2013シーズンの開幕まで約2週間となりました。福井ミラクルエレファンツは、2月の合同自主トレーニングに続いて、今月15日からは春季キャンプがスタートしました。現在は各選手が課題をもって、練習に励んでいます。今季のスローガンは「Thinking」。ミラクルエレファンツは、昨季同様にバッテリーを中心とした守り勝つ野球を目指していきます。その過程の中で、各選手が「うまくなるために」「優勝するために」「NPBに行くために」、ひとつひとつのことに対して「なぜそうなったのか」を自分自身で考えていき、さらなるレベルアップを図ります。
 20日には、エディオン愛工大OBブリッツと練習試合を行ないました。この試合では、選手の確かな変化を感じ取ることができました。それはベンチ内での選手の態度です。次の打席のために、各選手が相手投手を研究するなど、きちんと準備をしていたのです。昨季までは、わかってはいるけれどもやらない選手が少なくありませんでした。既存の選手が昨季やってきたことを、より理解を深め、そして新人選手はチームが目指す野球を理解しようとしている何よりの証でしょう。

 さて、20日のエディオンとの練習試合では課題も見えました。まず投手陣に関して言えば、四球やムダなボール球をなくそうというもの。そして野手は、積極的なバッティングです。まだ振り切れていない選手が多くいました。その要因のひとつとして、バッテリーの間合いに合わせてしまい、主導権を自分の方にもってくることができていないのです。いいバッターというのは、自分の間合いで打っています。それができるようになると、試合でも練習通りの自分のバッティングができるようになると思います。

 新加入選手への高まる期待

 今季は、10選手が新加入しました。野手6人の中でも活躍が期待できるのが、捕手の坂巻卓也(つくば秀英高−中央大−茨城ゴールデンゴールズ−信濃グランセローズ)、内野手の田中裕太郎(日大三高−立教大)、外野手の森田克也(愛知啓成高−愛知学院大)です。坂巻は独立リーグを経験したベテランということもあり、野球を勉強しているなという印象を受けています。こちらが求めていることと、自分の意見とをうまく調和させながら咀嚼し、それを実施することができます。守備の要として、チームをうまくリードしてくれるのではないかと期待しています。

 田中は日大三、立教と強豪校で野球をやってきただけあって、メンタルが非常に強く、実戦向きの選手です。正直、ふだんの練習ではパッとしないのですが、試合となると途端に目立つ存在となるのです。20日のエディオン戦でもタイムリーを2本打ち、そのうち1本はホームランと実戦での強さを発揮してくれました。シーズンに入ってもコンスタントに打ってくれることでしょう。一方、森田はバッティングセンスには非凡なものがあります。バットの軌道が良く、ヘッドが最後まで立っているので力負けしません。少し考え過ぎるところがあるようなので、もっとシンプルに考えられるようなると、シーズンを通して活躍してくれるのではないかと思っています。

 昨季は初めて北陸地区で優勝し、リーグチャンピオンシップに進出することができました。今季はぜひ、リーグ優勝し、四国アイランドリーグプラスとの独立リーググランドチャンピオンシップに駒を進めたいと思っています。ぜひ、応援よろしくお願いします。


織田一生(おだ・いっせい)プロフィール>福井ミラクルエレファンツコーチ
1983年8月20日、福井県生まれ。福井高、東北福祉大、TDK千曲川、TDKを経て、2009年シーズン途中、福井ミラクルエレファンツに入団。10、11年と主将としてチームを牽引した。11年シーズン限りで現役を引退し、12年シーズンよりコーチを務める。
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