12日のWBC世界バンタム級タイトル戦で、クリスチャン・ファッシオ(ウルグアイ)を破って6度目の防衛を果たした長谷川穂積(真正)が、試合から一夜明けた13日、都内ホテルで会見を行い、心境を語った。長谷川は「海外で試合をするチャンスがあれば挑戦したい。一昨年、ロサンゼルスで試合を観た時、同じリングでもこんなに違うのかと衝撃を受けた。可能性がある限り、そのリングに立ちたい」と海外進出の希望を改めて表明した。
(写真:圧勝KO劇にご満悦の長谷川)
 国内では輪島功一らと並び史上5位タイとなる6連続防衛を達成した長谷川は、ほとんど傷のないきれいな顔で会見に姿を現した。「試合が終わってホッとしています。今回、KO宣言し、周りにも楽勝ムードが漂ったことが一番危ないと思っていました。そのこともあり、常に気を引き締めて練習していたので、いい結果につながりました」と勝因を自己分析。会見に同席した山下正人真正ジム会長は、「パンチを打ちながら前に出る理想的なボクシングだった」と完璧なKO劇をみせた愛弟子を称えた。

 王者としての地位を不動のものにした長谷川。しかし、「日々しっかり練習するだけ。海外進出の機会がくればいつでも挑戦できるように準備することが仕事です」と慢心はまったくみられなかった。海外進出については、「海外では相手によって階級が変わると思う。(希望する相手は)同じ階級ならば他の団体のチャンピオンと戦いたい。ひとつ上の階級のイスラエル・バスケス(メキシコ)も好戦的で、熱い試合ができると思う」と夢をふくらませた。

 山下会長は、「米国、ラスベガスのリングは夢。選ばれたチャンピオンしかそれを口にする権利はないし、誰も相手にしない。プロモーターの本田会長(本田明彦帝拳ジム会長)と協力して、夢をかなえてやりたい」と渡米に尽力することを約束した。それを証明するかのように、以前、本田会長が米国進出時の対戦候補として挙げていたホルへ・アルセ(メキシコ)のビデオが山下会長の手に握られていた。

 今回、米国進出へアピールするためにも派手なKO勝利が求められた長谷川。伝家の宝刀・カウンターに加え、攻撃的スタイルを身に付け、見事課題をクリアしてみせた。圧勝の防衛劇で長谷川が夢に近づいたことは間違いない。