北京五輪男子体操の日本代表に決定している期待の新星・内村航平(日体大)が5日、在籍する日本体育大学で会見を行った。男子代表6名中最年少の19歳の内村は、多くの報道陣に囲まれ緊張の表情だったが、「出る種目はノーミスでやって、個人総合でも決勝に残りたい」などと五輪への意気込みを語った。
 4月に行われた五輪代表第2次選考会では並みいる実力者を抑えてのトップ通過、5月の最終選考会を兼ねたNHK杯で冨田洋之(セントラルスポーツ)に次ぐ2位に入り、初の五輪代表入りを決めた内村は、「最初は何だかわからず、(代表入りの)実感がわかなかったが、最近、代表の強化合宿に参加するうちにだんだん実感がわいてきた」と心境を語った。

 両親が主宰する「スポーツクラブ内村」で3歳のときに体操を始めた。「物心がついたときには体操していた。よくトランポリンで遊んでいた」と振り返る。
 北京五輪を意識したのは、初めてナショナルチーム入りを果たしたときだ。「それまでは、高校生の中で上を目指していたけど、その時に初めて社会人を含めた中でもトップに立ちたいと思った」。
 得意種目は、捻りや回転系の動きが入るゆかと跳馬。ロス五輪個人総合・つり輪の金メダリスト、具志堅幸司・男子代表監督は「捻りや回転の感覚が素晴らしい。捻りのスピードもある」と高く評価する。内村も、「(北京五輪では)ゆかでの捻りや回転、着地で止められるところなど、美しい演技を見てほしい」とアピールした。

 五輪での目標について内村は「出る種目はノーミスでやって、個人総合でも決勝に残りたい」と控えめに語ったが、具志堅監督は「若いのだから、守りに入らずやってほしい。五輪の個人総合で金メダルを獲得しているのは私を含めて3人しかいない。彼にも私の後を継いで欲しい」と大きな期待を寄せた。

 現在は、本番でゆかと跳馬を除く4種目で演技構成を変えるための練習に励んでいる。具志堅監督によると、種目ごとの起用選手は代表合宿を通じて決める方針だが、内村が個人総合に出場する可能性も高いという。
 次世代を担う若きエースが、アテネ五輪に続く男子総合金メダル、さらにはロス五輪の具志堅監督以来の個人総合金メダル獲得に向け、残り約2か月間でのさらなるレベルアップを目指す。