4日、吉田秀彦(吉田道場)ら戦極に出場している選手と、男子レスリング北京五輪代表選手との合同練習が東京・ナショナルトレーニングセンターで行なわれた。バルセロナ五輪柔道78キロ級金メダリストの吉田が、松本慎吾(一宮運輸)のテクニックとパワーに圧倒され、「チクショー」と悔しさをにじませる一幕も。それでも練習を終えると、「レスリングの凄さを実感し、いい勉強になった」と充実した様子をうかがわせた。
(写真:バックから攻める吉田と防御する松本)
 合同練習に参加したのは、戦極から吉田、瀧本誠(吉田道場)、五味隆典(久我山ラスカルジム)、北岡悟(パンクラスism)、川村亮(パンクラスism)の5選手。このプロファイターたちを、松本、笹本睦(総合警備保障)、加藤賢三(自衛隊)、松永共広(綜合警備保障)、湯元健一(日体大助手)、池松和彦(K-POWERS)たち日本代表6選手が迎えた。普段は死闘を演じている戦極軍団も、慣れないレスリングトレーニングにとまどいをみせ、息を切らす場面が何度もあった。

 柔道で何度も世界の頂点に立ち、3度も五輪に出場した経験を持つ吉田。その吉田が思わず苦痛の表情を浮かべた。84キロ級の松本をバックポジションから攻める練習で必死に持ち上げようとするも上がらない。逆に松本には簡単にローリングを許してしまった。しかし吉田は、レスリングテクニックを習得しようと幾度も指導を仰ぎ、意識の高さをみせる。そして吉田は、スキルを伝授してくれた代表選手たちに「オリンピンクのために過酷なトレーニングに耐えてきたと思うので、力を発揮して金メダルを取ってほしい」とエールを送った。
 また、次戦について聞かれると、「次の試合はまだ決まっていないが、出ろと言われればいつでも戦える。今日の経験を生かしたい」と吉田。その言葉からも、9月に40歳になる柔道王はさらなる進化を予感させた。

 一方、16歳の時にレスリング教室に入門した経験を持つ五味は、積極的にスパーに取り組み、技術を吸収しようとする姿勢をみせた。そのテクニックの高さはレスリング日本代表コーチ陣からも「うまい」と称賛の声が上がるほど。ファイターとしての万能性を証明してみせた。
 五味は「メーンを務める第四陣に向けていい刺激になった。五輪前の大事な時期に練習に参加させてくれた選手にお礼を言いたい」と感謝の気持ちを語った。
 さらに、第四陣(8月24日、さいたまスーパーアリーナ)で開催されるライト級トーナメントについては、「自分への挑戦者決定戦と言われているが、優勝した選手が自分より下だとは思わない」とタイトルマッチに向けて気を引き締めていた。