「萩原京平(SMOKER GYM/TRIBE TOKYO MMA)vs.カルシャガ・ダウトベック(カザフスタン)」のことだ。

 

 萩原は9月10日、京セラドーム大阪『超RIZIN.5』への出場を直訴していた。地元・大阪で開催されるビッグイベントにどうしても出場したかったのだろう。

 だが大会主催者に、その希望がスンナリ受け入れられるはずもない。萩原は高い人気を誇るが、そこに実力が追いついていない。これまでのMMA戦績は9勝(7KO)11敗1無効試合と負け越しており近況もよくない。

 

 昨年11月、神戸での『RIZIN LANDMARK 12』で秋元強真(JTT)に2ラウンドTKO負け、今年4月の福岡『RIZIN LANDMARK 13』でもアバイジャ・カレオ・メへウラ(米国)からヒザ蹴りを連射され1ラウンドで沈んでしまった(メへウラ体重超過のため公式記録は無効試合)。

 そこでRIZINが萩原に求めたのが、査定試合のクリア。

「広島でダウトベックを破り、ファンが納得する状況を作れば『超RIZIN.5』への出場を考える」との流れだ。

 

(写真:昨年5月の『RIZIN.50』で鈴木千裕<右>を破り10連勝を飾ったダウトベック ©RIZIN FF)

 さて、萩原はダウトベックに勝てるのか?

 これまでの両者のキャリアを比較すれば「難しい」と言わざるを得ない。

 ダウトベックの戦績は18勝(14KO&1一本)3敗1無効試合。一昨年1月、群馬での『TOP BRIGHTS 1』で松嶋こよみ(イマジナリー)に1ラウンドTKO勝利を収めた後、RIZINに復帰しYA-MAN(TARGET SHIBUYA)、鈴木千裕(クロスポイント吉祥寺)らを下しMMA10連勝を飾っている。明らかに萩原よりも格上の存在だ。

 

アップセットは起こるのか?

「ダウトベック優位」の予想は動かし難いが、それでも萩原に勝つチャンスがないわけでもない。

 そう思うのは、次の2点から。

 まず、互いに強打を武器とするストライカーであること。寝技の展開に弱い萩原だが、相手が打撃主体のダウトベックなら勝機を見出せよう。打ち合いの中で先に相手にダメージを与える一撃を繰り出せたなら、一気にフィニッシュに持ち込めるかもしれない。

 

 2つ目は、ダウトベックのコンディションの問題。昨年5月、香川『RIZIN.50』で鈴木に勝ったものの2-1のスプリットデシジョンでダメージも大きかった。

 以降、精彩を欠いている観は否めない。

 続く7月、さいたまスーパーアリーナ『超RIZIN.4』で秋元強真との対戦が決まっていたが椎間板ヘルニアを患い欠場。大晦日の久保優太(クボジム)戦では、1ラウンドに偶発的なアイポークに見舞われてしまう。回復を待って試合続行かと思われたが、そのまま無効試合となってしまった。眼のダメージが大きかったのだろう。それでも勢いがあった頃のダウトベックに比すと「弱々しさ」を感じずにはいられなかった。

 

 さらに今年3月、東京・有明アリーナ『RIZIN.52』で福田龍彌(MIBURO)との対戦が決まっていたが、急性循環機能障害の診断が下りリングに上がれなかった。試合のオファーを受けたからには大丈夫だとは思うが、ダウトベックのコンディションも気にかからぬわけではない。

 

(写真:「萩原vs.ダウトベック」は6月6日、RIZIN仙台大会で発表された。リング上で「覚悟はできている。ダウトベックをぶっ倒す!」と話す萩原 ©RIZIN FF)

 もし、萩原がこの一戦でアップセットを起こし勝利を掴んだなら9・10『超RIZIN.5』への参戦が確定する。その場合、対戦相手は誰になるのか?

 同大会でRIZINフェザー級戦線を彩る5人のファイターが再起する。

 朝倉未来(JTT)、平本蓮(剛毅會)、鈴木千裕、斎藤裕(パラエストラ小岩)、YA-MAN。この中の誰かとの対戦が実現することになるかもしれない。

 

<直近の注目格闘技イベント>

▶6月21日(日)、東京・国立代々木競技場第二体育館/「KNOCK OUT. 65 ~THE KNOCK OUT 2026~」REDスーパーライト級タイトルマッチ、デンサヤーム・ウィラサクレックvs.久井大夢ほか

▶6月21日(日)、東京・後楽園ホール/「SHOOT BOXING 2026 act.3」スーパーライト級タイトルマッチ、イモト・ボルケーノvs.笠原弘希ほか

▶6月26日(金)、東京・ベースメントモンスター王子/「ACF122」超人イリエマンvs.中森宏ほか

▶6月28日(日)、東京・後楽園ホール/「RISE 199」ミドル級王座決定戦、サモ・ペティvs.憂也ほか

▶6月28日(日)、東京・竹芝ニューピアホール/「PANCRASE 363」フェザー級暫定王座決定戦、オタベク・ラジャボフvs.木下尚祐ほか

▶6月28日(日)、大阪・176BOX/「GLADIATOR 035 10周年記念大会」ライト級タイトルマッチ、小森真誉vs.チハヤフル・ヅッキーニョスほか

 

近藤隆夫(こんどう・たかお)プロフィール>

1967年1月26日、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から専門誌の記者となる。タイ・インド他アジア諸国を1年余り放浪した後に格闘技専門誌をはじめスポーツ誌の編集長を歴任。91年から2年間、米国で生活。帰国後にスポーツジャーナリストとして独立。格闘技をはじめ野球、バスケットボール、自転車競技等々、幅広いフィールドで精力的に取材・執筆活動を展開する。テレビ、ラジオ等のスポーツ番組でもコメンテーターとして活躍中。著書には『グレイシー一族の真実 ~すべては敬愛するエリオのために~』(文春文庫PLUS)『情熱のサイドスロー ~小林繁物語~』(竹書房)『プロレスが死んだ日。』(集英社インターナショナル)『ジャッキー・ロビンソン ~人種差別をのりこえたメジャーリーガー~』『伝説のオリンピックランナー“いだてん”金栗四三』『柔道の父、体育の父 嘉納治五郎』(いずれも汐文社)ほか多数。

連絡先=SLAM JAM(03-3912-8857)

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