25日、「バレーボール世界最終予選」(女子)が東京体育館で行なわれ、日本は最終戦で2006年の世界バレーで銅メダルに輝いた強豪・セルビアと対戦。第1、2セットを連取した日本だったが、フルセットの末に逆転負けを喫した。日本、セルビア、ポーランドが6勝1敗と並んだが、得点率で勝ったポーランドが優勝。日本はセルビアにも得点率で及ばず、3位となった。
(写真:惜しくも全勝優勝を逃した柳本ジャパン)

セルビア 3−2 日本
(19−25、21−25、25−19、25−19、19−17)
 共に北京五輪出場を決めている日本とセルビア。今大会の優勝決定戦となった両者の対戦は、前半、日本が主導権を握った。
 セルビアに勝てば五輪でのメダルが見えてくる――。そんな思いが柳本ジャパンに火をつけたのか、第1セット、日本はサーブで攻め、セルビアのレシーブを崩した。思うような攻撃ができないセルビアはミスを連発。日本はそれにつけこんで序盤、5連続ポイントを奪って7−3とリードすると、その勢いのままこのセットを先取した。

(写真:第2セットではブロックが機能した)
「ブロックはこれまで練習してきた成果が出ている」
 そう自信を見せる柳本晶一監督。第2セット、日本に流れを引き寄せたのはそのブロックだった。2−2からMB荒木絵里香がエースのWSエレーナ・ニコリッチのスパイクをブロック。さらに3−3と同点とされた場面で今度はWS栗原恵がWSニコリッチをたった1枚のブロックで完璧に封じた。これで勢いに乗った日本は、縦横無尽にコートを駆け回り、多彩な攻撃を展開。中盤にはWS高橋みゆきがストレート、クロスを自在に操りポイントを重ねていった。

 セルビアも高さをいかし、ブロックで応戦するも、焦りからかスパイクがアウトに。それでも終盤にはWSニコリッチが意地を見せて強烈なスパイクで2点差まで詰め寄った。しかし、日本はWS木村沙織のスパイクでセットポイントの24点目を奪うと、ここで今大会大活躍のMB大村加奈子をピンチブロッカーとして投入。大山は見事に期待に応えてWSニコリッチのスパイクを完璧にブロックし、日本が2セットを連取した。

 いよいよ、日本は優勝に王手をかけた。しかし、これが逆にプレッシャーとなったのか、第3、第4セットともにミスを連発。WS高橋のスパイクがアウトラインを割ると、さらにはWS栗原のスパイクがネットを越えない……。自らのミスでセルビアに勢いをつけさせてしまい、両セットともに25−19の大差で落とす。

 迎えた最終セット、主導権を握ったのはまたしてもセルビアだった。WSニコリッチをはじめ、WSヨバナ・ブラコチェビッチ、WSヨバナ・ベーソビッチのサイド攻撃が炸裂。守備では日本のサイド攻撃をブロックで止め、頭一つ抜ける。日本もMB荒木の速攻などで応戦し、何度も同点に追いつく粘りを見せたが、逆転することができない。
(写真:チーム一の得点源、エースのWSニコリッチ)

 いよいよセルビアがマッチポイントを迎えるも、日本はMB荒木の移動攻撃で同点に追いつき、試合はタイブレークへと持ち込まれた。ところが、ここからセルビアが続けざまに痛恨のサービスミス。ついにはキャプテンのMBベスナ・ツィタコビッチのサーブまでアウトラインを割り、なんと3連続でマッチポイントを逃した。

 これで流れは日本に傾くかと思われたが、来るとわかっているエースのWSニコリッチのスパイクを封じることができない。そしてセルビアの5度目のマッチポイントを迎える。日本はサーブレシーブが乱れ、2段トスから苦し紛れに放ったWS高橋のスパイクがセルビアの壁に阻まれ、ゲームセットなった。

 全勝優勝を逃した柳本ジャパンだが、北京への手ごたえは掴んだはずだ。五輪まで約2カ月。柳本監督は今後の課題を次のように述べた。
「レシーブでかたちを崩された時の攻撃パターンがあまりにも少なすぎる。また、サーブは非力すぎるので強化しなければならない。
 組織力は大事だが、勝つためにはここで1本というときに個人が決められるかが重要となる。個人技をもっと磨いていかなければならない」

 果たして北京ではどんな戦いを披露してくれるのか。6月から約1カ月間にわたって開催されるワールドグランプリを含め、これから本当の戦いが始まる。

(写真・斎藤寿子)

※当HP内「ノンフィクション・シアター・傑作選」のコーナーでは全日本女子キャプテン・竹下佳江選手のインタビュー記事を掲載しています。こちらもあわせてお楽しみください。
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