ゼロポジション――山本化学工業は近年、新しい概念をスポーツ界や医療界に広めようとしている。ゼロポジションとは、体の状態をゼロ、つまりフラットで正常なポジションに戻すことを指す。私たちは日常の中で、知らず知らずのうちに体が歪んだまま生活しており、それがスポーツにおけるパフォーマンスの低下や、健康を害する一因になっているというのだ。山本化学工業では体が正常な位置に戻るサポートをするアイテムを開発し、多くの人により快適な暮らしを送ってほしいと願っている。今回は二宮清純が、この春、発売を開始した「ゼロポジション スポーツベルト」を試着。山本富造社長と「ゼロポジション」の発想から広がる可能性について語り合った。

 矯正ではなくサポート

二宮: 今回、発売された「ゼロポジション スポーツベルト」は骨盤を正しいポジションに戻すサポートをしてくれるそうですね。私事ですが、実は先日、左足の指を骨折してしまい、やや歩き方がぎこちなくなっているんです。
山本: 左足をかばおうとして、余計に左の骨盤が開き気味になっているかもしれませんね。骨はくっついても、骨盤の歪みはなかなか元に戻らない。運動はできなくても、このゼロポジションベルトを装着すると効果があるはずです。

二宮: せっかくですので試着してもいいでしょうか。
山本: まず「エアロベルト」を骨盤の部分に巻きます。そして両サイドについている「ゼロポジションバント」で骨盤の位置をサポートします。これはマジックテープで装着部分を自由に変えられるんです。今回、二宮さんには事前に骨盤の状態をチェックしてもらって、骨盤が左側へ開いていることが分かりました。左側の骨盤を少し前へ出す必要がありますから、左のゼロポジションバントをちょっと前へ引っ張ってとりつけます。これで装着完了です。

二宮: 思ったより絞めつけないんですね。もう少しコルセットのように矯正されるのかと思っていました。
山本: はい。左側を2センチ程度、前へ引っ張っただけです。このゼロポジションベルトは動きながら骨盤の状態を正常に戻し、キープすることを目的としています。従来の骨盤矯正はコルセットのように固定することで元に戻そうとしていました。またはベッドの上に寝てリラックスしたところで施術をしてもらう。ところが、私たちは日頃、歩いたり、走ったり、さまざまな動きの中で生活をしています。だから、その中で骨盤の正しい位置を取り戻し、正しい動きを体に覚えてもらうことを目指しているんです。このコンセプトでつくられた製品は世界を見てもありそうでなかったんですよ。

二宮: これだと歩いたり、走ったりしても違和感がないですね。
山本: スポーツをする際にはもう少し引っ張ってもいいのですが、日常生活であれば、このくらいで十分でしょう。ずっと装着していると、後ろから手で骨盤を支えられているような感覚になってきます。それが骨盤が少しずつ正常な位置に戻りつつある証拠です。

二宮: キツく絞めないと効果が薄いように感じてしまいますが、そうではないと?
山本: このゼロポジションベルトは矯正ではなく、あくまでもサポートという発想です。あまりに絞めつけてしまうと動きが制限されて筋肉も弱まる。コルセットのように装着し続けないと正しいポジションをキープできなくなるんです。束縛感があると長続きもしませんよね。

二宮: 確かに装着していて苦しいと、どうしてもすぐに外したくなります。これなら長時間装着も苦にはなりませんね。
山本: 僕も自ら実験台になって2週間装着してみました。二宮さんと同様、骨盤が左に開いているので左側を前に引っ張った状態で過ごして、2週間後に今度はベルトを外して生活をしました。それから1カ月以上経ちますが、左の骨盤はほとんど開いていません。動きながら骨盤を正常な状態に戻しているので、その位置を体が自然と覚えていくんです。だから同じように動いても歪みが出にくい。実際にいろんな方に着けてもらうと、思わぬ発見がありましたね。

二宮: その発見とは?
山本: 出産したばかりの女性に、このゼロポジションベルトを装着してもらったところ、出産後に履けなくなっていたズボンがきれいに入ったそうです。ズボンが入らなかったのは妊娠、出産の過程で骨盤が開き、腰回りのサイズが変わっていたため。それを元に戻すサポートをしてやることで、スッと履けるようになる。これは我々も想定していない効果でした。

 ゴルフ、テニス、ジョギングにも有効

二宮: 腰は文字どおり体の要です。腰が安定すれば姿勢も良くなります。日常生活はもちろん、スポーツをする上ではどんなメリットがあるでしょう?
山本: たとえばゴルフでは止まったボールを打ちますから、正しいスイングで体の真ん中でとらえれば基本的には真っすぐ飛ぶはずです。でも、実際にはフックしたり、スライスしてしまう。いつも同じ方向に曲がってしまう傾向のある人は、骨盤のズレが影響している可能性があります。どちらかの骨盤が開いているために体の中心線がズレている。でも本人にはズレている意識がないので、いくら練習しても成果が出ないのです。そういう方にはゼロポジションベルトを装着して骨盤を正しい位置に戻すと、ボールの飛ぶ方向が改善されるかもしれませんね。

二宮: それは休日にラウンドへ出かける一般の愛好者にとってもありがたい話ですね。
山本: 実際にゴルフ好きな各企業のトップの方に使っていただいたところ好評でしたよ。特に「後半になってもスコアが乱れなくなった」と。一般のゴルファーだと後半に入って疲れてくると、余計に体が歪んでしまう。ベルトをつけることで骨盤が正しい状態を維持しているから、結果的にショットも安定するんですね。

二宮: わずかな乱れが明暗を分けるトップ選手にも有効なのでは?
山本: そうですね。プロゴルファーは男子なら木曜から日曜まで試合があって、月曜日に体のケアをすると聞きます。そこで体の歪みを矯正しても、効果は1週間も持たない。試合をしている時にはズレた状態でプレーすることになります。それなら練習や移動時に、このゼロポジションベルトを装着してもらえれば、自然といい骨盤の状態をキープできるのではないかと思うのです。

二宮: ゴルフのみならず、他のスポーツにも応用できそうですね。
山本: テニスや野球でも骨盤のズレから来るスイングの乱れは改善できるでしょう。ジョギングでも骨盤が歪んでいると、バランスをとるために足の運びや腕の振りが左右非対称になり、その分、ロスが出ます。骨盤が正常なポジションだと歩いたり、走ったりする際に腰が動いて足が真っすぐ出るんです。ところが骨盤が開いていると、足が外から迂回して腰を引っ張ってくるようなかたちになる。

二宮: つまり、それだけ足に負担がかかるというわけですね。
山本: 遠回りして踏み出すことになるから、体重は親指ではなく小指側にかかります。真っすぐ体重が乗らないからヒザにも負担がかかり、痛みの一因になるんです。ゼロポジションベルトで骨盤の位置を正しくサポートし、正常な歩き方、走り方を身につけることで故障防止にもつながる。こういった効果も見込めますね。

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