3日、「バレーボール世界最終予選」(男子)が東京体育館で行なわれ、日本は第3戦で永遠のライバル・韓国と対戦。第1セット目をとったものの、第2セットは序盤から試合の主導権を握られ、落とした日本は第3セット、3度の3連続ポイントで接戦をモノにした。そして、迎えた第4セットは相手のサービスミスにも助けられ、大量リードを奪う。最後はWS清水邦広が強烈なスパイクを決めて、韓国を下し、日本が2勝目をあげた。
(写真:13本のブロックを決めた植田ジャパン)
「永遠のライバル」と言うだけあって、第1セットから互いに一歩も譲らぬ接戦が繰り広げられた。特に2連敗を喫し、後がない韓国は背水の陣で臨んだ試合だった。だが、日本の勢いは全く負けていなかった。

 第1セット、序盤から激しい攻防戦が繰り広げられた。その中で流れを徐々に引き寄せたのは日本だった。中盤、韓国のスーパーエース、WSムン・ソンミンのバックアタック」をWS越川優、MB松本慶彦が立て続けにブロック。すると、越川、山本隆弘、石島雄介のアタッカー陣が連続でスパイクを決め、5点差をつけた。韓国もソンミンがスパイク、サーブ、さらにはブロックと大活躍を見せるも、日本は最後まで集中力を切らさずにリードを守りきる、第1セットを先取した。

(写真:21歳のエース、WSムン・ソンミン) 第2セットはスタートから韓国にリードを奪われ、試合の主導権を握られる。9−14と5点差をつけられたところで、植田辰哉監督はセッターを宇佐美大輔から朝長孝介に代えた。その直後、ほとんど機能していなかったセンター線のMB山村宏太が連続で速攻を決め、日本はリズムに乗り始める。中盤にはWS山本のスパイク、WS越川のサーブエース、途中出場のキャプテン・WS荻野正二のスパイクで3連続ポイントを奪い、反撃する。だが、韓国はエースのソンミンにボールを集め、このセットを力ずくで奪い取った。

 第3セット、日本はスタートからいきなりブロックで連続ポイントを奪い、リードする。さらにS朝長がWS石島をいかした見事なトスワークを見せ、多彩な攻撃を展開。終盤には2点差にまで詰め寄られたものの、日本がこのセットを奪い、韓国戦勝利へ王手をかけた。

 迎えた第4セットも接戦となった。8−7の場面で山本に代えてWS清水邦広が投入されると、その清水がこれまでの鬱憤を晴らすかのような活躍を見せる。すると、若手に感化されたのか、中盤にはMB山村が連続でブロックを決め、流れが一気に日本に傾き始める。韓国もなんとか追いつこうと粘りを見せるが、時すでに遅し。最後は清水が強烈なスパイクを叩きつけ、日本が韓国を3−1で下した。
(写真:第4セット、期待通りの活躍を見せたWS清水)

「最高のトスワークをしてくれた」(植田監督)
「リーダーシップを発揮してくれた」(荻野)
 指揮官とキャプテンから賞賛を受けたのは、途中出場の朝長だった。
「外から見ていて、もっと石島を使ったほうかいいと思っていた」と朝長。日本に勝利をもたらした見事なトスワークは鋭い観察力によるものだった。

 第3戦を終えて、日本の通算成績は2勝1敗。同じ豪州がイタリアに0−3と完敗し、2勝1敗と並んだものの、得点率の差で現在は豪州が2位。日本は3位となっている。明日のタイ戦に勝利し、6日の豪州との直接対決を制すれば、北京五輪の切符が見えてくる。果たして、アジア勢1位の座をつかみとり、4大会ぶりの五輪出場なるのか。植田ジャパンの本当の戦いはこれからだ。

(写真・斎藤寿子)