6月8日(土)、J2第18節となる愛媛FC対コンサドーレ札幌の一戦が行われた。この日、ニンジニアスタジアムには、5500人を超える観客が詰め掛けた。第15節(対ガンバ大阪)までのホームゲームにおける1試合平均の観客動員数は3200人ほど。J2クラブの中で最下位に近い数字である。1万人の動員を記録したホームでのガンバ戦を終え、どれだけの集客力を維持できるのか力量が試される。
(写真:メインスタンドに詰めかけた約1300人の小学生)
 その点では、50万人都市の松山市がマッチシティを担当する6月8日の札幌戦は、動員力を見定める絶好の機会とも言える。この札幌戦に向けては、3カ月前から行政やスポンサー、また、クラブ事務局やサポーターらが動員計画を立案し、さまざまな活動を展開してきた。

 前回のコラムでもお伝えした通り、5月には事務局スタッフやサポーターたちが手分けをして、ショッピングモールや街頭などで数回に渡り、「チラシ配り」を実施している。もちろん、ガンバ戦のスタジアム内でも次回以降のホームゲームへの来場を促すチラシを配布するなど積極的な動員活動に努めてきた。

 また、愛媛FCの選手たちも松山市教育委員会協力のもと、事務局が主催する学校訪問企画に参加し、松山市内の小学校を個別で訪問して子供たちとのふれあいの場を設けるなど、献身的な活動を展開してきたのだ。そして、うれしいことに今回の学校訪問企画を受け入れた小学校の児童たちが、6月8日の試合でスタジアムに応援に来てくれることになったのである。

 なんと、その数は1300人! 今回は、松山市・野志克仁市長やスポーツ振興課の方々の尽力もあり、たくさんの子供たちをスタジアムへ招待できることになった。

 迎えた6月8日。晴天に恵まれたこともあり、観客の出足も好調。試合開始1時間前頃からはホーム側スタンドの空席も次々と来場者で埋まっていった。1300人の小学生もメインスタンドのB席に入場し(おそらくは生まれて初めてのスタジアムという子供も多くいたであろう)、緊張の面持ちで試合開始の時を待っている。

 そんな中、私たちサポーターは試合前のこの時間を利用させてもらって、子供たちを巻き込み、応援練習を実施することになった。「エヒーメ・エフシー!」の基本コールから始まり、「俺らの街」や「Hey! Come on!」などなどのチャントを一緒に唄い、応援の雰囲気を伝える。徐々に子供たちも緊張がほぐれ始め、大きな声や手拍子で応えてくれた。

 試合開始後も私と愛媛FCサポーターズクラブ「ラランジャ・トルシーダ」の仲間はメインB席に残り、子供たちの応援を誘導しつつ、皆と一緒に選手達を力強く後押しした。途中、野志市長や日本代表の応援でもおなじみのちょんまげ隊・隊長のツンさんにも一緒になって応援を手伝ってもらった。さらにはピッチ上での選手達の頑張りもあり、子供たちの応援も最後まで素晴らしい盛り上がりを見せてくれた。
(写真:応援活動を手伝ってくれた、ちょんまげ隊のツンさん(右)。隣りは筆者)

 試合終了後、小学生に挨拶し、退場を見守っていた私たちに対して、「面白かった!」「また応援に来たい!」「選手たちにもっと会いたい!」といった声を興奮気味にかけてくれた。子供たちを引率してきた先生方や父兄からも、「ありがとう」「お疲れさま。また、スタジアムへ来るよ!」などの労いや励ましの言葉をもらい、感動を覚えた。

 1万人には至らないまでも「5544人」という観客動員を達成できたことは、本当に素晴らしいと思う。これまで頑張ってこられたマッチシティを担当した松山市やマッチスポンサーの方々、またクラブ事務局スタッフには感謝の気持ちでいっぱいである。

 集客に関する活動は今後も努力を重ねていかなければならないが、私たちの味方となってくれる人々の輪は確実に大きくなっているのを、今回の試合を通じ、肌で感じることができた。


松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール>
 1967年5月14日、愛媛県松山市出身。
 愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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