二宮: お父さんは元高校球児で、名門・熊本工の出身だそうですね。阪急でホームランをフェンスによじ登ってキャッチした山森雅文さんが同級生だとか。ということは私と同世代なんですが……(苦笑)。
片岡: 男兄弟がおらず、妹だけなので、私は“長男”として厳しく育てられましたね。今は孫をプロ野球選手に育てるのが夢らしく、妹がこの春に結婚して、私も「30歳までには嫁に行け」と言われています(笑)。

二宮: ということはお父さんの影響で野球を始めたと?
片岡: でも、最初ははっきり言ってプロ野球が嫌いだったんですよ。家では夏休みになると、テレビは昼は高校野球、夜はプロ野球がずっとついていたんですけど、プロ野球は中継が長いから、ドラえもんとか観たい番組が観られない。しかも巨人ファンだから、負けると機嫌が悪くなる。ただ、昼間観ていた甲子園はとてもキラキラしていて、カッコよく見えたんです。「私もここでプレーしたいな」。そう思ったのが野球を始めたきっかけです。

 励みになった古葉さんの後押し

二宮: 中学校では軟式で男子に交じって1年からベンチ入りし、3年時にはセカンドのレギュラーとして県大会ベスト8に貢献。女子の日本代表にも当時の最年少で選ばれています。お父さんは野球に対して厳しかったそうですね?
片岡: 最初、私が野球をやるって言った時には、父も母も大反対だったんです。母は「女の子なのに!」と口利いてくれなくなるほどでした。父も「野球はそんなに甘くない」って反対していたんです。でも私は一度言ったらきかない性格なので、「どうしてもやる」と言って父を説得しました。それから父が仕事休みの日にはマンツーマンで練習が始まったんです。最初は、いわゆる“女の子投げ”を直すところから始まって、次は走り込み。お風呂に入っても湯船の中でグーパーを繰り返して握力を鍛えました。今、振り返ると、まさに野球漬けの毎日でしたね。

二宮: 熊本といえば、川上哲治さんや古葉竹識さん、秋山幸二さん、伊東勤さんなど、数多くの名選手を輩出しています。現役でも前田智徳選手、荒木雅博選手らがいますね。
片岡: 毎年5月5日の子どもの日に藤崎台球場での野球教室で古葉さんに教えていただいて、私のことをとても応援していただきました。高校時代も高野連の規定で公式戦に出場できない話を聞いて、「片岡ならできるんじゃないか」と後押ししていただいたんです。そのおかげで、私も野球を頑張れました。本当に恩人と言える存在です。

二宮: では、ぜひ、今度は古葉さんも交えてやりましょう。ところで野球をする上で目標にしていた選手はいるのですか?
片岡: 私は二岡智宏選手に憧れていました。同じ内野手で右打ちがものすごくうまい。私は体が小さくて、パワーでは対抗できません。となるとバントや進塁打といった小技でアピールすることが重要です。父からも「右バッターはセカンドの頭上を狙えるのがいいバッター」と教わって、センターから右方向へのバッティングを意識してきました。テレビなどを通じて、二岡選手のバッティングはよく見ていましたね。2000年のリーグ優勝を決めた試合で右中間にサヨナラホームランを打ったシーンは今でも鮮明に覚えています。

二宮: 二岡選手は、その話を知っている?
片岡: そのことをテレビでお話したら、二岡さんにも伝わっていたみたいで、ファン感謝デーの企画で「来年対戦したい選手は?」と聞かれた時に、「茨城ゴールデンゴールズの女の子」と答えていただいたそうなんです。それを聞いた時は本当にうれしかったですね。

 実家に帰ると母がお酒を用意

二宮: 気づけばグラスが空いていますね。そば焼酎「雲海」を、もう一杯どうぞ。
片岡: 野球の話をしながら、お酒をいただくのは本当に楽しい。この「雲海」のソーダ割りは焼酎を飲み慣れない女性でも飲みやすいと思います。そば焼酎自体が飲みやすいので、今後は家でも飲んでみたいです。

二宮: お父さんと実家で晩酌をすることは? 
片岡: 父はお酒が大好きなんですが、家ではあまり飲まないんです。ただ、私が実家に帰るときは、母がお酒を用意してくれます。それを台所から父が持ってきて「安祐美、飲むぞ」と声をかけてくれます。

二宮: それはお父さんも、うれしいでしょう。
片岡: 実は今年のお正月、私が高校の同窓会、父が会社の新年会で外出していて、途中で待ち合わせをして一緒に帰ることになったんです。ちょうど近くに知り合いのお店があったので、寄り道をして父と2人きりでカウンターで並んで飲みました。それが本当にうれしかったんです。

二宮: 父と娘が仲良くグラスを傾ける。CMになりそうな素晴らしいシーンですね。
片岡: お店のマスターにも「こうやって、父と飲むのは初めてなんです」と話していたんですが、家に帰って、母にそのことを報告したら、うれしさがこみ上げて涙が出たんです。母も「そんなにうれしかったのね」とビックリしていました。

二宮: いい話だなぁ。こちらも、もらい泣きしそうです。
片岡: “長男”として育てられたこともあって、父の存在は小さい頃から絶対でした。「お父さん」と甘えることも許されない雰囲気だったんです。だから、まず2人きりで一緒にお酒が飲める日が来たこと自体、うれしかったですね。2人ともお酒が入って、帰りに父は「安祐美、はぐれるなよ」と優しい言葉をかけてくれましたし、私も「お父さん、寒いね」と腕を組んで歩きました。それにも、また感動したんです。父とは「また、一緒に飲みに行こうね」と話をしています。

 「父の悪口は言わない」

二宮: 全国のお父さんがうらやむ親子関係ですよ。
片岡: 父も私が大人になってお酒を飲むのを楽しみにしていたようで、私が生まれた1986年製のものを買って家に保存していたんです。20歳になって実家に帰った時には、それを開けて水割りにしていただきました。そのお酒は、私が実家に帰れない時には、中学時代の先生などが家にいらっしゃった時に少しずつ一緒に飲んでいるみたいです。

二宮: それで片岡さんのことを思い出しながら、お酒を飲むんですね。お父さんの愛が伝わってくるエピソードです。
片岡: 片岡家では決まりがあるんです。「父の悪口は絶対に言わない」。母から「誰のおかげでご飯が食べられるの?」「誰のおかげで学校に行けるの?」と常に言われ続けてきました。父は野球の楽しさと厳しさを教えてくれましたし、母は私が野球に打ち込めるようにケアをしてくれた。ここまで私がこられたのも両親のおかげだと感謝しています。

二宮: レスリングの浜口京子選手やレスリングの三宅宏実選手もお父さんが指導をして、お母さんが身の回りのサポートをするという良好な関係ができています。片岡さんも同様ですね。
片岡: 母は「私は野球のことは分からないから」と基本的には口出ししません。でも、ある時、私が野球のことで悩んでいると、「来たボールを打てばいいだけやろ」とズバッと的確なアドバイスをしてくれる。いつも私のことを見守ってくれている気がします。 

二宮: 今度、親子でお酒を囲みながら対談という企画もいいかもしれませんね。その時は、ぜひご両親もお招きしたいものです。
片岡: 今回いただいたそば焼酎「雲海」は初めて飲んだのですが、とてもおいしかったです。食事にもすごく合いますね。今度、父にも勧めてみます。 

(おわり)

<片岡安祐美(かたおか・あゆみ)プロフィール>
1986年11月14日、熊本県生まれ。小学校3年時に野球を始め、中学では2番・セカンドで県大会ベスト8に貢献。中学3年時より女子日本代表に選出される。熊本商高では規定により、公式戦出場はならなかったが、05年からは萩本欽一監督(当時)が創設した茨城ゴールデンゴールズへ。08年、愛媛・松山で開催された第3回女子野球W杯の代表に選ばれ、世界一を経験した。11年からから萩本監督の勇退に伴い、監督に就任。右投右打。背番号1。
>>オフィシャルブログ「夢ある限り努力は無限」
>>茨城ゴールデンゴールズオフィシャルサイト

★今回の対談で楽しんだお酒★[/color]

日本初の本格そば焼酎「雲海」。時代とともに歩み続ける「雲海」は、厳選されたそばと九州山地の清冽な水で丁寧に仕込まれた深い味わい、すっきりとした甘さと爽やかな香りが特徴の本格そば焼酎の定番です。
提供/雲海酒造株式会社

<対談協力>
東白庵かりべ
東京都新宿区若宮町11−7 
TEL:03-6317-0951
営業時間:
平日 昼11:30〜15:30(L.O.)
    夜18:00〜22:00(L.O.)  
日祝 11:30〜21:00(L.O.)
毎週水曜定休
>>詳しくは店舗サイトへ

☆プレゼント☆
 片岡安祐美さんの直筆サインボールor色紙を本格そば焼酎「雲海」(900ml、アルコール度数25度)とともに読者3名様にプレゼント致します。ご希望の方はより、本文の最初に「片岡安祐美さんのサイン希望」と明記の上、下記クイズの答え、住所、氏名、年齢、連絡先(電話番号)、このコーナーへの感想や取り上げて欲しいゲストなどがあれば、お書き添えの上、送信してください。応募者多数の場合は抽選とし、当選発表は発送をもってかえさせていただきます(ボールとサインの選択はできませんのでご了承ください)。締切は4月11日(木)までです。たくさんのご応募お待ちしております。なお、ご応募は20歳以上の方に限らせていただきます。
◎クイズ◎
 今回、片岡安祐美さんと楽しんだお酒の名前は?

 お酒は20歳になってから。
 お酒は楽しく適量を。
 飲酒運転は絶対にやめましょう。
 妊娠中や授乳期の飲酒はお控えください。

(構成:石田洋之)
◎バックナンバーはこちらから