いよいよBCリーグの開幕が数日後に迫ってきました。チームはオープン戦で実戦を踏みながら、順調に開幕の準備を進めています。特に打者は、主砲として長打力を期待している大松陽平(日南学園高−横浜商科大−香川オリーブガイナーズ−三重スリーアローズ)にはホームランが出ていますし、新人の三田俊輔(前橋工業高−東北福祉大−佐久コスモスターズ硬式野球部クラブ)はコンスタントにヒットが出るなど、しっかりとバットも振れており、結果も出ています。いい状態でシーズンに入ることができそうです
 その打線ですが、4番に座るであろう大松の前後の打者が大きなポイントとなります。3番の出塁率が増えれば、チャンスで大松にまわってきますし、たとえ大松が打てなかったとしても、5番がそれをカバーしたり、あるいは5番の存在が大きければ大松との勝負を避けることはできなくなります。

 その3、5番には三田をはじめ、2年目の伊藤彰大(桐生第一高−東洋大)、再加入した井野口祐介(桐生市立商業高−平成国際大−富山サンダーバーズ−群馬−米国独立リーグ)、フランシスコ・カラバイヨ(元オリックス)など、何人かの候補者がいますが、いずれにしても大松にばかり負担がかからないような打線をつくっていければ、自然と得点力が上がるはずです。

 昨年、新人ながら69試合に出場した橋本拓也(羽生高)ですが、今シーズンはショートにコンバートし、さらなるレベルアップを図ろうと頑張っています。バッティングにも安定感が出てきており、攻守ともに順調に仕上がってきています。昨年は試合に出場し続けたとはいえ、打率は1割9分5厘、守備でも15のエラーを数えました。2年目の今シーズン、飛躍してくれることを期待しています。

 着々と進む開幕への準備

 ケガ人が多く、外国人の来日が遅れるなど、オープン戦は少ない人数の中でのやり繰りをしなければならなかった投手陣ですが、昨シーズン、先発の柱としてチームを牽引した栗山賢(日本文理高−鷺宮製作所)に加えて、2年目の糸川諒(久居農林高−四日市大−三重スリーアローズ)や、東風平光一(武蔵越生高−大正大)、町田翔司(前橋工業高−オール高崎野球クラブ)の新人2人など、先発は駒が揃い、ある程度、計算することができる状態まで仕上がっています。抑えには今年も清水信寿(豊田西高−中京大−エイデン愛工大BLITZ−三重スリーアローズ)がいますから、あとはどれだけミスを少なくし、打線が得点をしてくれるか。

 一方、昨年7月、ケガの治療に専念するためにチームを離れた堤雅貴(高崎商業高)ですが、現在も復帰に向けて頑張っています。もう少しでブルペンに入れるくらいの段階にきていますので、おそらく前期の後半、5月末〜6月初旬にかけて、マウンドに戻ってくると思います。堤の復帰も楽しみにしていてください。

 開幕は昨シーズン、日本一に登りつめた新潟アルビレックスBCと2連戦。新潟は投打ともに、昨シーズンの主力がほとんど残っていますから、今シーズンも非常にまとまりのあるチームという印象です。その新潟に勝って、いいスタートを切りたいと思います。


五十嵐章人(いがらし・あきひと)>:群馬ダイヤモンドペガサス監督
1968年4月12日、群馬県生まれ。前橋商業高校では3年夏にエースとして甲子園に出場。日本石油を経て、90年ドラフト3位でロッテに入団した。その後、オリックス、大阪近鉄でプレー。プロ野球史上唯一、全ポジションで出場し、全打順でホームランを放っている。2003年現役引退後は解説者・評論家として活躍した。07年より福岡ソフトバンクで2軍外野守備走塁コーチを務め、11年限りで退団。12年より群馬ダイヤモンドペガサスの監督を務める。
◎バックナンバーはこちらから