二宮: プロ野球の世界では優勝時のビールかけが恒例です。仁志さんも何度も経験していますよね。
仁志: 巨人に長く在籍した割には意外と少ないんですよ。1年目の1996年のリーグ優勝、2000年、2002年のリーグ優勝と日本一で計5回でしたから。最初はおもしろかったんですけど、時期が時期なので寒いし、臭いが翌日まで消えない(苦笑)。

二宮: 人生で一番おいしかったお酒は?
仁志: 早稲田大学で4年秋のシーズンで優勝した時に飲んだお酒は忘れられないですね。お祝いで送られてきたお酒をチームメイトと空けて、室内練習場ではビールかけもしました。卒業前のラストシーズンでの優勝ですから、言葉にならないほどの喜びがありましたね。

二宮: 大学でビールかけは珍しいですね。
仁志: 監督もいなかったんで、勝手に始めちゃったんです(笑)。学生のノリで「おい、ビールかけやろうぜ」って。その後、社会人、プロでもビールかけをやりましたが、初めてだったせいか、一番楽しかったように思います。

二宮: そば焼酎「雲海」のSoba&Sodaも、だいぶ進んできました。
仁志: やっぱりビールも焼酎も飲んだほうがおいしいし、楽しいですよ(笑)。そば焼酎「雲海」はすっきりとしていて本当に飲みやすい。これは家でも晩酌でいけそうですね。

二宮: そば焼酎「雲海」のSoba&Sodaには、どのゲストからも、「飲みやすい」という感想をいただいています。
仁志: それに香りもいいですね。ソーダで割ることでより、香りも味わいも引き立つように感じます。こういった飲み方もあるのかと新たな発見ができました。

 大舞台ほど観客を驚かせたい

二宮: 25日からは日本シリーズがスタートします。ポストシーズンの負けられない戦いを体験すると、選手は成長すると言われます。仁志さんもそれは実感しましたか。
仁志: 大一番でプレーできるのは選手冥利に尽きますね。そこで結果を出せば、歴史として語り継がれる。日本プロ野球の歴史が80年で、何万人と選手がいた中で、記録や記憶に残るチャンスは滅多にない。

二宮: 仁志さんも日本シリーズで印象に残るプレーをみせています。ON対決と称された2000年のシリーズ、1、2戦を連敗しての3戦目、3−3の同点で2死二塁のピンチ。バッターは左打ちで俊足の村松有人。セカンドの仁志さんは強い打球が一、二塁間に飛ぶと予測し、深めにポジションをとりました。この読みが見事に当たり、打球は一、二塁間への強烈なゴロ。飛びついてキャッチすると、わざと一塁に投げるフリをして、二塁走者にホームを狙わせ、タッチアウトに仕留めました。あのプレーがシリーズの流れを変えたと言っても過言ではない。
仁志: あの時は「こっちに打球が飛んで来い」と祈っていましたね。僕は基本的に難しい局面ほど、「自分のところに来ないかな」と思うタイプ。たとえば無死一、二塁のピンチでも、どうすればトリプルプレーになるかを常に考えていました。

二宮: 「オレのところに来るな」と願う選手もいるようですが、全く逆ですね。
仁志: 個人的には、マイナス思考の選手のところにこそ、難しい打球が飛んでくると思っています。気圧が低いところに風が吹くのと一緒で、気持ちが低い選手のところに打球は来る。だから、僕はいつも大事な局面になればなるほど、「来い」「来い」と強く念じていました。特に僕は守りでも生きてきた人間なので、打球が来て好プレーをみせないことには評価されない。どうにかして観客を「アッ」と驚かせたいという一心でしたね。

二宮: 日本シリーズが終わると、11月には日米野球が開催され、日本代表の侍ジャパンがメジャーリーグのオールスターチームと対戦します。仁志さんは昨年の台湾遠征に続き、内野守備走塁コーチを務めます。代表ユニホームを着てのコーチ業はどうでしたか。
仁志: 一言で言うと、疲れました。試合が終わるとドッと疲れが出ましたね。小久保裕紀監督含め、全員が同じ心境だったのでしょう。帰りのバスに乗った瞬間、「疲れた〜」と言っていましたから。新体制になって、チームとしての練習期間もなく、いきなり遠征でしたから、何を、どこまでやればいいのかわからない。各球団で指導しているコーチとは違いますから、その点はとまどいましたね。

二宮: 台湾遠征では三塁ベースコーチも務めました。
仁志: これも専門でやるのは初めてで難しかったですね。本塁に突入させてセーフになれば何の問題もないのですが、アウトになった時だけは「コーチの判断が悪い」と言われますからね。

二宮: 日米野球でも三塁コーチャーを任されるとなると、メジャーリーガーの肩の強さや送球のクセなども頭に入れないといけませんね。
仁志: もちろん、そのつもりですが、一番は自分がランナーになった気持ちで判断することだととらえています。ランナーが見えない部分の“目ん玉”になって手助けをする。選手は行ける行けないの判断は、ある程度、自分でできますから、こちらから、あまり指示を出そうと構えない方がいい。その点を意識していれば、大きな間違いは起こらないのではないでしょうか。

 二塁手は「目立たないけど重要なネジ」

二宮: 小久保監督は「2017年のWBCに向けたチームづくり」ということで、今回の代表メンバーを見てもイキのいい若手が入ってきています。特に仁志さんの専門である二遊間に楽しみな選手が多いですね。
仁志: 僕らの年代で宮本慎也さん、石井琢朗さん、金子誠、井端弘和あたりが長くレギュラーを張っていましたからね。それで30歳前後の内野手が目立たなかったのですが、世代交代が進み、若くしてポジションを任される選手が増えてきたのも関係しているのでしょう。

二宮: 今回もメンバーに選ばれたショートの坂本勇人(巨人)や今宮健太(福岡ソフトバンク)、セカンドの菊池涼介(広島)あたりは3年後も代表の主力として期待が持てます。
仁志: 質の高い選手は多いですから、定期的に代表で試合をすることで、WBCの時だけの寄せ集めではなく、連携面もちゃんと高めた二遊間がつくれるのではないかと感じています。

二宮: たとえば菊池選手は守備に加え、今季はリーグ2位の打率.325とバッティングでも結果を残しました。23盗塁と足もあり、走攻守すべてで高い次元に到達しようとしています。
仁志: 彼はスーパーセカンドになる可能性を秘めていると思いますよ。歴史的なセカンドになるかもしれない。これまでのセカンドのイメージを覆すくらいのポテンシャルを持っています。過去の名セカンドの方と比較したら怒られるかもしれないですけど、後にも先にも菊池のような選手は出てこないかもしれません。個人的には、そのくらいの評価をしています。

二宮: 確かに守備範囲の広さは超人的ですね。
仁志: 足の速さと反応の速さ、これがいずれも優れているからでしょう。しかも、打球に対して迷いがない。今季も補殺数の日本記録を更新しましたが、それだけ打球を処理する回数が多いという何よりの証拠ですよね。欲を言えば、今は能力が高い分、ムダな動きをしても追いつけるのですが、体をもっと効率よく使えるようになると、さらに守備力は上がっていくでしょう。

二宮: 改めて基本に忠実にと?
仁志: ベーシックな部分の見直しと、さらなるテクニックの追求。この両方ですね。重要なのは、何のために取り組むのかをしっかり考えること。野球は1球1球状況が変化し、同じ場面は2度とやってきません。だからといって、場当たり的に取り組んでいては蓄積ができない。考えながらやることで、仮に失敗しても次に生かせる。似た状況が訪れた時に、より最善のプレーができるようになるんです。

二宮: 仁志さんはプロ入りしてからセカンドに転向しました。それまでのショートやサードと比べると難しさはありましたか。
仁志: アマチュア時代に一通りのポジションは守っていても、プロとなるとレベルが違う。やはり一番、難しいのはセカンドではないでしょうか。セカンドにはセカンドとしての特殊な技術が必要なんです。たとえば、セカンドゴロからダブルプレーを狙う場合ひとつとっても、他のポジションでは絶対にない動きをしなくてはいけない。他の内野のポジションとは似て非なるものと言えるでしょう。

二宮: どのポジションもそれぞれ奥が深いのでしょうが、セカンドは一朝一夕で極められるものではないと?
仁志: 僕はセカンドは「目立たないけど重要なネジ」ととらえています。セカンドがしっかりしないと、守備のバランスは狂ってしまう。その意味で僕は指導者に恵まれましたね。セカンドの専門だった土井正三さんがコーチで熱心に教えていただいた。土井さんがいなければ、僕はセカンドができなかったでしょう。

 2番打者・今宮の葛藤

二宮: ショートでは今宮選手がソフトバンクには欠かせない存在となりました。守備でスーパープレーを連発しています。
仁志: 彼も菊池と同じくらい守備に関しては素晴らしい。だから、持っている能力を効率よく使える方法を考えていくのが、今後の作業になるでしょうね。あとはバッティング。彼は細身でも本来はフルスイングすることで持ち味が出てくるバッター。今は打順が2番で、彼自身、葛藤があるはずです。

二宮: 仁志さんも現役時代、トップバッターから2番に打順が変わったことがありました。その時は悩みましたか。
仁志: ええ。当然、チームの方針ですから、任された以上、やるべきことはやらなくてはいけない。でも、僕は自分を殺したら、試合に出られなくなると思ったので、周りの声は聞かないようにしていました。自分の良さを消してしまったら、そもそもプロ野球選手にはなれなかったわけですから、その点は忘れないようにしたほうがいい。

二宮: 野球はチームスポーツであると同時に、個人成績も数字としてハッキリ出てしまう。どうバランスをとるかは難問ですね。
仁志: 最終的にはどちらか割り切るしかないでしょう。これまでの自分の持ち味は捨てて新しい生き方を探すのか、それとも自分の良さを引き出してやっていくのか。今宮は犠打数が2年連続リーグトップである点が評価されていますが、個人的には、あの若さでバントが多いのは、それほどいいとは思えません。バントは多いと1試合に2回はやる可能性がある。4打席、5打席回ってくるうちの2回をバントにとられてしまうんです。その中で打率を残すとなると、奪われた打席以外のところで打っていかないといけない。これは結構、大変です。今宮にはバントに頼らず、打率3割、30本塁打を目指すスタイルを見つけたほうが、長くこの世界の一流でいられる気がします。

二宮: その点、菊池選手は主に2番で50犠打をマークした上に、率も残していますから、仁志さんが「スーパー」と評するのもうなずけます。
仁志: 彼は打席で割り切っているように見えますね。打つ時はしっかり自分のスイングを貫いている。時として淡泊に映ることもあるでしょうが、あれだけ打ってくれれば誰も文句が言えない。僕も現役の時は同じことを考えていました。結局、2番だろうが何番だろうが、打てば何も言われないんです。もちろん、打てなくなると風当たりは強くなりますけど(苦笑)、そう割りきれるかどうか、ですね。

二宮: 今回の侍ジャパンは10日間以上、同じチームで行動することになりますから、そういった話を選手たちとできるといいですね。
仁志: 昨年と比べれば、一緒にいる時間は長いでしょうから、どこかでお酒を飲みながら腹を割って話をする機会がつくれればいいなと考えています。指導者によって、選手との距離感についてはいろいろな考え方があるでしょうが、僕は選手たちの懐に飛び込んで話がしたい。そうしないと彼らの考えていることが何も理解できませんから。

二宮: では、その席では、ぜひ そば焼酎「雲海」のSoba&Sodaもラインアップに加えてみてはいかがでしょうか。
仁志: そうですね(笑)。短い期間ですが、コーチをしている以上、印象論や人から聞いた話で、選手のことを判断したくありません。しっかり話をして、人となりや思考法を知った上でアドバスすることがあれば伝えたい。お酒はお互いにリラックスした状態でコミュニケーションをとる上で、ひとつのアイテムになると思っています。

二宮: 野球解説の傍ら、この春からは筑波大大学院で体育学の研究も行っていると聞いています。12U代表監督や代表コーチとしての経験を踏まえて、指導者の道を歩みたいと?
仁志: どのカテゴリーを指導するかわかりませんが、いずれにしても選手から出された疑問には、すべて答えられる指導者でありたいですね。守備にしろ、打撃にしろ、走塁にしろ、これまでの蓄積と、新しく勉強した知識とをミックスして、きちんと説明して伝えられる人間になりたいと考えています。

二宮: 来季の陣容をみると、東京ヤクルトの真中満監督が43歳、広島の緒方孝市監督が45歳と40台前半の指揮官も増えてきました。仁志さんたちの世代が指導者として活躍する時代がやってきたのでは?
仁志: もう、そうならないといけない年代であることは確かでしょうね。「若い指導者は経験がない」と言われますが、経験がないのは最初は誰でも一緒です。大事なのは、ユニホームを着るにあたっての準備をいかにしているか。知識が乏しく、コミュニケーション能力も未熟なまま接したら、選手がかわいそうです。年齢関係なく、指導者としての資格を身につけた上で指導することが必要ではないでしょうか。僕もこの先、ユニホームを着た時に、しっかりとした指導ができるよう、自分なりに準備をしていくつもりです。

(おわり)

仁志敏久(にし・としひさ)
1971年10月4日、茨城県生まれ。常総学院高では1年夏に甲子園準優勝。2、3年夏にも甲子園に出場した。早稲田大では4年春に当時リーグ最多タイ記録の1シーズン6本塁打をマーク。日本生命を経て、96年にドラフト2位で巨人に入団した。同年、新人王に輝くと、翌年よりセカンドにコンバートされ、99年からは4年連続でゴールデングラブ賞を獲得した。2007年から横浜(現DeNA)に移籍。10年3月に米独立リーグに挑戦し、同年6月に現役を引退した。日本での通算成績は1587試合、打率.268、1591安打、154本塁打、541打点。現在は解説者として活躍しながら、ジュニア育成のための野球教室などを積極的に行う。この6月からは侍ジャパンの12U代表監督に就任。11月の2014SUZUKI日米野球では侍ジャパンの内野守備走塁コーチを務める。



日本初の本格そば焼酎「雲海」。時代とともに歩み続ける「雲海」は、厳選されたそばと、宮崎最北・五ヶ瀬の豊かな自然が育んだ清冽な水で丁寧に造りあげた深い味わい、すっきりとした甘さと爽やかな香りが特徴の本格そば焼酎です。ソーダで割ることで華やかな甘い香りが際立ちます。
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旭鮨総本店 新百合ヶ丘本館
 旭鮨総本店は関東近郊に38店舗。新百合ヶ丘本館は店内は洋風なつくりで鮨屋なのにカウンターがなく、鮨、和食、洋食と専門の板前、コックを揃えており、和洋折衷のコース料理がオススメです。週末夜はピアノの生演奏もあり、贅沢な雰囲気で食事が楽しめます。小田急線新百合ヶ丘駅南口にも別館があり、こちらはカウンターとお座席で鮨を堪能できます。

神奈川県川崎市麻生区万福寺1−15−12(小田急線新百合ヶ丘駅北口徒歩3分)
TEL:050-5798-4402
営業時間:
月〜金 11:30〜15:00(L.O.14:30)  
      16:30〜22:30(L.O.21:30)
土日祝 11:30〜22:30(L.O.21:00)

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◎クイズ◎
 今回、仁志敏久さんと楽しんだお酒の名前は?

 お酒は20歳になってから。
 お酒は楽しく適量を。
 飲酒運転は絶対にやめましょう。
 妊娠中や授乳期の飲酒はお控えください。

(構成:石田洋之)


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