秋も深まり、夏季競技はオフシーズンに入りつつある。ダイキに所属するボートの武田大作選手と、ダイキジュニアゴルフスクールは今年の出場予定大会を終了し、来シーズンに向けて動き始めている。実りの秋から、再び種を捲き、花を咲かせる新たな年へ――。今回は彼らの2013年の活動を一足早く振り返り、2014年への動向を追う。
(写真:城戸姫菜さんは10月の全日本小学生ゴルフトーナメントで小学1〜3年女子の部準優勝を収めた)
<ボート・武田、世界への再チャレンジも視野に>

 久々に国内のみで活動するシーズンとなった武田は、9月の国民体育大会「スポーツ祭東京2013」では成年男子ダブルスカルで別府晃至(今治造船)とペアを組み、6位に終わった。一昨年は別府と組んで準優勝だっただけに、狙うは優勝。しかし、荒川につくられた特設コースは艇が川の流れに左右され、武田曰く、「コンビネーションが乱れた」。準決勝では組2位に沈み、決勝進出を逃した。

 一方、シングルスカルで出場した10月の全日本選手権では決勝を7分10秒56で制し、3年ぶりの優勝。史上最多を更新する13度目のVで健在ぶりをアピールした。
「2年連続ケガで力を出し切れなくて、今年も風邪気味で体調は良くなかった。勝てて良かったという思いと、本来の力が出せなかった不満と複雑な心境ですね」

 この12月には不惑を迎える。トレーニングの量や質は変わっておらず、本人も衰えは感じていない。だが、「昔は大会前に風邪を引くようなことはあり得なかった」と齢を重ねることによる体の変化は表れている。ヒザや腰など、長年の蓄積による故障も近年は目立ってきた。

「今年はトータルでみれば調子は良かったと思います。ただ、ずっと世界を目標にしてきただけに、国内のレースでモチベーションを保つのが難しかった。だから、内容や結果が伴わない感じになってしまいましたね」
 国内で過ごした1年を経て、武田は再び世界にチャレンジしたい気持ちがふつふつと沸き始めている。12月には代表合宿参加を予定しており、自らの実力が世界で戦えるレベルかどうかを確認する考えだ。

「ベストの状態でどのくらいの力を出せるのか試してみたいんです。もちろん、年齢もありますし、いくら“やりたい”と言っても家族をはじめ、周囲の理解も必要になる。ただ、もう一度、挑戦できる位置にいるなら相談してみたいと思っています」

 武田には、もうひとつのミッションがある。愛媛県ボート協会の強化部長として4年後のえひめ国体で県勢を全国トップに導くことだ。今年の東京国体では成年のかじ付きフォアが男女揃って5位入賞。成年男子シングルスカルでは南條翔也(熊本学院大、今治南高出身)が7位と、課題とされてきた成年種目では一定の成果をあげた。

 一方で少年は女子かじ付き4人スカルでは連覇を達成したものの、他が予想より振るわず、総合得点は86.5点。目標としていた100点に届かず、競技別順位は昨年の4位から5位に一歩後退した。
「例年より1カ月、日程が前倒しになり、準備不足の面がありました。特に少年はインターハイから間がなく、十分に時間がとれなかった。その部分をこちらも甘く見ていましたね」

 来季、そして4年後に向け、武田は成年と少年を一緒に強化していく必要性を感じている。
「今回は日程の都合で、全体で揃ったのは四国ブロック予選と本番だけ。でも、大会前に1週間でもいいから全員で練習することで“チーム愛媛”の一体感が生まれてくる。もちろん、お互いに刺激も受けます。それがレースをしたり、レベルアップする上でのプラスになると考えています」

 成年は地元を離れて都市部の大学に通っている愛媛県出身選手も多く、1カ所に集めて練習の様子や状態をチェックする期間をつくりにくい。全員揃っての練習以前に、日頃、所属チームでいかに力をつけるかが重要だ。その点はボート界で知らない人のいない武田の強みが発揮される。各チームの指導者に武田がコミュニケーションをとりながら、今後の強化ポイントなどを話し合えるからだ。
「どうせなら愛媛出身の選手がチームのエースになってほしいし、日本のエースにもなってほしい。そのためのお手伝いができればと思っています」

 少子化が進む現代において、少年の人材確保はどの競技も悩みの種だ。武田は「ボートへの恩返し」と今季は普及活動にも一層、力を入れてきた。現状、ボートは高校から始めるケースが多く、より早い段階で競技に触れる機会を設けることが不可欠になっている。

 武田は県内で中学生を対象としたボート教室を開催したり、、エルゴメーターの大会参加を各中学校に呼びかけるなど、高校入学前に体験の場を増やそうと試みている。
「エルゴメーターの大会は昔から行ってきましたが、中学生の参加は数えるほどしかいなかったんです。実際、参加してもらうと、時々、ものすごい結果を出す中学生がいる。そういった子に声をかけてボートを始めてもらえればいいですね」

 世界挑戦と、チーム愛媛のレベルアップ。選手兼強化部長の武田には、ますます多忙な2014年となりそうだ。

<ジュニアゴルフ、“3度目の正直”で国体出場を>

 開校5年目のシーズンを終えたダイキジュニアゴルフスクールでは、この秋、全国大会での入賞者が出た。10月13日に千葉カントリークラブ川間コースで開催された第8回全日本小学生ゴルフトーナメント決勝大会。小学1〜3年女子の部で、3年の城戸姫菜さんが9オーバーで2位に入ったのだ。スコア81は夏の四国小学生ゴルフ大会で出した83を上回る。特にINは36とパープレーで回ったのだ。

「思いもしない好成績でしたが、日々の練習の賜物でしょう。着実にうまくなっています」とスクールの江口武志監督は目を細める。小学3年ながら体も大きく、伸びる要素はたくさんある。
「4年生になると、上級生と同じカテゴリーになる。最初はなかなか大変でしょうが、どこまでやれるか楽しみですよ」
 家での素振りやパター練習を欠かさないという練習熱心さも成長につながっている。将来有望なジュニアが現われた。

 スクールにとって当面の目標は「国体選手の輩出」である。今年は愛媛県代表の最終選考会に高校2年の野々村颯記さんと中学3年の竹下桃夏さんが残った。結果は竹下が候補8選手中5位、野々村は7位と上位3名に入れず、代表にはなれなかった。一昨年も野々村が候補選手には選ばれており、来年こそは“3度目の正直”だ。

 男子は高校進学後、少年の部での国体出場を狙っている。来年は岡山史弥くん、村田幸大郎くん、児玉和生くんと3名のスクール生が中学3年に進級するため、目指すは再来年以降の国体出場だ。7月の四国ジュニア選手権では岡山が上級生に交じってトップ10入り(10位)を果たした。今季を締めくくる大会として11月16日に開かれた四国ジュニアゴルフ学年別チャンピオン決定戦では、児玉が4位、岡山が7位に入った。

「特に岡山は四国ブロックの新人戦でも3位タイと、スコアも安定しています。来年は四国ジュニアで上位に入り、日本ジュニアに参加してほしいですね」と江口監督はさらなる飛躍に期待を寄せる。スクールも年数を重ねて中学、高校生のゴルファーが増えてきたが、江口監督が主眼を置くのは土台づくりだ。

「まだ中学や高校レベルで、小手先や目先に走ってはいけません。彼らにはのびのびと思い切って打てるようになってほしい。基本のショットがしっかりできれば、技術は自ずとついてきますし、スコアメイクもできるようになりますから」

 4年後の国体へ力を伸ばすことはもちろんだが、その後も競技生活は続いていく。えひめ国体を踏み台にさらにステップアップするゴルファーを――江口監督はそんな思いで、選手たちの練習を見守っている。

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(石田洋之)
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