日本陸連は6月30日、川崎市内で会見を行い、北京五輪陸上競技のトラック、フィールド種目、競歩の日本代表選手を発表した。
 すでに代表に内定している男子ハンマー投げの室伏広治(ミズノ)と、29日に閉幕した日本選手権で選考条件を満たし代表に内定していた11名に加え、男子短距離の末続慎吾(ミズノ)、朝原宣治(大阪ガス)、男子長距離の竹沢健介(早大)、女子長距離の福士加代子(ワコール)、赤羽有紀子(ホクレン)らが選出された。マラソン男女6人を含め、陸上代表は総勢32人となった。36歳のベテラン朝原は、アトランタ五輪から4大会連続の代表入りを果たした。
(写真:会見に出席した(左から)高平、松宮、渋井、高野進強化委員長、為末、小林、澤野)
 標準記録B突破の男子やり投げ優勝の村上幸史(スズキ)は、「世界で戦えるレベルにある」(高野進強化委員長)と評価されアテネ五輪に続く代表入り。男子短距離のリレー要員として斎藤仁志、安孫子充裕(ともに筑波大)も選出された。
 日本オリンピック委員会(JOC)が定めた陸上の派遣枠は「36」。残りの4名は、7月6日に行われる南部記念の結果、さらにはリレーの世界ランキング(16位以内)の確定を受けてから決定する。
 北京五輪参加標準記録Aを突破していながら、日本選手権で優勝を逃した男子走り高跳びの醍醐直幸(富士通)、女子走り幅跳びの池田久美子(スズキ)は今回の選考での代表入りは見送られ、7月6日の南部記念で代表入りに再挑戦する。なお、南部記念で男子走り高跳びは当初実施種目に入っていなかったが追加されることになった。

 会見には男子短距離の高平慎士(富士通)、男子400メートル障害で3大会連続の代表入りを決めた為末大(APF)、日本選手権で男子長距離2冠を達成した松宮隆行(コニカミノルタ)、男子棒高跳びでアテネ五輪に続く代表となる沢野大地(ニシ・スポーツ)、女子長距離で初五輪代表の渋井陽子(三井住友海上)、小林祐梨子(豊田自動織機)の6選手が出席し、代表入りした心境、五輪への意気込みなどを語った。

高平慎士(富士通) ※男子200メートル、4×100メートルリレー
「2回目の五輪。前回は20歳のときに出場したが、何もできずに終わったという感想を持っている。今回は個人種目でしっかり自分の力が発揮できるようにコンディション作りをしっかりやりたい。リレーではメダルを目標にしたい」

為末大(APF) ※男子400メートル障害
「春先にふくらはぎの怪我などトラブルもあったが、何とか日本選手権で優勝できて、こうして内定をいただいてほっとしています。不安にもなったが、自分でも驚くような結果が出て諦めずやればこういうことも起きるんだと感じた。もともと五輪に出ることが目標ではなかった。ぜひ表彰台を目標にしたい」

松宮隆行(コニカミノルタ) ※男子5000メートル、1万メートル
「五輪を目標に頑張ってきたので代表入りできてうれしい。5000メートル、1万メートル、どちらもひとつでもいい順位でゴールできるように頑張りたい」

澤野大地(ニシ・スポーツ) ※男子棒高跳び
「春先から怪我が続いて、無理やり合わせて出場した静岡国際でまた怪我をしてしまった。しっかり練習をして臨みたいと、日本選手権に向けて練習を積んで無事にA標準を跳んで優勝することができた。北京五輪に向けても、自分のスタンダードな練習を積んで、自信をつけて臨みたい。2度目の五輪。自分らしい跳躍を本番で出したい」

渋井陽子(三井住友海上) ※女子1万メートル
「初の五輪代表。この場にいられることがすごくうれしい。五輪では、挑戦者なのでどんどん前に挑戦していきたい。周回遅れは絶対になりたくないし、日本人もここまでできるんだ、というのを見せたい」

小林祐梨子(豊田自動織機) ※女子5000メートル
「去年、故障が続いて、世界陸上を観客として見ていた。大舞台への思いも強くなり、それが今回の代表入りにつながった。五輪では世界が強かった、という一言で終わらせるのではなく、挑戦するレースで、何かを持って帰りたい。10代で五輪を経験ができるのはとても光栄に思う。何かを得て帰ってきたい」


北京五輪陸上競技第一次日本代表選手
<男子>
■短距離 塚原直貴(富士通)、朝原宣治(大阪ガス)、高平慎士(富士通)、末続慎吾(ミズノ)、斎藤仁志(筑波大)、金丸祐三(法大)、安孫子充裕(以上筑波大)
■長距離 松宮隆行(コニカミノルタ)、竹沢健介(早大)、岩水嘉孝(富士通)
■障害  内藤真人(ミズノ)、為末大(APF)、成迫健児(ミズノ)
■競歩  山崎勇喜(長谷川体育施設)、森岡紘一朗(富士通)、谷井孝行(佐川急便)
■跳躍  沢野大地(ニシ・スポーツ)
■投てき 室伏広治(ミズノ)、村上幸史(スズキ)

<女子>
■長距離 渋井陽子(三井住友海上)、赤羽有紀子(ホクレン)、福士加代子(ワコール)、小林祐梨子(豊田自動織機)、早狩実紀(京都光華AC)
■競歩  川崎真裕美(海老沢製作所)、小西祥子(大阪茗友ク)