28日、「DREAM.4」(6月15日、横浜アリーナ)の会見が行われ、ミルコ・クロコップ(チーム・クロコップ)とハレック・グレイシー(グレイシー柔術アカデミー)の対戦が発表された。この試合は、“スペシャル・グラップリングチャレンジ”として、打撃攻撃が一切禁じられる。またフェザー級ワンマッチとして、所英男(チームゼスト)とダレン・ウエノヤマ(ハウフ・グレイシー柔術アカデミー)の試合も決定した。
(写真:試合への意気込みを語る所)
 注目は、「PRIDE無差別級グランプリ」(2006年)で優勝した実績を持つミルコの試合だ。昨年はUFC(Ultimate Fighting Championship)の舞台で1勝2敗という結果に終わり、ミルコは「敗因は自らの慢心」と反省した。

 しかし今年は、「DREAM.1」(3月)で水野竜也(U-FILE CAMP)を55秒で葬り、幸先のいいスタートをきった。2度目の参戦となる「DREAM.4」では、グレイシー柔術の英才教育を受け、寝技技術に定評があるハレック・グレイシーと対戦する。
 試合ルールの詳細は現在調整中だが、寝技のスペシャリストを相手にしたグラップリングマッチだ。世界屈指のストライカーであるミルコは、自らの武器である打撃が封印されるため、圧倒的不利になることは明白である。なぜ、彼はそのような戦いに挑むのか。

 ミルコが最大の標的とするのはエメリヤーエンコ・ヒョードル(レッドデビル・スポーツクラブ)だ。「PRIDE ヘビー級グランプリ決勝」(05年)でミルコを破ったヒョードルは、その後も幾多の強豪を撃破して、現在、“世界最強”の呼び声高い。ミルコは様々な場でヒョードルとの再戦を要望したが、「PRIDE」の消滅など不運も重なりこれまで実現されてこなかった。

「08年のテーマは“ゼロからの挑戦”です。グレイシー一族と、彼らの土俵で戦うという厳しい試練の中で、今後の総合格闘技のキャリアにおいて重要な“何か”が得られると信じています」とミルコ。

 彼はあえて自らを窮地に追い込み、総合格闘家としての進化を目論んでいるのだ。会見に出席した笹原圭一イベントプロデューサーも、「この試合をヒョードル挑戦への試練と捉え、乗り越えてほしい」と期待を込めた。果たして再び輝きを取り戻し、“世界最強”を決めるリングへたどり着けるのか。
 
 一方、所とダレン・ウエノヤマとの対戦も楽しみなカードだ。所は「HERO'S ミドル級トーナメント」(05年)で、修斗ライト級王者だったレッシャンドリ・フランカ・ノゲイラ(修斗ブラジル道場)を破り、一躍脚光を浴びた。その後も「K−1 Dynamite!!」(06年)でホイラー・グレイシー(グレイシー・ウマイタ)を下すなど、「HERO'S」の中心選手として活躍した。

 しかし、頂点にはまだ1度立ってない。今回のダレン・ウエノヤマ戦はフェザー級ワンマッチのため、ベルトへ直結するわけではない。だが、今後参戦が予想される山本"KID"徳郁(KREZY BEE)を含めた、“フェザー級王者決定戦”の構想を笹原EPは明言している。それだけに所にとっては大事な一戦だ。

「ベルトを目指す最後の挑戦だと思うので、必死にやりたい」とこの試合にかける強い思いを語った所。グレイシー仕込みの寝業師、ダレン・ウエノヤマを倒し、フェザー級王者の第一候補に名乗りを上げることができるのか。寝技対決が予想されるこの一戦にも注目が集まる。

「DREAM.4」の大会概要は以下のとおり。

「DREAM.4 ミドル級グランプリ2008 2nd ROUNND」
2008年6月15日、横浜アリーナ
開場16:00 開始17:00

【決定対戦カード】
〔スペシャル・グラップリングチャレンジ〕
ミルコ・クロコップ(チーム・クロコップ)×ハレック・グレイシー(グレイシー柔術アカデミー)

〔フェザー級ワンマッチ〕
所英男(チームゼスト)×ダレン・ウエノヤマ(ハウフ・グレイシー柔術アカデミー)

【既報決定カード】
〔ミドル級グランプリ2回戦〕
桜庭和志(LAUGHTER7)×メルヴィン・マヌーフ(ショー・タイム)
ゲガール・ムサシ(team Mousasi / Red Devil International)×ユン・ドンシク(チーム ユン)
ホナウド・ジャカレイ(ブラザ柔術)×ジェイソン・“メイヘム”・ミラー(Team Mayhem Miller)
ゼルグ“弁慶”ガレシック(チーム・トロージャン)×金泰泳(正道会館)

〔ライト級グランプリ2回戦〕
青木真也(パラエストラ東京)×永田克彦(新日本プロレス NEW JAPAN FACTORY)