W杯終了の余韻を真夏のJ開幕へ ハマった
ブレまくっている、という自覚はある。極めて重要だ、と書いたり、あまり気にする必要もないのかな、と思ったり。たぶん、この先も盛大に揺れ動くことにはなるのだろうが、いまのところの思いはといえば、「やっぱり大事かも」になる。
大きなスポーツイベントを地上波で放送することについて。
お金を払わなければ見られない形式と、スイッチを入れれば見られる地上波放送。見る側にとってどちらがありがたいかと言えば、それはもう後者に決まっている。だが、「お金を払ってでも見たい」という方たちからきっちりいただけるものをいただくシステムが構築されたからこそ、選手たちが受け取るギャランティーは激増した。わたしが受け取る側であれば、当然、より多くもらえる方を選ぶ。
ただ、今回のW杯に関して言えば、地上波で放映される威力のようなものを痛感させられた。なんというか、広がりのようなものがまるで違った。大会を特集した紙媒体の売れ行きも、わたしが仕事をさせてもらったところは、4年前よりも明らかにいい数字が出ていたという。息子が通う中学校では、カボベルデの大ベテランGKの活躍と、彼のSNSフォロワー激増がちょっとしたトピックになっていたらしい。
そこに、今年から始まったJリーグの新シーズン制度がハマった。
これまでは、どれだけW杯が盛り上がっても、その勢いをJリーグに持ち込むことは簡単ではなかった。W杯でサッカーの魅力に触れた層がJリーグを見てみようという気になったとしても、シーズンはすでにある程度進んでしまっている。新規参入者の中には、飛び込むことに躊躇を覚える方がいらっしゃったかもしれない。その点、今年からはW杯終了の余韻をJリーグの開幕という「よ~いどん」に持っていきやすくなった。
加えて、これまでは疲労困憊で迎えていた灼熱地獄での試合に、エネルギー満タンの状態で臨めるようになったのも大きい。久しぶりに地上波放送された横浜M-鹿島の一戦は、内容といい展開といい、世界のどこに出しても恥ずかしくない名勝負だった。
プレーする者にとっては最悪としかいいようのない真夏の試合は、しかし、興行する側からすればもっとも観客を集めやすい夏休みという時期にもあたる。そこで選手たちが夏バテ気味の試合を見せるか、フレッシュかつハイレベルな試合を演じるかは、リピーターの獲得という点において相当な違いを生むことにもなろう。
正直、これは盲点だった。
開幕の時期が変わったとはいえ、Jリーグの選手たちが真夏にプレーしなくてもよくなった、というわけではない。これまではオフシーズンだった真冬の時期は、12月下旬から2月中旬までの中断がはさまれる。ただ、万全の状態で開幕を迎え、そこから夏を迎えるのと冬にさしかかるのでは、選手の体調や試合のクオリティーといった面でまったく違ったものになっていくことが予想される。雪の多い地方の方からすれば不満もあるだろうが、それでも、Jリーグの未来を考えればこのシーズン移行は英断だった、とわたしは思う。
何より楽しみなのは、今季はすべてのチームにとって未知の日程となる、ということ。展開を予想する上で、従来の常識は通用しない。フロントを含めたマネジメント能力も大きな意味を持ってきそうな、今季のJリーグである。
<この原稿は26年8月20日付「スポ-ツニッポン」に掲載されています>